東京と地方、結局どっちに住むのがいいの? 4つの観点で比較してみた
拡大し続ける「最低賃金」格差「地方に移住してみたい」「都心と田舎の2拠点生活がしたい」など、地方での生活を夢見る人が増えている昨今。しかし実際に田舎に住んでみて、「やっぱり東京の方が住みやすかった」と思い直す人も少なくないようです。 特に小さな子どもがいる家庭は、収入面や教育環境を考えて「むしろ東京に住んだ方が良いのかもしれない」と思うケースもあるようです。4つの観点から考えてみましょう。 都会に暮らす女性のイメージ(画像:写真AC)●仕事と生活費の兼ね合い 東京と地方で大きく異なるのが仕事、とりわけ「業種、求人数、収入」です。最低賃金で働いた場合の年収総額を比べた場合の、都市と地方の違いは歴然。その差はこの10年で2倍にまで拡大しました。 例えば派遣のオフィスワークで比較すると、東京なら時給1500~1600円のところ、地方では1100円ほどが相場です。同じ時間を働いても当然、東京の方が給料は多く支払われます。地方の場合「正社員でも手取り10万円台」ということも決して珍しくありません。 業種の選択肢にも違いが表れます。 地方で「安定した職業」といわれるのは、公務員、金融、看護師、保育士など。地方の求人は業種も求人数も限られ、ウェブ系などクリエーティブな職業はぐんと少なくなります。働き方のスタイルについても、テレワークの導入といった取り組みはどうしても地方の方が遅くなりがちです。 「給料が高い分、東京は家賃も高い」という指摘もありますが、東京への電車通勤が可能な埼玉県の南部や神奈川などを居住地に選べば、家賃は抑えられます。 地方は東京に比べれば家賃は低いものの、その代わりに欠かせないなのが「自家用車」です。車本体の購入代金、ガソリン代、自動車税、保険、修理代、タイヤ交換代、駐車場代……と考えてみると、東京に暮らすよりむしろ車を所有する方が負担が重いのでは、という声もあるほどです。 物価も、東京都内でも住む地域によっては地方とあまり変わらないところも多いようです。例えば板橋区在住のある女性は「近くにある商店街は、一般的なスーパーよりもかなり野菜が安く手に入る」と話します。 共働き世帯「子育て支援」の充実度共働き世帯「子育て支援」の充実度 地方にある実家の近くに住み、仕事にも就いている既婚女性の場合、自身の両親や義父母が育児に協力してくれるというメリットがあります。一方で東京には、病児育児やベビーシッター、家事代行会社といった子育てをサポートするサービスが、地方とは比べ物にならないほど充実しています。 口コミサイトなどをのぞいてみると気軽に利用している人が案外多く、どちらかというと敷居の高いイメージが強かったベビーシッターや家事代行も「意外と気軽に使えるのかも」と思えるかもしれません。実際、千代田区で働くある女性は「家事代行を使ったり、ベビーシッターを利用したりしながら働いている女性は周りに多い」と証言します。 都市部に集中する待機児童の問題を考えれば地方の方が保育所に入りやすい半面、ベビーシッターなどの代替サービスも東京には充実しているのです。 地方暮らしのイメージ(画像:写真AC)●子どもへの仕送り費用 大学進学などで子どもが将来上京する場合、地方在住の家庭には「仕送り費用」が発生します。大学生への仕送り額は平均6~7万円で、東京在住となるともう少し高額になる家庭が多いようです。 地方で仕事をしながら子どもひとりにつき毎月7万円以上の仕送りをすると考えると、これはかなり厳しい出費と言わざるを得ません。それが東京やその周辺在住となれば、進学後も同居を続けるという前提で言えば「仕送りなし」で済むのです。 ●前時代的な価値観が残る これは「全ての地方に当てはまる」とは言えませんが、地方によっては前時代的な価値観が残っていることが間々あります。親戚付き合いやご近所同士の交流が濃密だったり、ちょっとしたうわさがいつの間にか町内中に広まってしまったり、ということもあるいは起こりうるかもしれません。 現代社会では夫婦の共働きや男性の家事育児への参加など家族のスタイルは変化していますが、地方では「男は仕事、女は家を守るもの」という考えを持ち続けている人も少なくありません。祖父母が近くに住んでいる場合は、家事や育児、仕事に関して必要以上に口を出されてしまい戸惑っているという人も多いようです。 ※ ※ ※ 東京在住というと、まず「とにかくお金が掛かる」というイメージが先行しますが、在住地選びの工夫や給与面での優位性などを考え合わせると、生活していく上では地方とそう変わらない場合もあると言えそうです。と同時に、地方では得難い東京ならではのメリットも少なくないようです。 何を求めるかによって当然変わってきますが、仕事や子育て、近所付き合い……さまざまな点を勘案した結果、「やっぱり東京に住みたい」と考える人も多いのではないでしょうか。
- ライフ