自分好みのスペシャルティコーヒーを探せ！コーヒーを究める場所3選【目黒・世田谷・江東区】

10月1日はコーヒーの日。自分好みの味に出会うには、豆のプロに教えてもらうのが一番の近道です。東京には多くの豆に精通するプロから直接相性を教えてもらえる場所が豊富にありますが、今回はコーヒー好きのデザイナーINDULGEさんが厳選したおすすめのスポットをご紹介します。コーヒー豆のプロよりご指南を　ハマればハマるほど奥深さが見えてくるコーヒーの世界。ちょっとハードル高いかも？と感じてしまいがちですが、自分なりの極め方や楽しみ方を取り入れるなら、日常が豊かになります。 　お取り寄せでもお気に入りのコーヒー豆を探すことができますが、東京では、実際に豆を見て、香りを嗅ぎ、味わえるリアルな場所がたくさん存在します。自分好みのスペシャルティなコーヒー豆に出会うには、バリスタなどコーヒー豆のプロに指南していただくのがいちばんですよね。 　今回は、「コーヒーを究める場所」として、ぜひ足を運んでほしいスポットを3つご紹介します。自分好みのコーヒー豆を見つけて、秋のコーヒーブレイクの準備を整えてみてはいかがでしょうか？ 下北沢に世界各国から厳選したロースタリーのコーヒー豆専門店がオープン！（画像：PostCoffeeリリースより）【中目黒】スターバックス リザーブ（R） ロースタリー 東京　まずは2019年のオープン以来、東京名所として観光客にも人気の「スターバックス リザーブ（R） ロースタリー 東京」。ロースタリー（焙煎機）を所有するスタバとして世界で5番目にオープンし、コーヒーの専門知識と技術を極めたバリスタや、ロースター（焙煎士）とのコミュニケーションを楽しめます。 　隈研吾氏とスターバックスデザインチームによって作られた4階建ての店舗では、それぞれの階で、コーヒー、ティービバレッジ、カクテルを体験できます。そんな「スターバックス リザーブ（R） ロースタリー 東京」では、9月1日（金）より、秋の新商品が登場しています。 　入ってすぐの場所にある「STARBUCKS RESERVE（スターバックス リザーブ）」。メインバーでは、バリスタとの会話を楽しめます。ここで味わえる新作は「チョコレート　クリーミー　フォーム　アイス　エスプレッソ」。濃厚な深みのあるエスプレッソショットにまろやかな優しい甘さが広がるオーツミルクを合わせたチョコレート風味のコーヒードリンクです。「ふわふわ」した口あたりと、「とろり」としたなめらかさの両方が楽しめます。 「チョコレート　クリーミー　フォーム　アイス　エスプレッソ」(イートイン900円／テイクアウト884円)（画像：スターバックスコーヒージャパン株式会社リリースより）　新しいティー体験を提供している2階「TEAVANAバー」では、11月9日までプリンチ×TEAVANAがコラボした「ロースタリー パスティッチーニ フライト」が2年ぶりに登場。「パスティッチーニ」はイタリア語で「小さなお菓子」を意味し、栗やカボチャ、洋梨などの秋ならではの素材を使用した、ひと口サイズの焼き菓子8種、サンドイッチなどのセイボリー3種と相性の良い4種の茶葉から1種がポットで提供されます。人気のため80分制となっており、予約はWEBまたは店頭で行われています。 　3階「アリビアーモ バー」では、コーヒーを使ったクラフトカクテルなどが味わえます。蒸留器や実験器具を想起させるサイロを眺めながら、ゆっくりと香りに酔いしれてみては？ 「ロースタリー パスティッチーニ フライト」(5,280円) （画像：スターバックスコーヒージャパン株式会社リリースより）セットで提供されるティー4種（画像：スターバックスコーヒージャパン株式会社リリースより）【下北沢】PostCoffee Offline Store／コーヒー診断や試飲も　10月1日「コーヒーの日」、下北沢にオープンするのが「PostCoffee Offline Store」。 