女性に嬉しいトイレ改革!上野駅は「美術館風」 東京メトロ各駅で進むテーマ化と美化
東京メトロで進む駅トイレの快適性、利便性、美化向上プラン 駅構内の女性用トイレ。あまりクリーンでない、お化粧直しに使いづらい、温水洗浄便座やハンドドライなどの設備がない。そんな印象を持っている女性も少なくないことでしょう。 しかし、東京メトロのトイレがこれらのイメージから脱却するものに変わりつつあります。 大規模改修が行われた千代田線大手町駅のトイレ(画像:東京メトロ) まず、女性に嬉しいパウダーコーナーの設置増。手荷物や化粧ポーチなどを置く台が設けられ、鏡との距離も近く、お化粧直しを中断して手洗いの人に場所を譲る必要がありません。パウダーコーナーは、女性にとってトイレの使い勝手をぐっと高めてくれる存在です。 東京メトロによると、「女性用トイレにおいて、パウダーコーナーの分離の必要性は高いと考え、各駅、スペースが取れる場所は、パウダーコーナーの設置を行っています。スペースの取れないトイレについては、今後、大規模改修が行われる際に取り付けられる予定です。トイレの大規模改修を行った駅では、ゆったりとした、広めのパウダーコーナーを設けている場所もあります」といいます。 広めのパウダーコーナーは、現状、副都心線の池袋駅と大手町駅に設けられています。デザインも、これまでの駅トイレのイメージとは一線を画すスタイリッシュさです。 副都心線池袋駅の広めのパウダーコーナー。鏡が大きく、スペースもゆったり(画像:東京メトロ) 池袋や大手町ほど広くなくも、洒落たパウダーコーナーが設置されている駅もあります。東京メトロは、「駅の大規模改修の際に、その街に合ったテーマを設けて駅構内をデザインしています。トイレもテーマに沿ってデザインされるので、パウダーコーナーも洒落た空間になりました」と話します。トイレにテーマを導入?と一瞬、耳を疑いましたが、それはまさに「トイレ革命」と言いたくなるものでした。 まず、銀座線上野駅。上野には美術館が多いことから、設けたテーマは「美術館のある街」。トイレもそのテーマをもとに、鏡を美術館の絵画風にして配置しています。パウダーコーナーのミラーライトも顔が明るく見えるような工夫がなされているという凝りようです。 「美術館のある街」をテーマにした銀座線上野駅(画像:東京メトロ)駅テーマに沿ってデザインされた銀座線上野駅のトイレ。壁面も凝ったデザイン(画像:東京メトロ) 千代田線大手町駅は、駅のコンセプトが「凛とした駅」。トイレは、大人シックなデザイナーズホテルのようです。 「凛とした駅」をテーマにした千代田線大手町駅(画像:東京メトロ)駅テーマに沿ってデザインされた千代田線大手町駅のトイレ。デザイナーズホテルのような雰囲気(画像:東京メトロ) 副都心線新宿三丁目の駅コンセプトは、「光の帯×内藤新宿(ないとうしんじゅく)」です。 路線ごとにもデザイン統一、トイレが観光資源にも?路線ごとにもデザイン統一、トイレが観光資源にも? 副都心線新宿三丁目の駅コンセプト「光の帯×内藤新宿」の内藤新宿とは、江戸時代に甲州街道に作られた宿場名です。 東京都公文図書館のHPによると、「内藤」とは、天正18(1590)年に徳川家康が関東に入国したときに、現在の新宿に当たる地に広大な屋敷地を拝領した、内藤清成の姓とのこと。新宿御苑は内藤家の屋敷の一部で、その北側に甲州街道に沿って造成された宿場が内藤新宿だったそうです。駅デザインは、昔と今が交錯しながら時が流れゆく新都心をイメージさせます。 「光の帯×内藤新宿」をテーマにした副都心線新宿三丁目駅(画像:東京メトロ)駅テーマに沿ってデザインされた副都心線新宿三丁目駅のトイレ。独立したパウダーコーナーに手洗い場があるのも便利(画像:東京メトロ) このように街に合わせたテーマを設けて駅やトイレを大規模改修する計画が路線ごとに進められています。同じ駅でも路線によって異なるテーマが設けられており、上野駅であれば銀座線と日比谷線で全くデザインが異なるのもユニークです。大手町駅では、丸ノ内線はレンガ、東西線はガラス、千代田線は木目をデザインに採用し、大手町駅のアイデンティティーを表現しています。 駅や路線ごとに特徴や個性を設けることで「駅巡り」や人気を博している「謎解き」などの観光資源になっていくことも考えられます。観光資源に「トイレ」が加わるというのは、世界を見回してもなかなかないといえるでしょう。 ちなみに、パウダーコーナーの各駅の設置状況や場所については、現状、サイトなどを通じての情報提供を行っていません。参考までに、利用者の多い東京メトロの駅(抜粋)では、以下の駅に設置されています。 ・大手町 5か所 ・表参道 3か所 ・渋谷 3か所 ・池袋 2か所 ・銀座 2か所 ・六本木 2か所 ・明治神宮前 1か所 など。 上記の設置場所は、記事末の「画像ギャラリー」の駅構内図に印をつけています。パウダーコーナーは男性用トイレにも設置予定だそうですが、使用頻度から、女性用トイレを優先して改修するとのことです。 全洋式化はオリパラまでに完了、温水洗浄便座への付け替えも全洋式化はオリパラまでに完了、温水洗浄便座への付け替えも 東京メトロでは、トイレを全て洋式化するとしています。「和式トイレの使い方がわからない外国人の方々が大勢いるので、オリパラ(東京オリンピック・パラリンピック)開催の2020年までに、100%改修される見込みです」といいます。 また、トイレの美観や衛生、快適性向上のために、温水洗浄便座への付け替えも始まっています。必ず便座を使用する女性にとって、これも嬉しいことのひとつといえるでしょう。大手町、四谷三丁目、日本橋駅ほか、大規模改修が行われたトイレでは既に導入済みです。 温水洗浄便座への改修は、今後10年程度のスパンで完全改修を実施見込みとのこと。それと同時に、ハンドドライや擬音装置の設置も行われます。また、フィッティングボードも同時に設置予定だそうです。 フィッティングボードが取り付けられた駅トイレがあることに、気づいていない人も多いかもしれません。ストッキングを履き替えたり、子供の着替えを行ったりするのにも役立つもので、アップライトに取り付けられたボードを倒して使います。 左写真の赤丸がついているものがフィッティングボード。右写真がボードを倒した状態。靴を脱いで使用(画像:東京メトロ) また、日比谷線上野駅と銀座線三越前駅では、子供の利用も多いことから、便器の小さい子供用トイレを実験的に設置しています。 日比谷線上野駅に実験的に設置されている子供用トイレ(画像:東京メトロ) このように、東京メトロでは「トイレ革命」ともいえる改修に次々に着手しています。使い手も、それを皆が気持ちよく共用できるよう、マナーを心がけて利用したいものです。
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