北関東に住む主婦の私が毎度痛感する東京という大きな存在
北関東在住のライター・宮野茉莉子さんが北関東と東京の違いについて持論を展開します。北関東から東京までの距離は? 東京へ通勤は東京寄りの埼玉や神奈川、千葉に住めば可能です。しかしその一方、北関東3県は県庁所在地の近くに住んでいても、東京への通勤は難しいものです。実際に通勤している人はいますが、どうしても時間がかかり、定期代も高くなってしまいます。 北関東の地方都市に住むぶんには、日常生活で不自由することはあまりありません。しかし30代で子育て中の筆者は、「あと1時間東京に近ければ」と切望する点もあります。 北関東の地方都市のイメージ(画像:写真AC) まずは北関東から東京に行くまで、どれだけ時間と料金がかかるのか見てみましょう。新幹線・特急の乗車時間と料金をみると、次のとおりです。 ・新幹線:宇都宮~東京(約50分、4490円) ・新幹線:高崎~東京(約50分、4490円) ・特急:水戸~東京(約1時間15分、3890円) と、新幹線や特急を利用すれば、1時間前後で通うことができます。一方で料金が4000円前後と高額に。定期代も1か月10万円を超えてしまいます。 在来線は、次の通りです。 ・宇都宮~東京(約1時間45分、1980円) ・高崎~東京(約1時間50分、1980円) ・水戸~東京(約2時間10分、2310円) と、金額が下がりますが、それでも定期は1か月5万円以上。また、2時間近くかかってしまうため、通うには無理があります。 大きな差がある雇用大きな差がある雇用 地方都市は、生活の面でも不便を感じることはありません。 日常生活の買い物には困らず、大きな病院もあります。また子どもの遊び場もあり、筆者のすんでいる地域は待機児童に困ることも今のところはありません(地域によっては学童に困ります)。 一方、不自由を感じるのは雇用です。東京の最低賃金は「1013円」なのに対し、栃木県は「853円」、群馬県は「835円」、茨城県は「849円」。最低賃金でみても、150円以上の差があります。そのせいか、北関東ではパートの時給の平均は850~900円、正社員でも月給20万円以下という募集も珍しくはありません。 地方都市でのパートのイメージ(画像:写真AC) 求人数を見ても、北関東に比べれば東京の求人数が多くなります。業種によっては、地方ではほとんど募集がなく、東京に出なければならないものもあります。 4年時に北関東から東京へ通う大学生も また大きいのが、子どもが進学で東京へ出たときの仕送り費用です。 各種情報提供サービスを手掛けるLeoSophia(渋谷区広尾)の調査によると、東京に住む大学生や専門学校生への仕送り平均額は「約9万5000円」。毎月の生活費や学費のほかに約9万5000円出すわけですから、大きな出費になります。 大学4年間と考えると、ひとりにつき約450万円。子どもがふたり以上いたり、兄弟の年齢が離れているとさらに負担が大きく、引っ越し費用や家電等の購入も含めば1000万円を超えるケースもあるでしょう。こうなると負担が大きく、大学4年生になれば授業数も少ないため、北関東から東京へ通う人もいます。 東京の女子大生のイメージ(画像:写真AC) 東京と地方の差は家賃や物価ともいわれますが、23区外や埼玉の東京寄りに住めばその差も縮まります。例えば宇都宮市の2LDKの家賃相場は「7.64万円」なのに対し、上尾市の2LDKは「7.45万円」。 地方では車が必需品なため、「車の購入費用、駐車場代、ガソリン代、修理代、税金や保険」などがずっとかかることを考えると、住む場所選びの工夫次第では、大差ない場合もあるでしょう。 通えないほどでもないけれど、やっぱり通うとなると大変な東京~北関東間。電車であと1時間近ければ! と思うものです。
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