アラフォー「おしゃれ迷子」は必見! 日本最大のファッション展示会に学ぶ、マンネリ・地味コーデ脱出術
コーデの地味化や、マンネリ化。40代を迎えるころ、こうしたファッションの悩みを抱える女性は多いのではないでしょうか。東京ビッグサイトで開かれた「アパレルEXPO」を訪れて、ブランドデザイナーやおしゃれ女性誌の編集長に「大人の女性のちょっとしたおしゃれ術」を教わってきました。「気づけば無地の服ばかり」問題 気がつけば毎日同じような服を着ている、何だかパッとしない、地味だ、マンネリ感がある……。40代前後の女性が抱えがちなファッションの悩みのひとつです。 かく言う記者(アラフォー女性)も、昨日は白のカットソーにグレーのパンツ、今日はベージュのカットソーに黒のスカートと、「単色 × 単色」のザ・地味コーデです。 この状況を打開するべく、2019年10月2日(水)から4日(金)まで東京ビッグサイト(江東区有明)で開催された「ファッションワールド東京」に足を運んで、ファッション業界のプロたちに薫陶(くんとう)を受けてみることにしました。 白い生成り生地に青い刺しゅうが印象的なワンピース(2019年10月4日、遠藤綾乃撮影) 2019年の「ファッションワールド東京」にはアパレル、バッグ、アクセサリーなど合計1000以上の企業が出展。きらびやかなアパレルEXPOの会場には「大人の女性」に向けたアイテムを展開するブースが数多く並んでいました。 そのうちのひとつ、40代以上の働く女性などを意識したブランド「RACEA」のブースには、2020年春夏の新作がズラリ。ワントーンでまとめたアイテムばかりなのに、洗練された雰囲気が印象的。その理由を尋ねたところ、「デザインにさりげなく個性的なエッセンスを取り入れている」からだといいます。 たとえば水色のブラウスは、ビジネスシーンにそのまま使えそうな落ち着き感があるのに、首回りがアシンメトリーになっていてとても華やかです。 このブランドを扱うジオン商事(大阪市)の第3事業グループの草葉輝夫さんいわく、「40代は柄物ファッションの『谷間世代』」。 20代は華やかな小花柄もパステルの水玉も似合うし、60代なら大振りの花柄や大胆なパッチワークも取り入れやすい。でも、そのはざまにいる40代は、柄物にちょっと遠慮して無地など無難な服を選んでしまいがちなのだといいます。 「柄物が得意でないのなら、デザインでさりげなく個性を表現してみませんか? というのは私たちのコンセプトのひとつです。40代といえば、かつてはDCブランドなどを経験し楽しんできた世代です。ぜひ今の自分に合うおしゃれを見つけて楽しんでもらいたいと思っています」 花柄を取り入れる、ちょっとしたコツ花柄を取り入れる、ちょっとしたコツ 脱・無地コーデに挑戦したいという人には、「柄物初心者におススメ」というボーダーや細かいドット柄がよいそうです。これらの柄をあしらった大人向けのアイテムは会場内でもたびたび見かけました。 黒地に白いドット入りのワンピースを展示していたフォワード(広島県呉市)の「corecara」の女性担当者からは、「ボーダーやドット柄は、どんな方でも気負わず試せる柄の代表格。ベージュやネイビー、ブラウンなど普段よく着る色味の服から始めれば違和感もないはずです」とアドバイスをもらいました。 そしてやっぱり気になるのは、多くの女性を引きつけてやまない、花柄です。 何歳になっても花柄を身に着けたいという願望は、どうすれば叶えられるのでしょうか。会場をうろうろしていると目に留まったのは、ソックスジャパン(台東区浅草橋)の「Wordtrobe」というブランドの刺しゅう入りワンピースでした。 白い生成りの生地に深い青色であしらわれた花の刺しゅうは、少ない面積に留めているからか凛として落ち着いたたたずまい。これなら40代でも何気なく着こなせそうです。 さらに、デュウ(京都府木津川市)の「ciel une etoile」で見つけた白のブラウスは、赤やピンク、ブルーの鮮やかな花を配しているのに、植物図鑑のような写実的なタッチのおかげで、甘くなり過ぎずどこか「ハンサム」な印象です。 そうか! 写実系の花の柄なら大人の女性でも取り入れやすいのか。これはアラフォー必見の1枚だと思いました。 植物図鑑のような写実的なタッチの花柄ブラウス。40代女性に似合いそうです(2019年10月4日、遠藤綾乃撮影) 40代以上向けのアイテムについて聞いてまわるなかで、どのブランドの担当者も口をそろえて言っていたのは「体形の悩みをカバーする工夫は必ずこらしている」という点でした。 ぽっこりお腹を強調しないAラインのシルエットや、ぷよぷよ二の腕を上手に隠してくれる絶妙な丈のそでなど、今の大人向けアイテムはかなり進化しています。そして種類も相当、豊富です。アパレルEXPOでも、すべてのブースを回り切れないほどでした。 これだけ豊富なら、柄にせよデザインにせよ今の自分に意外にも似合う服って実はけっこうあるのかもしれません。街へ出かけていろいろな服を眺めて、とにかく試着してみることが大切なのかなと、背中を押された気がしました。 おしゃれの達人、それぞれの格言おしゃれの達人、それぞれの格言 このように大人女性向けアイテム市場が活況なのは、40代、さらには50代以上の女性たちが、自分のファッションの方向を模索しつつも「やっぱりファッションを楽しみたい」と思っているからのようです。 アパレルEXPO特別セミナーの講師として登壇した、アラフィー女性向けファッション誌『eclat(エクラ)』(集英社)編集長の長内育子(おさない いくこ)さんは、eclat読者の女性たちを「おしゃれ感度がとても高い」と表現。 「『スタイルよく見えて、感じがいい』というのがこの世代の女性たちの理想像。『どこで服を買ったらいいか分からない』『服を買うお店がいつも同じになってしまう』と迷う女性たちに向けて、新鮮で魅力的な情報を発信し続けていきたい」と語っていました。 そして海外から来日したファッションの達人から、温かい助言も。 スカーフとネックレスを組み合わせた、イタリアのアクセサリーブランド「バルサンティ」。デザイナーのサンドラ・ラザーリさんは、白のYシャツとジーンズというシンプルな洋服に、自作のスカーフをサッとひと巻きしたコーディネートで無二の個性をかもし出していました。 「カラフルなアイテムは、たったひとつ取り入れただけでも自分の気持ちのアクセントになります。花畑に咲く花がすべて黒だったら寂しいでしょう? ファッションも同じ。毎朝、鏡で自分の顔を見て、今日の自分を何色に染めようかって考えるのが楽しいのよ」(サンドラさん) 自身がデザインした「ネックレススカーフ」をサラリと巻いた、サンドラさん(2019年10月4日、遠藤綾乃撮影) 丸一日過ごしたアパレルEXPOの会場で教わったのは、ファッションとはつまり楽しむもので、楽しまずして脱マンネリは成し得ないということ。さらには、一歩踏み出せば意外と自分に合うアイテムに巡り合えそうということ。 次の週末にでも街へ出かけて、秋冬ものの新作を見てみようと思わされる1日でした。
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