【東京ワクチン体験記】職域接種にあぶれた派遣女性が、モデルナ製を大規模センターで受けてきた結果
全国各地で進む新型コロナウイルスのワクチン接種。ライターの越野すみれさんが自身の接種体験を詳細にリポートします。本当は職域接種を受けるはずが…… 東京と大阪に設置されている新型コロナウイルスワクチンの接種拠点・自衛隊大規模接種センター。ニュースでは見たことがあるものの、実際はどんな場所か知らない人は多いでしょう。そこで、実際に東京・大手町の会場で接種を受けた筆者が当日の動きや感想をお伝えします。 ワクチン接種のイメージ(画像:写真AC) 筆者はライター業のほか、平日は派遣社員として都内の企業に勤務しています(現在はテレワーク中)。実はワクチンの話が出始めのころ、「インフルエンザワクチンで副反応が出たこともあるし……」と接種に消極的でした。しかし、当初「ワクチンを接種すれば、日常が戻る可能性が高い」と報道されていたことや、「ワクチンパスポートがなければ行きたいところに行けなくなるかもしれない」などの理由から、機会があったら受けてみようと考えていました。 筆者は派遣先と派遣元が同じグループの企業なので、同一の職域接種を受けることになりました。しかし、ほかの企業が職域接種を開始したなか、勤務先の職域接種は「ワクチンを確保できなかった」という理由で中止に。どうやらこうした企業や大学は珍しくないようです。 「できません」と言われると、逆に接種したくなります。7月に入ってようやく筆者の住む区から接種券が届き、その集団接種会場や指定病院の予約を試みましたが、1回目は取れても、2回目が取れない「2回目難民」になることがわかりました。知人から紹介された、どの自治体の居住者も接種してくれるクリニックもすでに予約を停止。この時点で自衛隊大規模接種センターは、高齢者の2回目がメインとなっていました。 7月の後半、5月24日(月)から設置されていた自衛隊大規模接種センターが開設期間を延長し、高齢者以外にも枠を開放するというニュースが飛び込んできました。そこで、初回予約にチャレンジ。18時開始とのことでしたが、16時ごろにアクセスしました。最初はキャンセル待ちの画面でしたが、1分ごとの自動リロードに合わせて待つことに。17時くらいでしょうか、「受付は18時からです」の表示画面に切り替わるのを確認。「やったー!」と胸が躍ります。とはいえ不安なため、スマートフォン以外にもパソコンを立ち上げて、ふたつのデバイスで挑むことに。 そして訪れた18時。画面がリロードされ……そこにあったのは 「ただいま大変混雑しております」 の文字。 物事はそんなにうまくは行きません。それと同時に、いかに多くの人がワクチンを求めているかがわかりました。それでも15分くらい待つと予約画面に。この日は木曜から日曜までの予約を受け付けていましたが、すでに空きは日曜夕方以降しかありませんでした。仕事のことを考えると、金曜や土曜は副反応が出ても安心です。でも選ぶ余地はありません。といわけで、8月最初の日曜夕方、モデルナのワクチンを接種することが決まりました。 最寄り駅のあちこちに貼られた会場案内最寄り駅のあちこちに貼られた会場案内 そして迎えた当日。どうもそわそわします。もし副反応がすぐ出たらご飯も食べられないから……と定食屋で早めの夕飯を取り、地下鉄で会場に向かいます。 大手町の駅には、いたるところに「大規模接種会場 C2b(出口)」の案内が貼ってあり、案内スタッフが要所要所に立っています。また構内アナウンスも流れており、よほどのことがなければ迷うことはありません。しかし線によっては出口から遠く、東西線なら竹橋駅が近いため、そちらの方が便利です。同様に、東京駅からのシャトルバスも便利。コロナ禍で乗車に抵抗のある人もいるでしょうが、座席は余裕があるようでした。 会場案内(画像:越野すみれ) 受付では、まず荷物チェックが行われます。バッグの中身を見せて、スタッフがチェック。ここは目視です。 そして消毒液を手に付け、体温を測ります。体温はバーコード付きのシールになって印字され、それが貼られた紙を持ち歩きます。 次は接種券と予診票、身分証の確認です。ここからすべてのポイントがふたり体制となっており、「抜け漏れ」防止が徹底されていました。そして、本人確認やこれまでの接種回数が確認された後、接種券と予診票が色付きのクリアファイルに入れられます。 次に向かったのは待機場所です。パイプ椅子が並べられた部屋で、ファイルの色別に列が作られて、座って案内を待ちます。案内される人数が決められており、都度案内される様子は、某有名ラーメン店のシステムに似ていると思いました。 筆者のグループが向かったのはエレベーターホールです。感染防止の観点から全員壁を向いて乗るように促されました。 