ちゃんと作るのが難しい「オムライス」をもっと身近な料理に カゴメの作戦とは
7割が「オムライスは簡単に見えて難しい料理」と回答 洋食の代表選手ともいえるオムライス。家庭料理としてもおなじみです。ですが、2018年10月、カゴメ(愛知県名古屋市)が、20歳から69歳の女性(全国1033人)を対象に行なった意識調査では、実に約3人に1人が「オムライスを調理するのが苦手」と答えたそうです。 日本生まれ日本育ちの洋食「オムライス」(画像:写真AC) 一方で、「オムライスを好きか否か」の質問に対しては、78.7%の人が「とても好き」もしくは「やや好き」と解答。「オムライスは好きだけれども、調理は苦手」という層の存在が伺える結果となりました。 調理が苦手な理由としては、「卵が破れてしまう」「卵でチキンライスをうまく包めない」「卵がふわふわにならない」などの声が。また、「卵をチキンライスで包みたい」と考えている人が63%いる一方、実際に作っている人は39%という結果に。 オムライスは「簡単に見えて難しい料理である」と答えた人は全体の71.6%にのぼったといいます。理想を抱けば抱くほど、考えれば考えるほど、難解で奥深い料理なのかもしれません。 「オムライス料理の悩みを解決するレシピ」を募ったところ…「オムライス料理の悩みを解決するレシピ」を募ったところ… そんなオムライスをもっと身近にするべく、カゴメは、さまざまな活動を行っているといいます。そのひとつが「オムライススタジアム 2019」。2019年5月18日(土)19(日)にららぽーと豊洲のシーサイドデッキで開催される、オムライスづくしのイベントです。 4年ぶり2回目の開催。このイベントでは、個人から寄せられた「オムライス料理の悩みを解決するレシピ」と「地方予選を勝ち抜いた飲食店のオムライス」が集結します。 「オムライススタジアム 2019」のポスター(2019年3月26日、高橋亜矢子撮影)「オムライス料理の悩みを解決するレシピ」の公募は、オンライン上で行われ、1127件のレシピが集まりました(応募期間は終了)。4月15日(月)に入賞レシピが発表されたのち、イベント当日の投票で「作ってみたいオムライスNo.1」が決定するとのこと。 なお、応募された1127件には、「炊飯器で作る」「アルミホイルで包んでみる」「レンジで作る」「クッキングシートを活用」など、さまざまなアイデアが寄せられており、その様子はレシピサイト「クックパッド」の特設ページで閲覧が可能です(無料)。 一方、地方予選を勝ち抜いた飲食店のオムライスは、会場内で楽しめます(1食、税込700円)。3月26日(火)には、関東甲信越の地方大会が開催され、書類選考を突破した6団体が「激突」しました。 オムライス、開拓の余地あり? リゾット風、卵with卵の新しい形オムライス、開拓の余地あり? リゾット風、卵with卵の新しい形 地方大会では、各団体が独自開発したオムライスをその場で作り、実食による審査が行われました。審査では、公募で集った親子審査員のほか、大のオムライス好きとして知られる岸本好弘さんや、管理栄養士の今泉マユ子さんなどが実食し採点。 カゴメのケチャップを使うことが条件でしたが、同じ調味料を使用していながら、どれも全く異なる味わいに仕上がっており、6つが6つとも、独自性あふれるものでした。 横須賀の「ご当地グルメレストラン LAUNA」が作る「おいしい魔法のオムライス」(2019年3月26日、高橋亜矢子撮影) 関東甲信越エリアから、本戦に進むオムライスはふたつ。ひとつめは、横須賀の「ご当地グルメレストラン LAUNA」が作る「おいしい魔法のオムライス」。オムライスの周りをミネストローネの「海」がぐるりと囲う一品です。混ぜて食べると、リゾットのようにも。オムライスの味なのに、オムライスとはまた異なる料理かのような、不思議な体感がありました。 もうひとつは、豊洲の「ダッキーダック」が作る「とろーりラクレットチーズのスコッチEGGオムライス」。オムライスの脇にボリューミーなスコッチエッグ(卵入りハンバーグ)が寄り添う一品です。卵with卵、こんな方法もあったのですね。 そのほか、グリーンカレーとオムライスを掛け合わせた店舗もありました(「神田たまごけん」)。ケチャップの風味と、タイカレー特有の辛さやココナッツミルクの共存。どんな味わいなのか予想がつかぬまま口に含んだところ、これが意外なほどよく合いました。 オムライスには、私たちが想像する以上に開拓の余地があるのかもしれません。 カゴメ従業員が受けるという「オムライス検定」とは?カゴメ従業員が受けるという「オムライス検定」とは? なお、審査には、「オムライス検定」1級を取得しているという、カゴメの従業員も参加していました。「オムライス検定」とは一体何でしょうか……? と聞いたところ、カゴメの従業員を対象とした、実技を伴う検定試験で、3級、2級、1級があるとのこと。 地方大会の審査を行う「オムライス検定」1級者(2019年3月26日、高橋亜矢子撮影)「3級は、オムライスをレシピ通りに作れるかどうかの試験です。2級になると難易度が上がり、30分に2つのオムライスを作るなどの時間制限が生じるほか、見た目の美しさや美味しさが評価の対象になります。1級はさらに難易度が上がり、論文を書く必要もあります」(カゴメ 広報担当) 2019年2月末時点で合格者は3級897名、2級266名、1級が7名(全従業員数2504名)といいます。 ですがそもそも、なぜこのような検定が行われているのでしょうか。それは、「オムライスの魅力」を語れるようになるためとのこと。実践を重視し、「作れなければ語れない」という考えに基づいているそうです。 2級保持者というカゴメの広報担当者は、試験に向け、オムライスづくりに励んだころを振り返りながら「たくさん練習しました。作るたびに、毎回味が異なるし、作る人によっても全く違うんです」と笑顔。 「オムライスは、身近なようでいて、意外と距離のある料理のように思います。オムライスの魅力がもっと伝わって、今以上に身近なものになればと考えています」(カゴメ 広報担当) まだまだ奥行きがありそうなオムライスの世界。調理が苦手という人も、少しずつチャレンジして、その世界を広げてみるのはいかがでしょうか。 ※2019年3月時点の情報です。
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