タピオカ店って、どのくらい儲かるの? そんな疑問に経営コンサルタントがばっちりお答えします
ドリンクから専門ニュースサイト開設、原宿でのイベント開催(SNSで炎上)まで、止まることのないタピオカブーム。そんなブームに便乗して、タピオカ専門店を今からオープンするとしたら、いったいいくらくらい費用がかかり、またどのくらい儲かるのでしょうか。日沖コンサルティング事務所代表で、経営コンサルタントの日沖健さんがばっちり解説します。そもそも、タピオカ店って儲かるの? 東京都内を歩いていると、よく目に付くタピオカドリンクの専門店(以下、タピオカ店)。ブームになってから2年くらい経つ今も、次々と新しい店がオープンしています。 しかしブームはいずれ終わるもの。そこで「今からタピオカ店を始めて成功するのか?」という素朴な疑問について、筆者(日沖健。日沖コンサルティング事務所代表)がお答えします。 猫も杓子もタピオカドリンクな現状を斬る!(画像:写真AC) まず、タピオカ店が儲かるのかどうか試算します。ある起業家が都内の駅前に5坪のタピオカ店を開店したとします。 店舗を借りる敷金、内装、会社設立、パート募集など、初期費用として300万円かかったとします。売れる・売れないに関係なく、固定的にかかる費用は月額75万円です。その内訳は、 ・店舗の賃借料:15万円 ・調理設備、機器、レジなどのレンタル料:6万円 ・アルバイト(常時4人)の人件費:40万円 ・水光熱費:8万円 ・消耗品など:6万円 です。 タピオカドリンクを作る原価は、1杯当たり40円。内訳は、 ・ミルク:25円 ・タピオカ:7円 ・容器:4円 タピオカドリンクは原価がずいぶん安いのです。 これを1杯400円で売ります。ブランド力のある有名店は500~600円しますが、後発なので価格を安く設定します。 1杯売るごとに、 400円 - 40円 = 360円 が、粗利益となります。 気合を入れて、休日なしで毎日12時から20時まで8時間営業します。近隣の新しいタピオカ店を観察すると、12時から16時までの閑散時は8分で1杯、16時から20時までの繁忙時は3分で1杯売れると期待できそうです。つまり販売の見込みは1日110杯です。 以上から、1か月の利益は 360円 × 110杯 × 30日 - 75万円 = 43.8万円 となります。 あんなに小さな店で月40万円以上も儲かるわけです。平日昼間でも行列が途切れない人気店なら、もっと儲かります。なかなか良い商売ですね。 問題は、ブームが終わった後問題は、ブームが終わった後 初期費用は300万円としました。それを毎月の利益である43.8万円で割ると、6.8か月です。 つまりタピオカ店は、「半年くらい」で初期投資を回収できるわけです。これは他のビジネスと比べてかなり早く、やはりタピオカ店は「おいしい商売」と言えるでしょう。だから続々と店ができるのですが……。 さまざまな種類があるタピオカドリンク(画像:写真AC) ただしビジネスは、初期投資を回収して「トントン」になることがゴールではありません。初期投資を回収した後も利益を出し続け、がっつり儲ける必要があります。 今からタピオカ店を始める場合、 ・ブームがいつ終わるのか ・ブームが終わった後に客足がどこまで鈍るか という2点が気になります。 向こう半年以内にブームが終わり、その後はほとんどタピオカを飲まなくなると仮定すれば、トータルの収支は良くてトントン、基本的には赤字です。今からタピオカ店を始めるのは止めた方が良いでしょう。 ブームが半年より長く続くか、ブームが終わった後もタピオカドリンクが飲まれるなら、今からでも始めるのは十分にアリでしょう。 ブームはいつ終わるの? 誰も飲まなくなるの? そこで、タピオカブームの今後とブームが去った後のタピオカ店について予測します。 まずブームについては、向こう半年くらい、早ければ年内にも下火になるしょう。小遣いが数千円の高校生・大学生にとって、たかがドリンクに500~600円も出費するのは結構キツイですよね。今はブームの渦中で金銭感覚が麻痺していますが、やがて正気に戻れば「もったいない」「馬鹿馬鹿しい」と思うようになるはずです。 ではブームが去ったら、数年後「そういえば昔タピオカって飲んでたよねぇ」と語られる「あの人は今」状態になるでしょうか。そうは思いません。タピオカドリンクはバリエーションを増やすのが簡単ですし、お茶がベースなので、あまり飽きずに飲み続けることができます。そのため若者の生活にかなり定着し、カフェのドリンクメニューでも定番化する気がします。 つまり、2020年にはタピオカ店の行列はほぼなくなるものの、「フラペチーノに近いレベル」で着実に飲まれ続けると予測します。 ブーム後に生き残るタピオカ店とは?ブーム後に生き残るタピオカ店とは? 店を開くかどうかを判断する上で、もうひとつ問題があります。ブームのときはどんなタピオカ店でもかなり売れますが、ブームが去ったら、生き残る店と淘汰される店がはっきり分かれるという点です。 タピオカドリンクを飲む女性のイメージ(画像:写真AC) どういう店が生き残るのでしょうか。一言で言えば「600円出しても惜しくない店」ということになるので、 ・お茶、トッピング、見栄えの3つにおいてこだわりが感じられる店 ・着席して良い雰囲気で楽しめる店 というところでしょう。 結論としては、ブーム後も生き残る何らかの特徴がある店舗を作る自信があるなら、今からでも挑戦するのはアリです。 ただこれだけタピオカ店が乱立する中で、特徴のある店舗を作るセンス・構想力があるなら、わざわざタピオカ店で勝負するより、他のビジネスをやった方がはるかに成功確率が高いのではないでしょうか。
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