ついつい「下の子」だけを可愛がってない? 家庭崩壊を招く「兄弟差別」、元塾講師が伝授する回避テク3点
下の子をつい可愛がってしまう、えこひいきしてしまう――。子育てをしているなかで、このように思いつつも反省している親御さんは少なくないでしょう。兄弟にかける愛情の差が広がり続けると「兄弟差別」につながります。元塾講師で、子どもの教育問題に幅広く携わってきたライターの中山まち子さんが、こういった「兄弟差別」の回避策を紹介します。兄弟・姉妹差別はトラブルの元凶に 同じ両親から生まれても、兄弟・姉妹間で学力や運動面で差が出ることは珍しくありません。子どもの能力差や、親の「この子の方が好き」という感情で片方の子を溺愛すると、兄弟・姉妹間に大きな溝を作り、家族関係が修復困難な状況に陥ることがあります。 筆者が塾講師の仕事をしてたとき、担当していた女子中学生の生徒が「母親は弟ばかり可愛がる」とよく嘆いていました。その生徒はことあるごとに、「早く家を出たい」と口にしていました。彼女は年頃ということもあり、母親からの愛情不足を年上の男性に求めるようになり、援助交際まがいのことを行おうとし、塾の先生たちが思いとどまらせた経験もあります。 そこで今回は、トラブルに繋がりかねない親の「兄弟・姉妹差別」について、実例や対処法を紹介していきます。 能力差があるのは自然 筆者には3人の子どもがいますが、性格や得意なこともバラバラです。乳幼児期の発達も個人差がありました。 愛は均等に与えよう(画像:写真AC) 特定の子どもを偏愛する親は、「全員の子どもが同じ能力を持ち合わせているわけではない」という前提を持ち、子育てするのが大切です。 親子であっても人間同士。気が合う、合わないを感じる親もいます。子どもへの愛情が自分の感情だけで偏ってしまうと、愛情不足の子どもは大きな精神的ダメージを受けてしまいます。親から差別された子は早々に家を出て、親子の縁を切ったり、音信不通になったりすることも多いのです。 しかし、その反対に引きこもり状態になるケースもあります。筆者の身内にこのタイプ子がふたりほどいます。第三者から見ても極端なほど、母親が下の子に愛情を注いでいたのです。筆者の母はことあるごとに、「習いごとも進学選びも片方ばかりに力を入れて可哀想だ」と口にしていました。 幼少期から母親の愛情に飢えていたのでしょう。結局どちらも就職をせず、ずっと家に引きこもっています。このように、不自然な愛情の偏りは家庭内の不協和音を生み、トラブルの種を撒くだけなのです。 個性を伸ばすことを意識しよう個性を伸ばすことを意識しよう たとえ学力や運動で差があっても、一方の子だけ褒めちぎることはしないようにしましょう。 兄弟差別をしてはいけない(画像:写真AC) 兄弟・姉妹で能力差があるのは自然なため、親は「子どもの努力」に焦点を合わせる姿勢が必要です。兄弟・姉妹差別を回避する方法は、次の3つです。 1.興味のある習いごとをそれぞれにさせる 2.結果ではなく、努力や取り組みを褒める 3.チャンスを平等に与える それぞれの方法を見ていきましょう。 1.興味のある習いごとをそれぞれにさせる 兄弟・姉妹だからと言って、同じ習いごとをさせる必要はありません。片方の子が我慢して通っていると、「好きでもないのに通わせられている」と鬱憤が溜まります。親として決して差別しているわけではないにもかかわらず、子どもにはそう受け止められないかもしれません。 やる気を感じない子がいれば、まず話を聞いてみましょう。本当にやりたい習いごとを聞き出し、通わせるようにしてください。兄弟・姉妹がバラバラの習いごとに通うと送迎の負担も大きくなりますが、それぞれの個性を伸ばすことが大切です。 2.結果ではなく、努力や取り組みを褒める 要領が良い子はすぐに結果を出すため、親は褒めがちです。しかし、結果ばかりを気にすると、不器用な子が褒められる機会が極端に少なくなります。子どもの努力や取り組む姿勢に目を向け褒めるようにすれば、差別が生じにくくなります。 子どもは親から褒められたり、「頑張っているね」と励ましの声をかけられると嬉しくなります。親子関係を安定させるためにも、ポジティブな言葉を意識して口にするようにしましょう。 3.チャンスを平等に与える 習いごと以外で、進学のチャンスを諦めさせるという差別があります。子ども本人の意志を無視し、大学に進学させなかったりなどがこれに当てはまります。親の愛情を受けている子だけに予備校に通わせ、より良い大学に行かせるなど、誰の目にも不公平なことを平気ですると、片方の子は大きく傷つきます。本人が望むなら、進学などのチャンスを平等に与えることが親の努めです。 ここでご紹介した3つの方法を意識しながら、子どもに接していきましょう。 子どもは親のえこひいきを感じている 子どもは親の言動に敏感です。「弟ばかり甘やかしている」「真ん中の自分はいつもスルーされている」など、小さなことが積み重なると、親への不信感が募っていきます。 深く考えずに、軽い気持ちで差別していても、子どもは深刻に受け止めます。親である以上、どの子に対しても平等に接しましょう。
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