首都圏に「子育てファミリー向け施設」が増え始めている社会的事情
子連れで楽しめるスポットが次々オープン コロナ禍による全国一斉臨時休校、在宅勤務などで、家族の時間が増え、絆が改めて深まりました。皆さんも家族で一緒に遊ぶ機会が増えたのではないでしょうか。 しかし、まだまだ遠くに外出をするのは心配ですが、週末や休暇には家族で遊びに行きたいと考える人も多いことでしょう。近年は近場や日帰りで気軽に行けるところに、小さい子ども連れで楽しめるスポットが次々にオープンしているのです。 2020年6月には「GREEN SPRINGS」(立川市緑町)内に、絵とことばがテーマの美術館「PLAY! MUSEUM」と、子どものための屋内遊び場「PLAY! PARK」から成る複合文化施設「PLAY!」がオープンしました。 PLAY! PARK 「バルーン・モンスター」 (画像:コスモマーチャンダイズィング、ブルーシープ、エイアンドビーホールディングス) 美術館では、企画展として12月29日(火)まで絵本を手掛けるクリエーティブユニットの「tupera tupera(ツペラツペラ)のかおてん.」、1月9日からはがまくんとかえるくん誕生50周年記念「アーノルド・ローベル」展を開催します。 常設展は「エリック・カール はらぺこあおむし 遊ぶための本」。絵本をおもちゃに見立て、「くぐる」「きく」「うごかす」「みつける」など10の遊び方に分けて参加体験型に紹介。ミュージアムの上層階にある遊び場には白くて柔らかい素材でできている「大きなお皿・小さなお皿」があり、その上で子どもたちが遊ぶことができます。 現在は大型遊具「バルーンモンスター」が設置されています。その他にもワークショップを行う「ファクトリー」「ギャラリー」「スタジオ」「シアター」「ライブラリー」「キッチン」(新型コロナ対策で現在中止)など合わせて七つのエリアから構成され、大人も一緒に楽しめます。 江東区有明にもオープン 同じく6月にオープンした大型複合施設「有明ガーデン」(江東区有明)内には東京23区内唯一の「ボーネルンドあそびのせかい」が出店しました。 ボーネルンドは全国に「幼児向けの遊び場 + ショップ」を展開してきましたが、有明ガーデン店は「遊び × スポーツをテーマ」として新しい内容になっています。 パルクールを取り入れた運動遊びエリア「アーバン・ランナー」(画像:ボーネルンド) 赤ちゃんが安心して遊べる「ベビー・ガーデン」、ごっこ遊び、組み立て遊び、親子で楽しめるゲームの「ディスカバリータウン」のほか、新しいエリアとして、ぐるぐる回る、揺れる、バランスをとるなど感覚統合の遊びエリア「センソリー・パーク」、トランポリン、回転遊具、ボルダリングなどスポーツの動きが体験できる「アクティブ・スクエア」、パルクールを取り入れた運動遊びエリア「アーバン・ランナー」(「MISSION PARKOUR PARK TOKYO」監修)を導入、従来の施設よりも年齢が上の子どもで遊べるようになっています。 11月21日には埼玉県ふじみ野市にオープン11月21日には埼玉県ふじみ野市にオープン また11月21日(土)には、バンダイナムコアミューズメント(港区芝浦)が運営する「くまのがっこうあそびひろば」がイオンタウンふじみ野(埼玉県ふじみ野市)にオープンします。 人気絵本シリーズ「くまのがっこう」の世界をテーマにした屋内型プレイグラウンドで、2019年オープンしたアピタ横浜綱島(横浜市)に続く2店舗目。 デジタルコンテンツを使用してインタラクティブな遊びができる「えほんとあそび」、海をモチーフにしたフィールドに、島に見立てた大型のトランポリンと海賊船の木製遊具からなる「オーロラの海エリア」、くまのこたちが暮らす森の寄宿舎をテーマにしたベビーエリア「寄宿舎エリア」、絵本を読んだり、ミニチュアおもちゃでおままごとができたりする「くまのこライブラリー・ミニチュアキングダムエリア」、くまのこブランコ、くまのこくるりん、やわらかつみきで遊べる「芝生エリア」からなります。 「くまのがっこうあそびひろば」の「オーロラの海エリア」(画像:バンダイナムコアミューズメント) そのほかにも、2019年11月にリニューアルした「南町田グランベリーパーク」(町田市鶴間)内にセガエンタテインメント(大田区大森本町)が運営する「FUN VILLAGE with NHKキャラクターズ」がオープンしています。 NHK Eテレの子ども向け人気番組「いないいないばあっ!」「おかあさんといっしょ」「みいつけた!」などのキャラクターによるミニテーマパークで、コンテンツの世界が大型遊具の遊び場に。施設の随所に人気キャラクターがちりばめられて、番組のファンの子どもにはうれしい空間でしょう。 エデュテインメントとは何かエデュテインメントとは何か このように、子育てファミリーで遊べるさまざまな施設が近年積極的に開発されているのは、郊外型商業施設やレジャー施設で子育てファミリーへの対応を重視しているためです。 2000年代に入るまで日本では子育て支援の社会的インフラ整備が進展せず、乳幼児を連れての外出を控える傾向にありました。商業施設やレジャー施設ではおむつ替えなど子育てのための設備の整備も不十分で、集客のための対応が手薄だったことは否めません。 しかし2000年代以降、子育て支援に対する社会的関心の高まり、母親のライフスタイル・意識の変化に伴い、子どもと一緒に遊べる施設へのニーズは拡大していきました。 契機となったのが、2006(平成18)年の「キッザニア東京」(江東区豊洲)、2009年の「キッザニア甲子園」(兵庫県西宮市)がオープン)の上陸です。同施設はお仕事体験テーマパークで、「エデュテインメント」を掲げていました。 キッザニア東京(画像:(C)Google) エデュテインメントとは「遊びながら自然に学ぶこと」ですが、キッザニア以前からも存在していたキーワードで、キッザニアによって改めて注目されることになりました。 従来のエデュテインメントは知育に重点が置かれていましたが、キッザニアでは遊びに重点が置かれ、さらに保護者視点でも楽しい施設であることがポイントでした。キッザニアは保護者の大きな支持を得て、その後の商業施設やレジャー施設においてエデュテインメント施設の導入が活発化しました。 ゲームセンターの業績低迷 近年の子連れファミリー向け施設としてはアスレチック系プレイグラウンド(遊び場)の開発が活発です。さまざまな身体的気づきのあるアスレチックもエデュテインメント施設で、防犯の観点から、外で子どもを遊ばせたくないが体を使って遊ばせたいという親の思いに合致していると言えるでしょう。 ゲームセンターの業績低迷によって、新たな施設開発の方向性を模索していた大手ゲームメーカーが需要の拡大を期待してキッズプレイグラウンドの開発に力を入れているということもあり、次々に新しい施設が生まれています。 今や、キッズプレイグラウンドは郊外大型商業施設に不可欠なものになってきました。近年は絵本やキャラクターなどテーマ性を持たせたり、知育とプレイグラウンドが複合していたりと、さまざまなエデュテインメント施設が出てきています。子どもと一緒に遊ぶ楽しみが増えたと言えるでしょう。 よろしかったら、ぜひお近くの施設をご利用になってみてください。
- おでかけ