江戸、造幣の歴史に思いをはせて――日本橋に登場したジャパニーズレストラン「KINZA」の魅力
中央区の日本橋には江戸時代、「金座」と呼ばれる幕府の金貨鋳造機関がありました。今では知る人の少ないその歴史的施設を現代に復活させようと、2020年9月に「KINZA」と名づけられたジャパニーズレストランがオープンしました。かつて日本橋にあった重要機関「金座」 江戸時代、日本橋にあった「金座」をご存じですか? 金座とは、江戸幕府が発行する金貨製造(大判を除く)に関する独占的な特権を与えられていた貨幣鋳造機関。 元禄の改鋳(貨幣を製造し直すこと)以降、幕府は江戸を中心に金貨製造を行う集中生産体制を敷きました。 1869(明治2)年に造幣局に吸収され廃止されるまで、日本橋は金貨製造という重要な役割を担ったのです。跡地には現在、日本銀行本店が置かれ、金融近世史の系譜を現代に伝えています。 かつて「金座」があった日本橋にオープンしたジャパニーズレストラン、その名も「KINZA」(画像:MAMI HASHIMOTO) とはいえ現在、「金座」の名を知る人は決して多くはありません。 歴史的な名所を現代に復活させようと、かつて金座があった日銀の向かいに2020年9月、「KINZA」と名づけられたジャパニーズレストランがオープンしました。 自慢のオリジナルメニューと豊富な日本酒 広々とした店内と、日銀本店を目の前に臨むテラス席。 旬の素材を使った季節料理のほか、葱山椒をのせた大海老の唐揚げ、和牛肩ロース、鯖・鰯・宗田鰹・焼き飛あご魚に鶏ガラを加えた出汁のおでんなど、オリジナルのメニューが自慢の新店です。 新しい和食の魅力を堪能できるKINZAのメニュー(画像:MAMI HASHIMOTO) ホタテの磯辺焼きは、近くの老舗・山本海苔店(日本橋室町)の焼きのりを使用した日本橋ならではの一品。ドリンクは豊富な日本酒に加えて、ビールやワインがそろいます。 江戸の息遣いを伝える圧巻のデジタル絵巻江戸の息遣いを伝える圧巻のデジタル絵巻 圧巻なのは、店内中央に設置された巨大パネルに映される「熈代勝覧(きだいしょうらん)」絵巻のデジタル動画。 1805(文化2)年頃の江戸日本橋を描いたとされる同作には、はるか富士の山と日本橋 、大通りに軒を連ねる問屋、店が……。 そこを行き交う人々、それに馬や犬にまでデジタル処理がほどこされ、当時のにぎやかな日本橋を生き生きと再現しています。 「伝統と革新」日本橋の街を体現する店 運営会社ビー・ワイ・オーの広報担当、畑垣奈央さんによると、目指したのは海外の瀟洒(しょうしゃ)な街角にあるようなジャパニーズレストラン。 店内に設置された「熈代勝覧」絵巻のデジタル動画(画像:MAMI HASHIMOTO) 定番の日本料理に現代ならではのひと工夫を足したメニューの数々は、「伝統と革新」が共存する日本橋そのものを体現する顔ぶれ。 BGMのソウルが食や 内装の「和」の要素をいっそう際立たせて、慣れ親しんできた日本文化の新たな横顔をのぞかせてくれるようです。 店内はゆったりしたテーブル席のほか、個室や立ち飲みスペースも。 「おひとりさまでもグループでも、さまざまなシーンに対応できるしつらえにしております。かつてこの場所で金貨の製造が行われていた歴史に思いをはせつつ、新しい和食と日本酒をお楽しみいただけたら」(畑垣さん) ※ ※ ※ ●ジャパニーズレストラン「KINZA日本橋」店舗概要 ・住所:東京都中央区日本橋室町2-1-1 三井2号館1階 ・電話:03-6262-7406 ・営業時間:ランチ11:00~15:00、カフェ15:00~17:00、ディナー17:00~22:00 ・席数:店内139席、テラス52席、個室4室 ・アクセス:東京メトロ銀座線・半蔵門線「三越前」駅A8出口から徒歩1分
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