小さすぎてよく見えない! 多摩川の河口付近に浮かぶ「ねずみ島」とは何か?【連載】東京うしろ髪ひかれ地帯(15)
2021年9月12日
知る!TOKYO大田区と川崎市の間を流れる多摩川。その河口付近にとても小さな島があります。その名は「ねずみ島」。この島はいったい何なのでしょうか。都内探検家の業平橋渉さんが解説します。
多摩川に浮かぶ島
多摩川は流域の多くが東京都と神奈川県の境界となっており、地図を見ているだけでも楽しめます。県境が川の中心ではなくジグザクに走っており、地形が今と大きく変わったと想像できるのです。さて、ある日、東京の島について調べていると気になる島を見つけました。それは多摩川の河口付近にある「ねずみ島」です。

京浜線の穴守稲荷駅(大田区羽田)を降りて多摩川に出ると、その姿を見られます。しかしねずみ島は県境の少し南側にあるため、厳密には川崎市ですが気になります。
インターネット上にはねずみ島に言及している記事は多く、多摩川の改修工事で川幅を広げたところ、高地だった部分が島となって残ったと書かれています。では、そこに至るにはどんな経緯があったのでしょうか。
島は元々、果樹園だった?
まずは元の地形について、1906(明治39)年の地図を見てみましょう。
当時の多摩川の川幅は現在の半分程度しかなく、ねずみ島にあたる大師河原村下殿町には果樹園(梨畑)が広がっていて、現在のねずみ島にあたる土地もその一部だったことがわかります(地図の赤丸部分)。

さらに古い地図を調べてみましょう。
この地域のもっとも古い1936~1942年頃の航空写真では改修前の多摩川が記録されており、現在のねずみ島付近が微高地(地形図上には表現しにくい小規模で微細な起伏をもつ地形)だったことがわかります。
ねずみ島の誕生に至る多摩川の改修工事が始まったのは、1918(大正7)年です。
それまで、多摩川は何度も氾濫を繰り返す危険な川でした。そこで1914年には、御幸村(現・川崎市幸区東部と中原区東部)と周辺住民が、アミガサをかぶって神奈川県庁に陳情し改修工事を求めています。
これを受けて国の直轄事業として始まったのが、現在の多摩川の流れをつくった壮大な改修工事でした。
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