写真より文章? インスタグラムはなぜ「検索ツール化」するのか
写真共有サイトとして紹介されることの多いインスタグラムですが、近年は検索ツールとしても注目されているようです。インスタ利用者層の拡大が生み出したもの 幅広い年代に人気の「Instagram(インスタグラム)」は、利用者が写真を投稿してフォロワーの「共感」を集めるメディアとして認知されてきましたが、その用途と共感の質が近年、変化しているようです。 これまでは特に写真の質が求められてきたインスタグラム(画像:画像AC) インフルエンサーを使ったマーケティング事業などを手掛ける「LIDDELL(リデル)」(渋谷区神宮前)によると、その背景にはインスタグラム利用者層の拡大があるといいます。 「2017年に10代と50代の利用者が急増したことで、写真共有サイトとして認知されてきたインスタグラムが、信頼できる情報の『検索ツール』として利用されるようになりました。その結果、投稿された写真そのものよりも、写真に添えられた文章(情報)が参考になるかどうかが重要になったのです」(リデル) これからはいかに詳細な情報を付記できるかが問われている(画像:リデル) 感度の高い投稿者がおしゃれな世界観を写真で表現し、フォロワーがそれに「憧れる」という流れはもう過去の話で、個々の世界観は維持しつつも、より機能的なものが求められているとのこと。例えば料理の場合、写真の美しさはもとより、詳しいレシピや店舗情報などが添えられているといった感じです。 「共感の質は『憧れ』から『参考』に変化しています」(同社) 発信者のリテラシーも向上する発信者のリテラシーも向上する リデルの調査によると、20代男女の約80%がインスタグラムを検索ツールとして利用しているといいます。他のツールでは検索の際にさまざまな広告が出てくるため、本当に知りたい情報を得ることができないといった不満をインターネットユーザーが抱えているといった現状もあるようです。 「例えば、渋谷のカフェをインスタグラムで検索すれば、結果としてさまざまなビジュアルの写真が出てきます。それらの写真を見れば、照明が暗くて落ち着くカフェだったり、読書ができそうなカフェだったり、自然光が入る雰囲気の良いカフェだったりということ、すなわち、その店の世界観が伝わります。そこに詳細な文章が加われば、どの検索ツールよりもそのカフェのイメージが伝わり、信頼感も増すというわけです」(同社) インスタグラムはもはや検索ツール化している(画像:画像AC) また、投稿者はフォロワーから「いいね」をされ続けることを目的としているため、自身の投稿する情報の信頼性や公共性に気を付けるようになっているとのこと。 「それが進めば、インフルエンサーとなった投稿者が現実社会とSNSとをつなぐハブの役割となり、そこからまた新たな働き方やビジネス出てくると考えられます」(リデル) さまざまな人々が関わることで、その用途が変化しているインスタグラム。いったい次はどのような文化を作るのでしょうか。
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