こちらでは、世界中のロースタリーの中から厳選した常時30店以上の著名ロースタリーのコーヒー豆が常時ラインアップ。アメリカを拠点としバリスタチャンピオンを多く輩出している「Onyx Coffee Lab(オニキス コーヒーラボ)」、「街のロースタリーから世界へ」をコンセプトに掲げる人気店「LEAVES COFFEE ROASTERS(リーブスコーヒーロースター)」など、味わってみたかったコーヒーばかり！ カフェ利用も可能（画像：PostCoffeeリリースより）　それもそのはず、日本最大級のコーヒー専門通販サイト「PostCoffee（ポストコーヒー）」の初のリアル店舗となる旗艦店ということで、ワクワクがとまりません。 憧れのロースタリーのコーヒー豆を手軽に手に入れられる！（画像：PostCoffeeリリースより）　さらにお店では、コーヒー診断やバリスタによるカウンセリングを通じて、好みに合ったコーヒーをセレクトしてもらえるそうです。コーヒー試飲や、それぞれの豆に合わせた入れ方、ペアリングなど、さまざまなコーヒーに関する相談をしつつ、自分好みのスペシャルティコーヒーを選べますね。 コーヒー診断で、初心者はもちろん、玄人も新たな出会いを楽しめるかも！（画像：PostCoffeeリリースより）【東京ビッグサイト】SCAJ ワールド スペシャルティコーヒー カンファレンス アンド エキシビション 2023／9月27日～30日　コーヒーの知識をもっと深めたいなら、スペシャルティコーヒー業界関係者が世界中から集まる、年に一度のコーヒーの祭典「SCAJ2023」もおすすめ。9月27日（水）から30日（土）までの期間中、東京ビッグサイトで開催されます。 中南米、東南アジア、アフリカなど多くの生産国や地域が公式参加しており、テイスティングやカッピングをしながら生産者、輸入者に直接話を聞く貴重な機会となっています。さらに、国内外の有名バリスタ＆ロースターが各種イベントや実演に登壇するので、トレンドもキャッチできます。 　中でもおすすめしたいのが、「堀口珈琲」の出店ブース。スペシャルティコーヒー専門店として、最高品質の生豆だけを使用し、ブレンドや深煎りを含め、コーヒーの多様な楽しみ方を提案してきた「堀口珈琲」の出展は、10年ぶりとのことです。 堀口珈琲の出展コンセプトは「スペシャルティコーヒーってなんだろう？」（画像：株式会社堀口珈琲リリースより）　西3ホールの出店ブースでは、「クリーン」「個性」「到達点」という3つのテーマに合わせた複数のコーヒーを試飲できます。テーマをイメージしつつ味わうコーヒー…楽しみ方が広がりますね。 　「堀口珈琲」のブレンダーが「堀口珈琲の深煎り、今ここ」というテーマで創り上げた「ROASTERS’」にも注目。現在の堀口珈琲の技術と知識を結集させて創った深煎りのコーヒー、ぜひ味わってみたいものです。 写真左：ブレンダーの渾身の一作「ROASTERS’」／写真右：「ROASTERS’」入りのSCAJ限定「スペシャルセット」（3,500円）（画像：株式会社堀口珈琲リリースより）　ほかにも「スペシャルティコーヒーってなんだろう？」をテーマに、日本を代表するソムリエやブレンダーとのトークショーも開催されます。言葉のなりたちやコーヒーの風味など、あらゆる角度からスペシャルティコーヒーを掘り下げた特別編集のタブロイド紙も会場限定で無料配布されるそうなので、会場を去る頃には、かなりのコーヒー通になっているかも！ 楽しい学び　コーヒーの世界は深く、知れば知るほど楽しくなります。