【東京出身タレント名鑑】超コワモテ俳優・遠藤憲一(品川区)が「カワイイおじさん」として大ブレイクしたワケ
多くの俳優やアーティスト、タレントたちを輩出してきた街・東京。そんな東京出身の有名人にスポットを当てて、その人柄や魅力に迫ります。今回紹介するのは、芸能界きっての強面として知られているのに、最近では「カワイイおじさん」としても絶大な人気を集めている俳優の遠藤憲一さんです。水族館も神社もある品川区出身 ひと昔前、“ちょいワルおやじ”というフレーズが流行し、どこか不良っぽい中年男性がかっこいいという風潮があったのを覚えているでしょうか。 近年は打って変わって“カワイイおじさん”の人気が高まっているようです。TikTokなどのSNSで中高年の男性の面白動画が人気を集めたり、「おじさん構文」と呼ばれる独特の文章が女子中高生の間ではやったり。 こうした現象は「男らしさ」といった価値観が令和の現代ではやや前時代的と捉えられるようになり、ジェンダーという壁を取っ払った親しみやすさが重要視されるようになった変化が関係していると言えるかもしれません。 こうした動きは当然、芸能界にも及んでいて、お笑い芸人や俳優など、さまざまなジャンルの“カワイイおじさん”が増えているように感じます。2021年6月5日(土)朝にも、「おじかわいいと思う俳優ランキング」というタイトルの記事(gooランキング)が配信されていました。 そうした中でも、「昔は怖かったけど今はカワイイ」という意外なギャップを持つベテラン芸能人ほど、番組に起用されやすいのではと筆者は考えています。 2018年11月公開の映画『アウト&アウト』で主演を務めた遠藤さん。同月にはBS10スターチャンネル映画情報番組にも出演(画像:(C)2017「アウト&アウト」製作委員会、スター・チャンネル) 強面(こわもて)で怖いイメージが強かったのに、今はなんだかカワイイという評価も受けているベテラン俳優といえば、やはり遠藤憲一さんではないでしょうか。 2021年5月に公開された映画『地獄の花園』ではなんと、上場企業の総務部のお局OLという女性の役を務めました。同映画はバカリズムさんが脚本を書いたコメディー作品で、遠藤さんのOLの演技は想像以上に役にハマっていていると好評です。 コワモテなのにカワイイ、なぜ?コワモテなのにカワイイ、なぜ? 有名週刊誌「週刊女性」のインタビュー(2021年3月)によると、1961(昭和36)年6月生まれの遠藤憲一さんは品川区出身。 同区は東京都の南東部に位置しており、面積は22.84平方キロメートル、人口は約40万5000人(2021年5月1日時点)。 遠藤さんの出身地である品川区(画像:(C)Google) 北は港区、渋谷区、西は目黒区、南は大田区、臨海部の東は江東区に隣接しています。夏や秋に開催される祭りには長い歴史があり、今でも当時の活気がそのまま引き継がれています。 名だたる大企業が区内に本社を構える一方、戸越銀座商店街をはじめとする下町の風情も今なお健在の、多面的な魅力を持つまちです。 そんな品川区出身の遠藤さんですが、近年はますます役柄の幅を広げ、渋い役からコミカルでかわいらしい役まで、数々のテレビドラマや映画で活躍しています。 どんな役柄でもきっちり務める演技力は高い評価を受けており、高崎映画祭の助演男優賞やギャラクシー賞のテレビ部門個人賞など多くの賞を受賞し、俳優としての地位を確立しています。 今回はそんな一流俳優の遠藤さんが、なぜ強面なのにカワイイおじさんとして人気者になったのか、俳優としてのキャリアを振り返りながら理由を探っていきます。 不良高校生から俳優養成所へ不良高校生から俳優養成所へ 遠藤さんは小学生の頃からじっとするのが苦手で、勉強嫌いな子どもだったといいます。 そのため「いちばん偏差値の低い高校」に入ると、だんだん“悪さ”を覚えていき、高校1年生の夏休み頃には完全にツッパリになっていたのだとか。 高校1年からだんだん“悪さ”を覚えていったという(画像:写真AC) 通学へのやる気を失って、高1の2学期に中退。その後、アルバイトを始めるものの長続きせず、途方に暮れていた時に俳優養成所の募集を見て、演劇の世界に飛び込んだといいます。 養成所を経て俳優デビューした遠藤さんは、少しずつ俳優としての道を切り拓いていきました。 しかし、役者の世界は想像以上に厳しく、4畳半の風呂なし共同トイレのアパートで暮らし、俳優だけでは食べていけない苦しい日々を過ごしていました。演技の勉強も兼ねて、脚本家としての仕事もこなしながら、ブレイクのきっかけを模索していたようです。 こうしたエピソードは、月刊誌『パンプキン』やテレビ番組『ごごナマ』(NHK)などで披露しています。 妻と二人三脚で遅咲きの妻と二人三脚で遅咲きの 俳優として下積み生活を続けていた遠藤さんでしたが、なかなか仕事が増えませんでした。そんな中、当時所属していた事務所の社長が高齢になったことをきっかけに、妻とともに個人事務所を立ち上げました。 4畳半・風呂なしアパートで苦労した時代もあった(画像:写真AC) 自身の性格を考えると、マネージャーに自分のことを理解してもらう必要があると思い、妻にマネージャーをやってもらおうとお願いしたそうです。 最初は断られたものの、3年ほど頼み込んで何とか了承してもらい、そこから妻と遠藤さんの二人三脚で俳優としての成功を目指し始めました。 妻の尽力も功を奏し、徐々に仕事が増え始めた遠藤さんは、2009(平成21)年にテレビドラマ『湯けむりスナイパー』(テレビ東京系)で連ドラ初主演を務めました。 同ドラマでは“温泉旅館で働く元殺し屋”という役を演じ、それが当たり役で一気に注目を集めるようになります。 このエピソードは、週刊SPA!の編集部が運営するウェブメディア『bizSPA!フレッシュ』(2018年11月23日配信)のインタビューで披露しています。 「カワイイ」ブレイクのきっかけは「カワイイ」ブレイクのきっかけは 妻の支えもあり、遅咲きながらブレイクを果たした遠藤さんは、数々の作品に引っ張りだこになりました。 もともとは悪役ばかりでしたが、次第にコミカルな役も務めるようになり、2015年に放送されたテレビドラマ『民王』(テレビ朝日系)では、菅田将暉さんとダブル主演を務めます。 同ドラマは、内閣総理大臣と息子の魂が入れ替わるというコミカルなドタバタ劇。強面の代表格とも言える遠藤さんが「女子力高い今どき大学生」になり切った演技は、業界内からも視聴者からも極めて高い評価を得ました。 コミカルかつカワイイ演技がうまいという新たなイメージを獲得した遠藤さんは、2017年にテレビCMタレントランキングの男性部門で1位に輝くなど、“強面なのにカワイイおじさん”としてその後もうなぎ上りの人気を。 こうした転機になったのはやはり、妻にマネジメントを頼み込んで二人三脚での活動を始めたこと。俳優としての夫の力量を一番よく知る妻が、遠藤さんの本来の魅力を次々に見出し、開花させていったと言えるかもしれません。 彼の出身地である品川区は、都心有数のビジネス街でありながらも、下町風情あふれる商店街や伝統の祭りといった賑わいを今に残す稀有なまち。そんなさまざまな魅力を併せ持つまちの存在も、一流俳優・遠藤憲一の誕生に一役買ったのではないでしょうか。 “強面なのにカワイイおじさん”である遠藤さんのますますの活躍から目が離せません。
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