今の中高生、本音は「結婚したい」 不安のワケは芸能人の不倫報道だった
中高生の81%が「結婚したい」「若者の恋愛離れ」、また「若者の結婚離れ」がしばしば指摘される現代日本。 とりわけ首都・東京では、いわゆる生涯未婚率が男性26.06%、女性19.20%と極めて高い水準(国立社会保障・人口問題研究所「人口統計資料集2020年版」)。 「結婚しなくても幸せになれるこの時代に……」という結婚情報誌のCMが人気を集めるなど(『ゼクシィ』2017年)、結婚を取り巻く若い世代の考えは大きく変化していると言われています。 ただ、本当に若者が結婚に対する興味関心を無くしてしまったのかというと、必ずしもそうとは言い切れないよう。 中高生を対象に行ったアンケート調査によると、「将来、結婚したいと思うか?」との問いに対して実に80.9%が「したい」と回答したといいます。 その半面アンケートからは、結婚に希望を抱くと同時に不安を感じる人もまた少なくない現状が明らかになっています。 果たして彼らが不安に感じることとは、またその根本原因とは? 結婚に「不安がある」85%も アンケートを行ったのは、東京都内の女子大生らでつくる若者トレンドのコンサルティングチーム、ネオレア(渋谷区恵比寿)。全国の中高生を対象にインターネットで実施し、2374人から回答を得ました。 「絶対したい」(1113人)「できればしたい」(809人)が合わせて8割超を占めており、結婚へのあこがれや希望は今の若い世代にも健在。 ただ同時に「結婚について不安に思うことはあるか」という問いに85.0%が「ある」と回答しています。 その具体的な中身について、同社が配信中のネットラジオ放送「若者ラジオ」で女子大生たちが紹介・分析しています。 そもそも出会いはあるのか?そもそも出会いはあるのか? 不安その1。そもそも、結婚につながるような出会いはあるのか? 「結婚は人生の中での大きな決断。生涯一緒にいたいと思えるような相手にいつどこで出会えるのだろうという、漠然とした不安はやっぱりありますよね」と、ラジオパーソナリティー役の女子大生たち。 とはいえご存じの通り現代には、「出会う方法」それ自体は無数に用意されています。SNSしかり、マッチングアプリしかり。 若い世代があこがれや希望を抱いて結婚に向かうため、解消したい「不安」とは?(画像:写真AC) しかし人と簡単につながれるこの状況こそが、むしろ彼女たちの不安を高めてもいるようです。 「出会いの母数が増えたというのは、つまり『運命』の母数が増えてしまったということ。そのせいで逆に運命を感じなくなってしまっている、『この人とでいいの?』と思うようになっている気がするんです」 女性は名字を変えなくてはならない? ラジオでは、アンケート結果の内容を受ける形で「選択的夫婦別姓」を希望する意見も紹介されました。 女子大生たちは、 「私はどちらかというと珍しい名字で自分でも気に入っているから、できればこのままでいたい。でも今の法律婚はどちらかの名字にしなければいけないし、大半は女性が男性の名字にしているのが現状だし」 「私もきょうだいが姉と自分のふたりだから、(姉妹とも夫の姓に変えると)家の名字が無くなってしまう。それは寂しいかなあ」。 核家族(さらには単身世帯)が一般的となり、夫の家に「嫁(とつ)ぐ」という感覚が薄れた現代、とりわけ東京に住む若者にとっては、女性が男性側の名字に変更することに対しマイナスのイメージを抱いている例も少なくないようです。 さらに、今の若い世代が注目しているというのが、現在は法律で認められていない「同性婚」だといいます。 人生のパートナーに性別は関係ない人生のパートナーに性別は関係ない「なぜ異性同士しか結婚できないのか、制度が時代に追いついていない、古いという印象はあるし、(アンケートに答えた)中高生もその点に声を上げていますね。誰をどう愛するのかなんてそのときまで分からないし、皆が平等に結婚という制度を取れるようになればいいのにと、私も思います」 「人生を共にするパートナーを選ぶのに、今はもう性別は関係ないように感じますね」 夫婦別姓や同性婚、多様な形の幸せが認められてこそ「結婚」に希望を抱けるという若者は少なくないようだ(画像:写真AC) これらの意見から垣間見えるのは、若い世代の感覚や価値観は日々アップデートされていて、夫婦別姓や同性婚について「なぜ認められないの?」と、彼らが素朴に疑問を感じている様子。 現在の結婚制度そのものが「古臭い」「前時代的」と捉えられてしまえば、同性婚・異性婚、同姓・別姓のどちらに限らず結婚から遠のく若者がなお増えてしまうかもしれない将来を、彼女たちの発言は示唆しています。 またこのほかにも 「自分や相手の両親に認めてもらえるのか」 「過程を経済的に安定させられるのか」 「キャリアと両立できるかどうか」 「ちゃんと自分に子育てができるのか」 といった不安が、中高生たちへのアンケートには寄せられたと言います。 テレビ・ネットの「不倫報道」の代償テレビ・ネットの「不倫報道」の代償 そしてもうひとつ、切実な不安として挙げられたのが「家庭内の問題」。具体的には 「相手に浮気や不倫をされないか」 「ずっと幸せな家庭を築いていけるのか」 などでした。 こうした声が上がる背景について「若者ラジオ」の女子大生は、昨今、芸能人・著名人の不倫にまつわる報道が過熱し、それの情報に10代も日常的に接するようになったことが影響していると指摘します。 またさらに言えば、芸能人に限らずツイッターなどのSNS上で一般ユーザーが配偶者との不和や相手への不満、浮気・不倫をされた経験を“匿名の愚痴”として赤裸々に発信している例も少なくありません。 それらが、若者が結婚に対してネガティブな印象を抱く要因となっているならば、私たち大人世代は情報発信の内容により思慮的になるべきだとも言えそうです。 デジタルネーティブと呼ばれ、日々膨大な情報に触れている若者たちは、好むと好まざるとにかかわらず常に情報の取捨選択と自己判断を求められています。 「東京都心で暮らし続けたいけど待機児童の問題が心配」 「結婚した相手が家事育児を全くやってくれなかったらどうしよう」 「産休・育休を取ることで(会社の)同期に遅れを取ってしまったら」…… ラジオの女子大生たちが並べたこうした不安は、ネットとSNSが普及したからこそより可視化された現代的問題でもあり、同時に彼女たちが「中学高校の頃は結婚にあこがれていたけど今はそうでもないかも」とリスクヘッジを取るようになった結果のようにも受け取れます。 情報が多ければ多いほど逆に踏み出しにくくなるというのは、先に触れた「『運命』の母数が増え過ぎた」問題ともおそらくイコール。 情報を上手に選り分けつつも、さまざまな活動に挑戦することを通して多くの人に出会い、「これだったんだ!」と思える“運命”に出くわすこともまた、本音で結婚を望んでいる彼ら彼女らをその目標へと後押しすることになるのかもしれません。
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