夜景のプロも惚れる「マジックアワー」とは何か? スマホを使った撮影テクも大公開
美しい夜景を写真に残したい、でもスマホで撮るのは無理……と思っている人も多いのでは? 夜景に関するセミナーの開催や夜景写真の販売などを行う「日本夜景オフィス株式会社」代表・中村勇太さんが、夜景観賞とスマホ撮影のコツを紹介します。実は奥が深い夜景の世界 皆さん、お気に入りの夜景はありますか? こうお尋ねすると、皆それぞれ、さまざまな夜景を想像されることでしょう。都会のビルから俯瞰(ふかん)するネオンが眩しい夜景、山から俯瞰するパノラマ夜景、SFの世界を思わせるような工場夜景など。 六本木ヒルズ「東京シティビュー」のスカイデッキから撮影したトワイライトタイムの夜景(写真:日本夜景オフィス株式会社) 夜景は文字通り、「夜の景色」という意味であり、夜に眺める景色は全て夜景と定義することができます。花火やイルミネーション、古い街並みにほんのり明かりが照らされている光景など、夜景とひとくちに言っても、幅広く奥が深いのです。 夜景のジャンルによって、おすすめの鑑賞方法や撮影テクニックは変わります。今回は一般的な夜景のイメージとして深く浸透している、「ビルや山から俯瞰する夜景」や「地上から眺める都市の夜景」を前提にご紹介します。 美しい夜景観賞のポイントは「時間帯」と「曜日」 同じスポットで夜景を鑑賞するにも、コツを知っている場合と知らない場合では、夜景の美しさが大きく異なります。ここでは、抑えておきたいポイントをふたつご紹介いたします。 ●鑑賞ポイント1:時間帯 ひとつ目のポイントは、時間帯です。「夜景が美しく見える時間帯は何時でしょう?」とお尋ねするとよく、「深夜」という返答がありますが、正解ではありません。 私がもっともおすすめする鑑賞時間帯は、日没後30~50分後です。この時間帯は、「マジックアワー」や「トワイライトタイム」とも呼ばれ、まだ空に明るさが残っており、青から赤にかけての美しいグラデーションが空を染めます。 空が完全に暗くなると、夜景のバックにある建物や山の稜線が空と同化してしまい、奥行き感が失われてしまうのです。マジックアワーであれば、奥行きも感じられるダイナミックな夜景となるわけです。 たまに、「日の入り30分後ではまだ街が暗いのでは?」という質問を受けることがありますが心配無用です。日の入り30分も経っていれば、街灯やビルの照明、車や電車のライトも十分点灯しています。 とはいえ、いつでもマジックアワーの時間帯に夜景スポットに行けるとは限らないでしょう。そのような場合は、遅くとも21時までの鑑賞を推奨します。特に東京の夜景は、オフィスビルで構成されていますので、そこで働く人が帰宅してしまうとビルは次々と消灯してしまいます。 ●鑑賞ポイント2:曜日 ふたつ目のポイントは、曜日です。これは、ひとつ目のポイントと関連しているので、すぐにピンときた方もいるかもしれませんが、東京の夜景は、オフィスビルで構成されているので、平日はよく明かりが点いていますが、土日は暗いのです。 美しく見えるは、美しく撮れる条件でもあるので、上記のポイントのタイミングを狙えば、綺麗に夜景写真を撮るチャンスが高まります。 スマホで美しい夜景を撮影するポイントは3つスマホで美しい夜景を撮影するポイントは3つ いくら目の前に美しい夜景があっても、最低限の撮影知識がなくては美しい夜景写真は撮れません。夜景撮影は難しいというイメージをお持ちの方が多いですが、コツさえ押さえれば誰でも綺麗な夜景写真を撮ることが可能です。 テレコムセンタービルから撮影した大井埠頭と富士山の夜景(写真:日本夜景オフィス株式会社) ここでは、スマホで実践できる撮影のポイントを3つご紹介します。 ●撮影ポイント1:構図 ひとつ目のポイントは「構図の工夫」です。スマホでの撮影は手持ちが前提となるので、ブレを防ぐためにカメラが自動的に「ISO感度」を高く設定します。ISO感度が高くなると、ぶれずに撮れるのは良いのですが、ノイズが発生し、ザラついた写真に仕上がってしまいます。そのため、構図内になるべく明るい被写体を敷き詰めると必要以上にISO感度が上がらず、クリアな写真となります。 ●撮影ポイント2:ピント ふたつ目のポイントは「ピント合わせ」です。ピントを合わせるのは、夜景撮影に限らず基本的なことですが、スマホでの撮影の際、ピント合わせを気にしないで撮影されている方も多いように感じています。 特に、明るいシーンより夜間はピントが合いづらいので、画面をタップしてしっかりピントが合っていることを確認してください。ピントを合わせる位置は、構図内の明るいところをタップすると合わせやすいでしょう。 ●撮影ポイント3:フラッシュ発光の禁止 3つ目のポイントは「フラッシュ発光の禁止」です。よく、夜景を撮影する際にフラッシュを発光される方がいますが、フラッシュを発光しても被写体である夜景に光が届くことがありません。 さらに、発光によりカメラが明るさは十分に足りていると判断してしまい、逆に暗い写真となってしまいます。特に、窓ガラス越しに撮影する場合は、真っ白な写真になってしまうこともあるので注意が必要です。ただし、夜景をバックに人物を撮影するなど、意図した発光であれば問題ありません。 ここまで、美しい夜景に出合う条件と撮影テクニックについてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。誰もが手軽に撮影できる環境が整った今だからこそ、皆さんには、美しい夜景を撮影してほしいと思っています。是非、夜景撮影にチャレンジしてみてください。
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