頑張り屋さんの銭湯でホッとひと息、ちょいと歩いて庶民的大衆居酒屋へ 東北沢【連載】新!東京湯巡り、徘徊酒(1)
昔ながらの銭湯でひとっ風呂浴びたら、歩いて馴染みの居酒屋へ――。銭湯巡りと飲み屋歩きをこよなく愛するコラムニストの島本慶さんが、東京の魅力的な銭湯と居酒屋のハシゴ歩きへお連れします。第1回は、世田谷区の東北沢駅からスタートです。有名な役者さんもスッポンポン 小田急線で新宿から東北沢へ。ここは各駅に乗って下北沢の1個手前です。でまぁ住宅街のゆるやかな坂の途中にある「石川湯」(世田谷区北沢3)に入ります。 小じんまりした銭湯ですが、実はここは頑張り屋さんですよ。あれは確か2011(平成23)年でしたか、東日本大震災のときもやってました。おっやってるじゃん! と驚きつつも私、ひとっ風呂浴びたのを覚えています。 そしてつい最近の大型台風19号のときも。たださすがにお客さんがひとりも来なくて、雨足も強くなってきたところで閉めたそうです。珍しいですよ。どこもみんなやってなかったのにねぇ。 ちなみに、ここにはサウナとかはありません。本当にシンプルでキレイな銭湯です。それと今は470円です。消費税のおかげでね。浴槽はジェットがふたつのボコボコ湯。程良い温度でウットリ。 このあたり、役者さんとかが住んでるらしく、ときどき驚いちゃうような有名な役者さんを見かけます。でもスッポンポンになればみんなオヤジですから関係ありませんな。 でまぁスッキリして、体をよおくフキフキして脱衣場に戻り、乾いたタオルで頭も拭いてから体重計(昔ながらの鉄のやつ)へ。いやぁ、最近やせちゃって53.5kgですから私。中・高生の頃に戻っちゃいました。 庶民居酒屋「熊八」の店構え(画像:島本慶さん制作) というわけで、湯上りは心地良い風に吹かれて、京王井の頭線は池ノ上の駅に向かいます。駅の踏切に着く手前にある「熊八」(世田谷区北沢1)という居酒屋さんに入ります。 アスパラの肉巻串、2本いただき!アスパラの肉巻串、2本いただき! おやおや、相変わらず混みあってますよ。とにかくここ安いからねぇ。私みたいに独りでなら何とか入れっけど、2~3人だと予約した方がいいみたい。 まぁ何とか、くの字のカウンターの隅っこに座れて、まずは生ビールの中(450円)。大生(550円)ってのもあります。とそこにお通しが運ばれてきます。これがお楽しみ。なにしろ毎日違うし、時間帯によって変わるんです。でもみんなウマイ! この夜はレタスの上に豚しゃぶ? 底にあるダシと絡めて食べると絶妙な味ですよ。ボリュームもあるし。 生ビールをおかわりしてっと、白板にギッシリ書かれたメニューのなかから、アスパラの肉巻(250円)を2本いただきます。これが1本の串に7個もあって量の多いこと! さてと、ん? 何々、白魚とゆり根の天ぷら(380円)かぁ。いただきましょう! 天つゆも出されてっけど、半分は塩でね。おおっとこれが大皿でドーンと運ばれてきて、何なのこの量は! いやぁおいしいけど、おなかいっぱいになっちゃいますよ。 それじゃあホッピーの白(380円)にしよっと。あ~いい気持ち。いい~気分。 「熊八」の人気メニュー(画像:島本慶さん制作) ところでここの店のご主人だけど、忙しすぎるとプィといなくなるので有名。そうねぇ、だいたい夜の9時を回ったあたりかな。まぁ長くても小1時間で戻ってくるんだけど、その間はバイトの女のコふたりが大変。とはいえ、常連客はみんな心得ていて、ニヤニヤしております。 バイトの女のコからは大将と呼ばれていますが、私みたいにカウンターに陣取ってるオヤジたちからはマッちゃんと呼ばれてる。カウンターはオヤジぶぁっかで、実はお座敷があってそこは若い人のグループ席って感じ。ワイワイガヤガヤ楽しそうです。 それにしも常連さんのなかには、毎日来る人もチラホラ。私なんかいつ行ってもいるからスゴイ。もぉ、主(ぬし)みたいというか主ですよ。入ってくるなり、かってに冷蔵庫から出したり、いるでしょ? そういう人。どこの店にもいるでしょ? バイトの女のコの私生活のことも知りつくしてる人。 私じゃないですよ。めったに来ないから。それにしてもみんな楽しそう! あぁ~酔っぱらったかなぁ~。
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