熱中症対策で塩分過多に!? これからの季節に知っておきたい「塩」との上手な付き合い方
熱中症対策に塩分補給! そんな意識が根付いた近年の日本ですが、厚生労働省「令和元年 国民健康・栄養調査の概要」によると、成人の食塩摂取量の平均値は10.1g。この数値は、世界保健機関(WHO)で推奨されている「成人の食塩摂取量5.0g/日未満」に比べるとおよそ二倍にもなります。今回は、このような塩分多めの食生活を送る方にオススメする夏向きの「塩」と経口補水液の作り方について、美容健康ライターの鬼龍院雪乃さんが解説します。熱中症予防の前に塩化ナトリウムの摂りすぎに注意!熱中症対策に何を飲みますか?(画像:photoAC) アスファルトとビルで囲まれた東京。こうした環境下に近年の温暖化も加わり、都心部での体感温度は40度を超え、アスファルトの表面温度は60度を超えることも。 そんな時代ゆえ、世間では水分やミネラル摂取の意識が高まり「夏は熱中症予防のために塩分チャージ!」という価値観が定着しました。その結果、コンビニやドラッグストアでも塩飴や塩分タブレット、スポーツドリンクなど、多種多様な塩分入り商品の数々を簡単に手にすることができるようになりました。 塩分は汗とともに流れ出る(画像:photoAC) みなさんご存知の通り、熱中症は汗とともに水分やナトリウム、マグネシウム、カリウムなどのミネラルが流れでてしまうことで起こります。塩分補給が推奨される理由は、それらのミネラルが塩に多く含まれるためです。 しかし、一概に塩と言っても、海水を人工的に電気分解して作られている精製塩を使用した食品を摂りすぎるのには注意が必要なようです。 塩分過多になっていませんか?(画像:photoAC) 食卓で使用する塩といえば一般的に精製塩ですが、実は99%以上が塩化ナトリウム。塩の味の特徴である「塩気」を優先するため、本来海水に含まれているマグネシウムやカリウム、カルシウムなどのミネラルを除去し、塩化ナトリウムを抽出したものなのです。 体に必要な数々のミネラルが除去され、塩分である塩化マグネシウムばかりが残された精製塩。料理の味付けや下ごしらえには便利ですが、こうした塩を熱中症予防に積極的に補給していると、バランスよくミネラルを摂取しているつもりが知らぬ間に塩分過多になっていた……という本末転倒なケースもあるようです。 熱中症が心配な夏にオススメしたい天日塩塩化ナトリウムの含有率が低い天日塩(画像:photoAC) では、どのような塩を摂取すればバランス良くミネラルを摂取できるのでしょうか。オススメは、海水を太陽と風の力のみで乾燥させて作られた海水100%の天日塩です。精製塩と異なり、塩に含まれている栄養成分を一切加工していないため、マグネシウムやカリウムなど体に必要なミネラルが豊富で、自然のバランスを保ったまま製品化されているのです。 そもそも塩分過多とは「塩の摂りすぎ」ではなく、あくまでも「塩化ナトリウムの摂りすぎ」という状態。つまり、精製塩よりも塩化ナトリウムの含有率が低い天日塩の方が、塩分(塩化ナトリウム)過多になりにくいということなのです。 天日塩で作る、美味しくて安心な経口補水液経口補水液は自分でも作れる(画像:photoAC) 熱中症予防として、塩分タブレットやスポーツドリンクを日常的に取り入れている方も多いと思いますが、こうした製品には糖分もたっぷり含まれています。体に良いというイメージが定着しているため、夏になると罪悪感なく頻繁に口にしてしまうという方も少なくありません。その日の発汗量や普段の食生活などを考慮しながら、塩分糖分ともに摂りすぎには注意しましょう。 こうして塩について考えるようになってから、筆者は2年前ほどから天日塩を使用して経口補水液を自作するようになりました。経口補水液の基本の分量をご紹介しますので、大量に汗をかきそうな日にぜひ作って飲んでみてください。 <経口補水液の基本レシピ> ミネラルウォーター 500ml 天日塩 小1/4 砂糖 大2 レモン汁 適量 筆者は日々腸活に取り組んでいるため、砂糖の代わりにフラクトオリゴ糖を使用しています。※フラクトオリゴ糖は腸内の善玉菌のエサとなります。 熱中症リスクが高めな東京都心の夏(画像:photoAC) 普段使いの塩を天日塩に変えてみることは、熱中症リスク高めな東京都心の夏を上手に乗り切るための一つの手段。良質な塩から自然のミネラルをバランス良く摂取して、熱中症リスク高めの都会の酷暑を元気いっぱいに乗り越えましょう!
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