問診、そして接種へ……問診、そして接種へ…… エレベーターを降りると問診です。番号が付けられたデスクに看護師がふたり着席しており、誘導スタッフが振り分けます。スタッフはとても訓練されており、的確に案内してくれるので、ほとんど待ちません。ふたり連れでの来場者は必ず離れないよう案内し、日本語がおぼつかない人には通訳が付き添っていました。 看護師との問診では、名前のほか、過去のアレルギー反応などについて聞かれます。間にはアクリル板が立てられていますが、マイクが付いているため声は聞きづらくありませんでした。 次はドクターの問診です。名札を確認したところ、自衛隊に所属している人のようでした。ここでも先ほどと同様、既往歴などについて聞かれます。先ほどとは異なり、パーティションで囲まれ、外から見えないようになっています。最後にOKの署名をしてもらうと、いざ接種です。 東京の自衛隊大規模接種センター(画像:(C)Google) 接種は、次に案内されるブースで行います。待機しているときはなかが全く見えないため、緊張します。名前を呼ばれブースのなかへ。右利きの筆者は左に打たれることに。ニュース映像で見るあの長い針は、怖くて確認できません。「力を抜いてください」と言われ、力を抜くものの、力が抜けているかどうかもわかりません……。「じゃあ打ちますね」と声を掛けられ「あっ、くる!」と思ったら、もう終わっていました。針はチクリともせず、液が流れ込む際の圧を少し感じたくらい。「終わった……」と心のなかは息も絶え絶えですが、涼しい顔をして次の場所に進みます。手には「待機15分 〇時〇分まで」という紙が手渡されています。 2回目の接種の予約は、1回目の接種後に行います。接種ブースから予約場所へ直接流れるため、予約忘れがありません。また、1回目の接種からぴったり4週間後と決まっており、空いていれば時間帯が自由に選べます。この方式は「2回目難民」を生まない優れた方法です。また接種証明書も発行してくれます。こちらは、今後大変重要なものになるので、なくさないよう大切に保管しましょう。 2回目の予約が終わると後は待機です。15分経過後、時間が書かれた紙をスタッフに見せ、経過観察時間が終了したことを確認してもらい、帰途につきます。会場の外に出ると辺りはすっかり暗くなっていました。 2回目の接種、そして副反応……2回目の接種、そして副反応…… 1回目の接種から4週間後、2回目の接種を行いました。接種の流れは1回目とほぼ同じです。ちなみに1回目のファイルは黄色で、2回目はピンクでした。色によって案内される場所が違うことはわかりますが、階が違うのか、号館が違うのかはわかりませんでした。 さて肝心の副反応ですが、1回目は当日から数日間、接種部の腫れや脇の下の痛みなどがありました。また、身体に入ってくる異物(抗体)と戦うにはエネルギーが必要なのか、とてもおなかがすきました。これは予想していませんでした。帰宅後、買ってきたお弁当をすぐ食べてしまいました。接種部の腫れが引き、接種10日目くらいから数日間、左腕の一部が赤くなりました。また、左ひじの痛みは2週間ほど続き、パソコン作業に支障をきたしました。 ワクチン接種の案内(画像:越野すみれ) 筆者が接種したモデルナ製のワクチンは、2回目の副反応で7割超が発熱するとのこと。そこで事前に、スポーツドリンクや解熱剤、簡単にカロリーを取れるアイスクリームなどを冷蔵庫・冷凍庫にたくさん入れておきました。 2回目の副反応ですが、平熱が低く、体温も上がりにくい体質の筆者は、接種翌日の夕方から37度台後半の熱を出し、その後36度台後半が続き、わりと大変でした。接種後から頭痛もひどかったのですが、もともと頭痛持ちなのでこれも副反応かどうかはわかりません。現在、2回目の接種からまだ数日しかたっていないため、もう少し様子見が必要です。 同僚からも対応に称賛の声が同僚からも対応に称賛の声が その後、勤務先のミーティングで、ほかにも同会場で接種を受けた数人と話し合う機会がありました。会場は5月から運営されているため、「スタッフの統率がとれていて無駄のない動きに感動した」と皆同じ感想を述べていました。東京駅からのバスも乗り心地がよかったとも。会場では待ち時間もほとんどなく、本当にスムーズに動くことができました。 ただ、気になる点はありました。ここが最初は高齢者対象の大規模接種会場だったということです。会場内はかなり移動が多く、リモートワークで運動不足の身にはほどよい運動と感じられても、高齢者にとっては少し大変だったのではないかと思います。 会場は旅行会社が運営を委託されているようですが、てきぱきした動きはやはり自衛隊っぽいと感心。この先、何が起こるかはまだわかりませんが、現時点では安心と感謝を十分に伝えられる場所でした。
- ヘルスケア
- 大手町駅