自分の気分や体調、季節や時間、シーンによって選ぶようになると、どんどん世界が広がります。 　今の自分にぴったりなスペシャルティコーヒーを見つけに出かけてみませんか？ ■スターバックス リザーブ® ロースタリー 東京 販売期間：2023年9月1日（金）～11月9日（木）予定 住所：スターバックス リザーブ® ロースタリー 東京　各階（東京都目黒区青葉台2-19-23） 営業時間：7:00〜22:00（L.O. 21:30） 「ロースタリー パスティッチーニ フライト」 13:00～／14:30～／16:00～(80分入れ替え制)　 アクセス：東急田園都市線・東京メトロ半蔵門線「池尻大橋駅」より徒歩11分 東急東横線・東京メトロ日比谷線・副都心線・みなとみらい線「中目黒駅」より徒歩12分 ※詳細については公式サイトをご確認ください ■PostCoffee Offline Store オープン：2023年10月1日（日）12:00〜 プレオープン : 2023年9月16日（土）〜30日(土) ※不定休 住所：東京都世田谷区北沢2-28-2 深澤ビル1F 営業時間：12:00〜17:00 定休日：火曜 アクセス：小田急線・京王井の頭線「下北沢駅」より徒歩2分 ※詳細については公式サイトをご確認ください ■SCAJ ワールド スペシャルティコーヒー カンファレンス アンド エキシビション 2023 開催期間：【西3・4ホール】2023年9月27日（水）～ 29日（金） 【南3ホール】9月28日（木）～ 30日（土） 会場：東京ビッグサイト 西展示棟 3・4ホール＋南展示棟 3ホール（東京都江東区有明3-11-1） 開催時間：10:00～17:00 （最終日は16:00まで) ※入場には事前登録が必要 料金：当日2,500円／事前登録1,500円 アクセス：ゆりかもめ「東京ビッグサイト駅」より徒歩3分 りんかい線「国際展示場駅」より徒歩7分 ※詳細については公式サイトをご確認ください

ドーナツ・クレープ・シメパフェも！クリームがおいしい新スイーツショップ3選

新しいステージがはじまり、わくわくすることが多い4月。変化を体験したり、緊張するシーンもあったりすると、無性に甘いものが食べたくなりませんか？ そんなみなさまの欲求を満たしてくれる、この春オープンしたばかりのクリームがおいしいスイーツショップをご紹介します。甘いものをチャージして、ポジティブシンキングでGWまでがんばりましょう！新しい環境を楽しむパワーをチャージ　春は変化を感じる季節です。環境が変わったり、新しい出会いがあったり、なにかと緊張することが多いかもしれません。そんなときにはクリームたっぷりのスイーツをほおばれば、緊張もほぐれてホッとした気持ちになれるかも。 　新年度を迎えてがんばっている方に紹介したい、2023年春オープンしたばかりのステキなスイーツショップを見つけました。丁寧に素材を吟味して作られたスイーツたちは、やさしくココロを癒やしてくれるはず！ ごほうびスイーツを選ぶ、わくわくする瞬間（画像：otonomics株式会社リリースより）●【池袋】「HELLO! DONUTS」／人気の韓国ドーナツ専門店　新大久保の人気韓国ドーナツ専門店「HELLO! DONUTS（ハロードーナツ）」の2号店が、3月10日池袋パルコにオープンしました。たっぷり甘めのクリームが詰まったドーナツや、キュートなトッピングに目を奪われます。 　花のトッピングがかわいらしい「ウユクリーム」（418円）は、濃厚なミルククリームがぜいたくなシュガードーナツ。ふわもち食感のドーナツは重さを感じず、ぺろりと食べられてしまいます。シロップ漬けのサクランボが乗ったキュートな見た目の「ミックスベリー」（418円）は、甘酸っぱいミックスベリークリームがさわやか。