レストラン予約サイトの開発者がITとは真逆の「人間の温かみ」にこだわった理由
好調な海外旅行、初の2000万人超え 観光庁の発表によると、2019年に海外旅行へ出掛けた日本人は2008万人。「2020年までに2000万人超えを達成する」という政府目標を、1年前倒しで達成しました。 旅行者数の前年比増は、2016年から4年連続。2020年東京五輪・パラリンピックを控えて訪日外国人の観光客数が急増するなか、海外旅行を楽しむ日本人もまた増加していることが見て取れます。中でも東京都民は海外旅行への関心が高いよう。 ある民間企業が2017年12月に行った調査では、在住地域別にみた海外旅行の経験率は、東京都在住者が全国で最も高い51.0%でした。 2019年11月には格安航空会社(LCC)のピーチが首都圏(成田空港)での本格運行をスタートさせるなど、機運の高まりを背景に、都民が海外旅行へ出掛けるチャンスは今後ますます増えていくかもしれません。 たびらくの鬼石社長(画像:たびらく) こうした盛り上がりを受けて、このたび「海外の厳選レストランを紹介し、予約までしてくれるサービス」が登場しました。たびらく(世田谷区中町)が提供する、その名も「たびらく」です。 「現地人に人気でも日本人に合わない店がある」「たびらく」に登録されているレストランは、台北やバンコク、ソウルなどのアジア圏から、ロンドン、ローマ、サンフランシスコなどの欧米圏まで、計35都市(2020年1月現在)にある店舗が対象。 それぞれの都市を知り尽くした「日本人の長期駐在員」が推薦するお店に限定しているため、「現地の人には人気だけど日本人の味覚や感覚にはちょっと合わない」といったギャップを解消しているのが特長だといいます。 海外旅行先のレストランのイメージ(画像:写真AC) 同社の鬼石真裕(まさひろ)社長によると、サービスの立ち上げに際して日本人駐在員にお薦めされた527店舗を国内大手予約サイトで調べてみたところ、予約ができるお店はわずか3%にとどまったそう。 「これでは、せっかくの楽しみな旅行なのに出鼻をくじかれてしまいます。行きたいお店をもっと簡単に見つけられて、面倒な予約は代わりにやっておいてくれる……そういったサービスに対するニーズは高いはず、と考えました」(鬼石さん) 担当者と気軽チャットでお店をチョイス担当者と気軽チャットでお店をチョイス 使い方は、まず「たびらく」のLINEアカウントを友達登録。 トーク画面上で「旅行へ行く時期」や「行き先の都市」「食べたい料理ジャンル」「利用目的(仕事の接待、家族旅行、恋人とデート……)」「こだわり条件」などの希望をメッセージで書いて送ると、担当者のコメントともに該当するレストラン数店舗分の情報が送られてきます。 店舗の所在地や営業時間、平均予算額といった基本情報はもちろん、料理や店内の画像、さらに実際に利用したことのある日本人の口コミ、「食べるべき一品」など、お店を選ぶ上で決め手となる情報を併せて見られるのも便利。 海外レストラン予約サービス「たびらく」のLINEチャット画面(画像:たびらく) 行きたいお店を決めたら「席を予約する」というボタンを押して、来店予定の人数や希望日時、「誕生日ケーキを用意してほしい」といった要望事項を日本語で記入して、送信すればOK。あとは「たびらく」が予約手配を代行してくれる仕組みです。予約が完了すると、税込み550円の手数料が発生します。 こちらから送るメッセージは、簡単な箇条書きでも、丁寧なですます調の文章でも何でも大丈夫。なぜなら「たびらく」側でレストランを選び返信を書いているのは、人工知能(AI)などのソフトウエアではなく人間(同社スタッフのオペレーター)だから。 人と人との会話なので、やり取りはスムーズでよどみがありません。要領を得ない回答と質問をループする、インターネット上でしばしば出くわすあのイライラも発生しません。 サービスは「人間の温かみ」にこだわった 同社の鬼石真裕社長によると、こだわったのはまさにこの「人間の温かみ」の部分。 「海外旅行は非常に楽しみな一大イベントであると同時に、出費額が大きいため『失敗したくない』と思うのが当たり前です。機械的なやり取りでは、利用者が冷めてしまってチャット(LINEトーク)でも会話が続きません。IT企業としては真逆のことを追求しているのかもしれませんが、『人間の温かみ』で寄り添うことこそ大切にしたいというのが私たちの考え方です」(鬼石さん) レストランの登録数を、1都市あたり100軒程度に絞り込むのも特長のひとつ。「あまりに数が多過ぎて逆に選べなくなってしまう」というジレンマを無くすために、自信を持ってお薦めできるお店を常に厳選しているのだそうです。 海外旅行先のレストランのイメージ(画像:写真AC) 今後は、旅行先での移動ルートの乗換駅や観光施設の開館時間などの調べものにリアルタイムで答えるチャット式のコンシェルジュサービスも展開していきたいとのこと。同社のようなサービスが増えることで、海外旅行は今後ますます気軽に、そして「気楽」に楽しむものへと変化していくのかもしれません。
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