下北沢最古の「カレー店」が人気マンガの聖地になっていた!
下北沢で最も古いカレー店とされる「北沢カレー食堂 茄子(ナス)おやじ」。人気漫画にも登場した同店の魅力について、ご紹介します。下北沢は「カレーの街」 東京で「カレーの街」といえば、千代田区の神田神保町です。しかし下北沢や吉祥寺でも近年、カレー専門店が続々と出店しています。 下北沢では毎年10月頃、「下北沢カレーフェスティバル」が開催され、同エリアのカレー専門店などが数多く参加します(2021年は124店舗)。 各店舗のカレーはミニサイズで提供されるので、さまざまな味が楽しめます。お気に入りのカレーが見つけられるチャンス。気になった人は一度参加してみましょう。 世田谷区代沢にある「北沢カレー食堂 茄子おやじ」(画像:(C)Google) 今回は、そのなかから「北沢カレー食堂 茄子(ナス)おやじ」(世田谷区代沢、以下茄子おやじ)を紹介します。 漫画に登場した「茄子おやじ」 茄子おやじは、月刊「デザート」連載のやまもり三香さんの少女漫画『うるわしの宵の月』に登場しています。まずは『うるわしの宵の月』のあらすじをご説明しましょう。 すらりと伸びた手脚と女性にしては低めな声。そして、クールな顔立ちから「王子」と呼ばれている女子高生・滝口宵(よい)。彼女は女性扱いされない自分に、複雑な感情を抱いていました。 『うるわしの宵の月』第1巻(画像:やまもり三香、講談社) そんなある日、学校内で自分と同じように「王子」と呼ばれている先輩・市村琥珀(こはく)に出会います。初対面で男と間違えられ怒る宵。しかし、この出会いをきっかけに宵は琥珀と急接近していくことに……。 そんなふたりが心を通わせる場所として描かれているのが、茄子おやじです。宵の実家はカレー店で、そのモデルとして茄子おやじが選ばれています。 なぜカレー店なのでしょうか。それは、宵と琥珀の接点がないことに気づいた作者が「ふたりがたむろできる場所」として設定。理由は「カレーは男子に人気」と実にシンプルです。 下北沢で最も古いカレー店下北沢で最も古いカレー店 茄子おやじは、下北沢で最も古いカレー店です。初代店主・阿部孝明さんが「吉祥寺カレー屋 まめ蔵」(武蔵野市吉祥寺本町)で4年ほど働いたのちに、1990(平成2)年に開店。その後、阿部さんは2016年に引退。現在は故郷である埼玉県小川町で、「小川ぐらしの茄子おやじ」を営んでいます。 武蔵野市吉祥寺本町にある「吉祥寺カレー屋 まめ蔵」(画像:(C)Google) ちなみに茄子おやじという店名は、阿部さんがまめ蔵で働いていたとき、カレーにトッピングするナスをよく味見していたことが由来です。 阿部さんの引退後、西村伸也さんが2代目店主を引き継ぎました。西村さんは友人に紹介されて食べに行った茄子おやじの味にほれて、アルバイトに。もともとカレー好きで、将来はカレー店をやってみたいと思っていたこともあり、2017年にお店を引き継ぎました。 お店の外観はカフェのようなたたずまいで、店内にはバンドマンでもある西村さんの趣味であるレコードがズラッと並んでいます。流れるBGMも西村さんが選んでおり、洗練されたその雰囲気は、女性ひとりでも入りやすくなっています。 メニューは5種類のみ 茄子おやじのメニューは、至ってシンプル。 ・ちきん ・びーふ ・やさい ・きのこ(平日のみ) ・スペシャル(ぜんぶ入り + ゆで卵) の5種類のみ。ここにセットで、ドリンクやデザート、サラダなどが付きます。 1番人気は風味豊かなスパイスの辛さと、野菜やお肉の甘みが癖になるスペシャル。具のひとつひとつがゴロっとしているためボリュームたっぷりに見えますが、意外にもペロッと食べきれます。 「北沢カレー食堂 茄子おやじ」のツイッター(画像:編集部スクリーンショット) カレー以外にも、茄子おやじではオリジナルTシャツを販売中。過去には、原宿のセレクトショップ「UTILITY(ユーティリティー)」(渋谷区神宮前)とコラボ。2021年10月には、UNIQLO × 下北沢カレーフェスティバル × 茄子おやじのコラボTシャツも発売されました。 西村さんはこれらの取り組みで、誰もが気軽にお店に立ち寄れるように努力しています。最近では『うるわしの宵の月』の読者が、お店に聖地巡礼をしています。気になる人は、ぜひ一度足を運んでみてください。
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