「ドンキ」「スタバ」が最後に出店した区は?―コロナ禍で変化した「東京で○○区だけない」チェーン店
ドンキやスタバなど、日本全国誰もが知るおなじみの存在でありながらも、「東京23区のうち○○区だけ出店していない」、「意外な空白エリアがある」大手チェーン店が存在します。東京のスキマ地帯を探し出した都市商業研究所の若杉優貴さんが解説します。ドンキ、北区初出店で「23区完全制覇」 東京都北区のJR赤羽駅前に今年(2023年)6月30日に開店した「ドン・キホーテ赤羽東口店」。 実は北区は東京23区で唯一ドン・キホーテが出店しておらず、ドンキはこの赤羽東口店開店を以て「23区完全制覇」を果たすこととなりました。 このように東京23区内であっても、何処にでもありそうなチェーン店にもかかわらず「○○区だけ出店していない!」という例は少なくありません。 今回はそうした誰もが知るおなじみの存在でありながらも「東京23区のうち○○区だけ出店していない」「意外な空白エリアがある」大手チェーン店のスキマ地帯を探していきます。 北区初のドンキ「ドン・キホーテ赤羽東口店」。 これでドンキは23区全てに出店したことに。(画像:いぶか)【画像】スタバ・無印・カルディがない区は?>> 「スタバ」が無いのは○○区だけ!だったけど… 「都会の指標」としても使われることがある「スターバックス」。東京都内には393店舗もある一方、地方ではいまだに「県庁所在地周辺だけにしか出店していない」という県も少なくありません。 スタバが23区内で最も多いのは千代田区で、その数は実に51店舗。都心・副都心エリアの港区、渋谷区、新宿区にもそれぞれ30店舗以上あり、「スタバの数=都会の指標」といわれるのも納得できます。 そんなスタバが23区内で唯一出店していないのが荒川区。「荒川区には23区で唯一スタバが無い」ことは区民のあいだではそこそこ有名であり、「スタバはないがスナバはある」は鳥取県とともに定番の「ご当地ネタ」でもあったのですが(鳥取県の砂場=鳥取砂丘、荒川区の砂場=老舗蕎麦店)、ついに今年(2023年)、荒川区へのスタバ初出店が決まりました。 「荒川区初」のスタバが出店する「ららテラス南千住」。(画像:若杉優貴) スタバ荒川区1号店が出店するのは南千住駅近くのショッピングセンター「三井ショッピングパーク LaLaテラス南千住」1階で、7月14日に開店する予定。ちなみに鳥取県にも2015年にスタバが出店しており、これでもう「スタバはないがスナバはある」という決めゼリフが聞かれることは無くなりそうです。 「無印良品」「カルディコーヒーファーム」も○○区だけない! スタバが初出店することになった荒川区ですが、荒川区はスタバ以外にも「無印良品」「カルディコーヒーファーム」など、都民にとっておなじみのチェーン店が「23区で唯一出店していない」という例が少なくありません。 これは荒川区内に大きな駅ビルやショッピングセンターが少ないことが影響しており、今後、大きな商業施設ができない限りはそうした「荒川区だけ出店していないチェーン店」が話題になるという状況は続くことになりそうです。 「ケンタ」が無いのは意外にも○○区 さて、荒川区や北区など「23区郊外エリアに出店していないチェーン店」とは異なり、「都心ほど店舗数が少ないチェーン店」もあります。 例えば現在「ケンタッキーフライドチキン」(KFC)は文京区のみ店舗がなく、同じく都心エリアの千代田区にも秋葉原の1店舗しかありません。かつては文京区でも東京ドームシティのラクーア内にKFCがあったのですが、コロナ禍のなか2021年12月に閉店。また、KFCは渋谷エリアからも2022年12月に撤退しています。(渋谷区内には恵比須、広尾、笹塚、初台に店舗あり) コロナ禍に加えて地価の高騰もあり、今後はこうした有名チェーン店であっても「都心の空白地帯」が増えていくかも知れません。 都内なら何処にでもありそうな「KFC」も文京区から消滅、千代田区も秋葉原の1店だけに。かつては大手町や御茶ノ水などにも出店していました。(画像:若杉優貴)「ツタヤ」丸ビル出店で全区制覇!…と思いきやコロナ禍で生まれた意外な空白地帯 KFCと同じく、都心に空白地帯が生まれた大手チェーン店の代表格といえるのが「ツタヤ」です。 書籍離れ・レンタル離れ・コロナ禍…ツタヤもさまざまな理由で「空白地帯」が。(画像:若杉優貴) ツタヤ(TSUTAYA/TSUTAYA BOOK STORE/蔦屋書店)は2017年の「TSUTAYA BOOK STORE有楽町マルイ店」閉店以降、23区内では千代田区のみが空白地帯でしたが、2022年12月に東京駅前の丸ビルに「TSUTAYA BOOKSTORE MARUNOUCHI(丸の内)」が開店。これでツタヤは再び23区全てに出店…と思いきや、ツタヤは書籍離れ・レンタルメディア離れのなか、コロナ禍が追い打ちをかけるかたちで都心・駅前エリアを中心に店舗整理を実施中。 2021年11月の「TSUTAYA茗荷谷店」閉店で文京区から、2021年12月の「TSUTAYA BOOKSTORE EQUiA北千住北店」閉店で足立区から、2022年2月の「TSUTAYA 高田馬場店」閉店で新宿区から、そして2023年1月の「TSUTAYA 錦糸町店」(ロッテシティ)閉店で墨田区から店舗が消滅しています。 とくに、錦糸町ロッテシティ店や2020年に完全閉店した新宿店(末期は歌舞伎町レンタル館のみ営業)などは駅チカの大型ツタヤとして多くの人に親しまれてきただけに、閉店を惜しむ声も少なくありません。ツタヤは東日本エリアの大手フランチャイジーである「トップカルチャー」(本社:新潟市)が近くレンタル事業から完全撤退する方針を発表しており、今後も店舗網の再編が続きそうです。 錦糸町駅前のロッテシティにあったTSUTAYAも閉店。ブックオフ(現在も営業中)とともにお世話になった人も多いはず。(画像:若杉優貴) コロナ禍に加えて都心の地価高騰やライフスタイルの多様化など、さまざまな理由によって変化を遂げた東京のチェーン店地図。 一方で、コロナ禍もひと段落ついた昨今は大手チェーン店の新規出店も再び活発になってきており、今後も空白地帯への新規出店や惜しまれつつ閉店した店舗の復活によって、チェーン店地図は書き換えられ続けていくことでしょう。 (記事中それぞれの店舗数は2023年6月現在のもの)
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