日比谷公園の「首かけイチョウ」って何? 紅葉シーズン到来で深まる謎、都内の穴場スポットもご紹介
紅葉シーズンにぴったりな都内の無料スポットについて、フリーライターの下関マグロさんが紹介します。「首かけ」の意味とは? 紅葉シーズンがやってきました。東京では標高の高い高尾山(599m)などが最初に紅葉しますが、その後都心でも徐々に紅葉が始まります。というわけで、散歩ライターの筆者(下関マグロ)がおススメする都心の紅葉スポットをご紹介しましょう。 入園料を支払う庭園もいいのですが、今回は無料で楽しめる紅葉スポットをピックアップしました。すべて歩きながら鑑賞できるスポットですので、散歩がてらにぜひ出かけてみてください。 ●日比谷公園(千代田区日比谷公園) まず、最初にご紹介したいのが1903(明治36)年に開園した日比谷公園です。広大な敷地の公園は、歩くだけでもけっこうな運動になります。公園内にはいくつかの池がありますが、紅葉が美しいのは雲形池(くもがたいけ)です。池には都市公園の噴水としては3番目に古い鶴の噴水が。池の周辺にはイチョウの黄葉やモミジの紅葉を鑑賞できます。 日比谷公園の雲形池にある鶴の噴水のあたりは、赤や黄色に色づいた木々が美しい(画像:下関マグロ) また、S字の銀杏並木の黄葉も美しいですね。なかでも見どころは、レストラン「松本楼」の前にある「首かけイチョウ」です。ちょっと変わったこのイチョウの樹齢は400年以上といわれています。 もともと日比谷交差点のところにあったのですが、道路の拡幅工事のために伐採される寸前だったそうです。日比谷公園の設計者である本多静六が、自分の首をかけてでもイチョウを公園内に移植すると主張したとのこと。だから「首かけ」という名前がついたんですね。 「黄金の絨毯」が楽しめる「黄金の絨毯」が楽しめる この首かけイチョウをさらに有名にしたのが、1971(昭和46年)11月19日に起きた事件です。過激派組織が松本楼に火炎瓶を投げて全焼し、この首かけイチョウも黒焦げに。長い樹齢のイチョウの終わりが来たと誰もが思いましたが、なんと翌年の春には新芽が出てきたそう。 こんなエピソードもあり、首かけイチョウがパワースポットだという人も多くいます。たしかにこのこの首かけイチョウの太い幹を見ていると、パワーをもらえるような気がします。 ●明治神宮外苑(新宿区霞ヶ丘町、港区北青山) 東京メトロ銀座線の外苑前駅から地上にあがると、青山通りから絵画館へ続くイチョウ並木があります。 紅葉時の明治神宮外苑(画像:下関マグロ) 11月の後半から12月に前半までの間、「黄金ロード」が楽しめます。約300mの黄金ロードには4列にイチョウが植えられています。その数は146本。時期によっては落葉した黄金の絨毯が敷き詰められ、その景色は圧巻です。 また、この時期は毎年「神宮外苑いちょう祭り」が行われます。屋台なども多く出て、お祭り気分にも浸れますね。 派手さはないが、紅葉本来の魅力を楽しめる 次に紹介する紅葉スポットはこれまでのものほど有名ではありません、穴場的なスポットです。 ●玉川上水・内藤新宿分水散歩道(新宿区内藤町) 新宿駅から歩いて10分ほどのロケーションでありながら、銀杏並木が楽しめる散歩コースがあります。新宿御苑の脇にある側道で、正式名称は「玉川上水・内藤新宿分水散歩道」。 この名前からもわかるように、ここはかつて、玉川上水が流れていました。玉川上水とは江戸市中に飲料水を供給していた水道で、多摩の羽村から四谷までの全長43kmが1653(承応2)年に築かれました。この散策路にはその光景を再現した小川が流れています。 新宿御苑は有料ですが、こちらは無料です。長さは約600mとそんなに長くはありませんが、新宿御苑脇を新宿から四谷方面へ続く道はイチョウ並木になっていて、紅葉シーズンには黄金の絨毯が敷き詰められます。 イチョウ以外にモミジの木もあって、真っ赤に色づいていたりします。派手さはありませんが、紅葉を楽しめる道になっています。 ただし、この素敵な散策路の唯一の欠点は、歩ける時間が限られていることです。月曜日は終日休み。それ以外の日も午前9時から16時半までしか開放されていません。管理しているのが新宿御苑のため、その休みや開園時間に準じているのです。出かける際は気をつけてください。
- おでかけ
- 外苑前駅
- 新宿御苑前駅
- 日比谷駅