ほかにも「ヌテラクリーム」や「あんバター」など、食べ比べてみたくなるラインアップ。何人かでシェアしても良いですね。 　池袋パルコ店限定の、紫いも･チーズ･抹茶モンブランも魅力的。ドーナツに生絞りモンブランというぜいたくな組み合わせに、幸せも倍増しますよ。 ちょこんと乗ったアクセントがかわいすぎる！（画像：株式会社パルコリリースより）●【下北沢】「Megan」／バタークリームと焦がしバター香る大人顔のこだわりクレープ　世田谷代田駅〜東北沢駅間の線路跡地にできた「reload」の一角で、3月28日オープンしたばかりの「Megan（ミーガン）」。「スタンダード プラスワン」をテーマに、キラリと光るエッセンスを加えた長く愛され続ける定番の焼き菓子を提供しています。毎日丁寧に手作りされるスイーツに込められた小さな発見が、気持ちをほっこり癒やしてくれるかも。 新メニューも続々登場。国内生産者の厳選フレッシュフルーツをたっぷり使ったタルトなど（画像：株式会社GREENINGリリースより）まず、国内生産のその時期いちばんおいしいフルーツを使用したタルトが目に入ります。広島県瀬戸田町のレモン農園「citrusfarms たてみち屋」のレモンを使った「レモンタルト」（680円）や、和歌山県のみかん農園「善兵衛農園」の糖度の高いオレンジ使用の「清見オレンジのシブーストタルト」（650円）など、フレッシュフルーツに遊び心を加えたタルトです。 　今回注目の新メニューが、ブランド初登場・下北沢店限定メニューは生地が主役の「クレープ」。全粒粉に焦がしバターの香ばしさとバターミルクの爽やかな酸味が味わえる生地のクレープは、名物になりそうな予感。シモキタの街歩きをしながらの食べ歩きにぴったりなスイーツです。 左は赤ワインとシナモンの香りをまとった「無花果ロイヤルミルクティー」（850円）、右は春らしい味わいの「ストロベリーマスカルポーネ」（950円）（画像：株式会社GREENINGリリースより）●【押上】「夜アイス専門店 真夜中牧場」／深夜に出会う濃厚シメパフェ　3月25日にオープンした「真夜中牧場」は、その名のとおり夜にオープンするアイス専門店。深夜24時まで開いているので、残業でクタクタのときも、酔い覚まししたいときも、ユニークなネオンサインがあかあかと光り、やさしく出迎えてくれます。 スカイツリー近くなので、観光帰りや夜ドライブのお供にも！（画像：otonomic株式会社リリースより）　「牧場」とあるように、主役はミルク感たっぷりな濃厚でリッチなアイスクリーム。やさしい甘さが身体に染み渡ります。 　フレーバーは全部で8種類。チョコブラウニーとチョコソースがたっぷりかかった「チョコ・マミーレ！」（840円）や国産イチゴの甘酸っぱさがたまらない「マヨナカイチゴ」（880円）など、ネーミングの面白さにも注目。 　テイクアウトがメインですが、スタンディングカウンターがあり店内でも食べられます。家にたどり着けないほど疲れた日には、こちらでしっかりスイーツチャージして、元気におうちへ帰りましょう。 子ども時代を思い出す「ナツカシノヤーツ」（680円）。カラフルなカラースプレーたっぷりでかわいい。「牧場からUFOで輸送されてきた自慢の濃縮濃厚アイス」を表したロゴもかわいい。（画像：otonomic株式会社リリースより）お気に入りリストに加えて気分をアゲよう　がんばった自分へのごほうびや、もうひとがんばりのエールなど、お気に入りのスイーツはいろいろな役目を果たしてくれます。キュートなドーナツや丁寧に作られたクレープ、ちょっぴり背徳感を味わいながらいただく真夜中のアイスなど、気分がアガりますよね！ 　スイーツ巡りのリストを増やして、これからも充実した毎日を送りませんか？ ■HELLO! DONUTS 池袋パルコ店 住所：東京都豊島区南池袋1-28-2池袋PARCO 本館 B2F TEL：03-6380-2449 営業時間： 11:00～21:00 アクセス：JR・東武東上線・西武池袋線 東京メトロ有楽町線・丸ノ内線・副都心線 池袋駅直結 ■Megan 住所：東京都世田谷区北沢3-19-20　reload 1-9 TEL：03-6407-9899 営業時間：11:00～19:00 定休日：不定休 アクセス：小田急線 下北沢駅より徒歩4分 小田急線 東北沢駅より徒歩4分 ■夜アイス専門店 真夜中牧場 住所：東京都墨田区押上3-3-8 1F 営業時間：16:00～24:00 (※予定数に達し次第、販売終了) 定休日：年中無休 アクセス：東京メトロ半蔵門線・都営浅草線 押上駅より徒歩2分 京成押上線 押上〈スカイツリー前〉駅より徒歩2分 東武スカイツリーライン とうきょうスカイツリー駅より徒歩4分

「世田谷邪宗門」83歳のマスターが紡ぐ比類なき”味” | 老舗レトロ喫茶の名物探訪(1)

下北沢で50余年に渡り純喫茶を営む作道 明さん。その手が紡ぐ熟練コーヒーや温かな雰囲気、レトロ感が織りなす居心地よさは、筆者を老舗レトロ喫茶の名物探訪に駆り立てるきっかけとなりました。その中から、女性にオススメの店を連載で紹介していきます。絶滅危惧種？の純喫茶　喫茶店とカフェとの違いとは？「東京都内に純喫茶はほとんどなくなりましたね」 　そう話すのは、「世田谷邪宗門（せたがやじゃしゅうもん）」のマスター、作道 明（さくみち あきら）さん（83）。この道50余年のベテランマスターです。 下北沢の住宅街にある純喫茶「世田谷邪宗門」のエントランス（2018年8月22日、宮崎佳代子撮影）。この道50余年の作道 明さん（2018年8月22日、宮崎佳代子撮影）。　ここでいう純喫茶とは、法律的区分において「喫茶店営業許可」を取得し、ソフトドリンクなどのアルコールを伴わない飲み物と、菓子類のみ提供することが認められている喫茶店。都内の保健所に聞いたところ、「喫茶店営業許可」では食べ物はトーストやシンプルなホットケーキといったごく簡単な調理までは認められていますが、具材を挟むサンドイッチようなものは通常の調理として「飲食店営業許可」が必要とのことです。 「飲食店営業許可」を取得している店は、アルコール類や調理した料理の提供も認められます。この飲食店営業許可を持っていて「喫茶店」と名乗る店もあり、喫茶店だからアルコールは出せないというわけではありません。またカフェは、おしゃれで喫茶以外にお酒も飲める店とのイメージを持つ人も多いかと思いますが、どちらの営業許可でもカフェと名乗るのは自由だそうです。 　この区分での純喫茶は今や、「絶滅危惧種」とも言えるかもしれません。作道さんに飲食店営業に切り替えないのか聞いたところ、「僕はコーヒーしか美味しい作り方を知りませんから」と一笑。 人気はオリジナルブレンドとコーヒーが主役のあんみつ　ジャズ音楽の流れる店内はカメラや時計などのアンティークが所狭しと飾られ、壁には火縄銃、天井には多数のランプが吊るされています。その多くは、作道さんが脱サラしてこの道に入るきっかけとなった喫茶店「国立邪宗門（2008年に閉店）」の名物マスター、故・名和孝年さんが船乗りの時代に集めたのを譲り受けたものだそうです。 　マジシャンでもあったという名和さんの写真を見せてもらうと、大航海時代の船乗りがタイムスリップしてやってきたような髪型と服装。それがやけに板についていて、ひときわオーラを放っていました。作道さんは名和さんにコーヒーの淹れ方のみならず、マジックも教わったそうです。そんな師匠への永遠の憧れと思慕が垣間見られる個性的な装飾、赤レンガの壁、ほっと寛げる家庭的な雰囲気は、まさに昭和レトロな喫茶店といえます。 所狭しとアンティークが並ぶ店内（2018年8月22日、宮崎佳代子撮影）。店の片隅に置かれている、昔懐かしいジュークボックス。曲目のほとんどが美空ひばり（2018年8月22日、宮崎佳代子撮影）。1967年当時のメニュー。コーヒーは紅茶と同じ90円だったそう（2018年8月22日、宮崎佳代子撮影）。　同店では、看板メニューのオリジナルブレンドに加え、あんみつコーヒーが人気とのこと。あんみつは、黒蜜の代わりにコーヒーをかける創作スイーツで、20年近くに及ぶ名物メニューだそうです。 人気のあんみつコーヒー 800円（2018年8月22日、宮崎佳代子撮影）。あんみつコーヒーは、コーヒーをそそぎ、寒天、アイス、餡を混ぜ合わせて食べる（2018年8月22日、宮崎佳代子撮影）。　このあんみつコーヒーの主役は「あくまでもコーヒー」です。「コーヒーあんみつ」と呼ぶと注意されるので要注意！　コーヒー（フレンチロースト）にアイスクリームと餡の甘みが溶け込むことで、マイルドな苦味と酸味を伴った甘さとなり、寒天との絶妙な食感や味わいのハーモニーを楽しめます。アイスクリームの乳脂肪分量から寒天の固さに至るまで、「食材の相性に試行錯誤を重ねました」と作道さんは話します。 紅茶の淹れ方は森 鴎外の娘に教えてもらう紅茶の淹れ方は森 鴎外の娘に教えてもらう　世田谷邪宗門には、森 鴎外の娘の森 茉莉さんがよく来て、お気に入りの席に座って日がな一日原稿を書いていたそうです。イギリスメーカーの紅茶葉をお土産に買ってきて、美味しく紅茶を淹れる方法を教えてくれたのも、茉莉さんだったとのこと。それまで作道さんは日本メーカーのティーバッグを使っており、茉莉さんからもらった紅茶缶を開けた瞬間、その香り高さに「イギリス製の紅茶には女性用の香水が入ってる！と真剣に思った」と言って、笑みを浮かべました。 「今は森 茉莉さんのように、一日中、店で原稿を書いている、というような人はいなくなりました。サラリーマンの人たちも、昔は営業先訪問までの時間潰しや、3時頃にちょっとサボリによく来ていましたが、今はどこの会社も時間管理が厳しくなったみたいで。学生の下宿もなくなって、人足が遠のきました。会社でも家でも今はいいコーヒーマシーンがありますしね」（作道さん） 　そんな話をしながら、ハンドドリップで淹れてくれた邪宗門オリジナルブレンドコーヒーは、モカベース。普段あまり好んで酸味のあるコーヒーを飲まない筆者が、すんなりと飲むことができたのは、香りとコク高いコーヒーの美味しさに加え、作道さんが醸す空気感とレトロな佇まいの3つ”味”が調和してのことに思えました。 開業以来ずっと使い続けている豆挽き（左）。何十年と使い続けているカップに注がれた、邪宗門オリジナルブレンドコーヒー（ホット、520円）はモカベース（2018年8月22日、宮崎佳代子撮影）。「あと、1、2年でもう引退かな？」という作道さん。時代はサードウェーブ。そうは言わずに、どんな高性能コーヒーマシーンにも作れない、熟練の味わいを、できる限り長く提供し続けてほしい。 　久しぶりに老舗喫茶ならではの温かみや長居したくなる心地良さ、円熟味のある美味しさを味わい、老舗レトロ喫茶とその名物探訪をしてみようと思い立ちました。本連載では、その中から女性にオススメの店を紹介していきます。　 ●世田谷邪宗門 ・住所：東京都世田谷区代田1-31-1 ・電話番号：03-3410-7858 ・アクセス：京王井の頭線「下北沢駅」南口から徒歩約12分、小田急バス「代沢小学校」下車 徒歩約3分、東急バス「代田中筋」下車 徒歩約4分 ・営業時間：9：00〜18：00 ・定休日：木曜日　 ※作道さんの体調により、定休日以外にも休業する場合があります。来店の際は電話で確認することをおすすめします。