「おへそチラリ」は封印 銀座の「チアガール居酒屋」が健全さにこだわるワケ
チアガールのウエアを身にまとった女性たちがダンスや歌を披露する「チアガール居酒屋」が、東京都内でジワリ人気を集めているそうです。来店するのは男性ばかりかと思いきや、実は女性客が増えてきているのだとか。店に入るやいなや、チアたちとハイタッチ「チアガール居酒屋」というお店をご存じでしょうか。 その名の通り、スポーツの大会などで観客を盛り上げるあの「チア」女性たちが接客をしてくれる飲み屋さんのこと。今、東京都内で少しずつ人気を集めているのだそうです。その業態を聞くと「お客さんはきっと男性ばかりだろう」と思いがちですが、意外にも女性の来店客が増えているのだとか。いったいどのようなところが魅力なのでしょうか。 明るく元気な笑顔を見せる、「チアーズワン」銀座店のチアたち(2020年1月22日、遠藤綾乃撮影) 2020年1月22日(水)夜、訪れたのは東京メトロ銀座駅から徒歩4分ほどの雑居ビル4階にあるチアガール居酒屋「チアーズワン」銀座店(中央区銀座6)です。27日(月)のオープンを控えたこの日の事前お披露目会では、5人のチアたちが来店客をもてなしていました。 その「おもてなし」スタイルは、実に独特です。 まず、来店した客とハイタッチを交わし、1杯めの乾杯では客とともに円陣を組んで「Go,Fight,Win,レッツゴー!」と掛け声を飛ばし、リクエストが入れば「ゴーゴーたかちゃん!」などと客の名前をコールしながら、『学園天国』(小泉今日子)や『フライングゲット』(AKB48)などのレパートリー曲をダンスとともに披露します。 店を運営するベスティ(同)の船原新さんによると、こちらは池袋店(豊島区池袋2)に続く第2号店。 スポーツの試合などで観客を巻き込みながら、場の空気や選手たちを盛り上げるチアのパワーに圧倒され、「このエネルギーを使って、仕事帰りの社会人にも元気を与えられたら」と2019年10月に第1号店を池袋にオープンさせました。 20席の小さな池袋店はチアたちの熱気で徐々に評判を呼び、常連客も付く人気店に急成長。わずか3か月後の2020年1月に、この銀座店をオープンすることになりました。 「健康的な元気よさ」に圧倒される男性客「健康的な元気よさ」に圧倒される男性客 船原さんがお店を運営する上で特に気を遣っていることがあります。それは、いわゆる「ガールズバー」や「コスプレバー」のようなお店にならないようにすること。 お店の目的は、来店客をチアたちのダンスと笑顔で励ますことであり、ひいてはチアの魅力を多くの人に知ってもらうことです。 チアやダンスの経験を持つ女性たちを雇い、プロの指導者を付けてレッスンするなど、精度の向上に余念がありません。 チアたちが身に着けるユニホームにも気配りがあります。トップスの胸元は詰まったデザインにして露出を少なくし、丈も長めにして「おへそがチラリ」を無くしました。 男性客のなかには来店当初、ガールズバーのような接客を想像して飲み始めるという人もいるそうですが、チアたちの「健康的な元気よさ」に圧倒されて、最後は自身も元気よく笑顔になって店を出ていくのだそうです。 飲み物や食べ物もおいしい(2020年1月22日、遠藤綾乃撮影) 明るさ・元気・笑顔というコンセプトに引き寄せられるように、池袋店では男性だけでなく女性客の姿も多く見られるようになりました。 疲れた表情でひとりフラリと来店し、チアに愚痴を聞いてもらったり、円陣を組んで大きな声を出したりして、ちょっと吹っ切れた顔になってお店を後にしていく40代くらいの女性。ふたり組で訪れて、チアの切れのあるダンスに目を輝かせながら見入っていく20代前半くらいの女性たち……。同性からのこうした目線は、働くチアたちにとっても刺激になっているようです。 サークルでジャズダンスやアカペラにいそしむという東京都内の国立大学4年のあきさん(22歳)は、「『女性に憧れる女性』になることは、ひとつの目標です。ダンスや歌の練習はもちろん、美容や体形の維持にも気を付けています。プロ意識を持ってやっていきたいので」と自信に満ちた笑顔を見せてくれました。 日々の鍛錬があるからこその自信と、健康美日々の鍛錬があるからこその自信と、健康美 この日、ひとりで店を訪れた40代の女性会社員は、 「大人になると、名前で呼んでもらったり、大きな声を出したり、誰かとハイタッチをしたりすることって日常に無いから、すごく新鮮。仕事で疲れて落ち込んだときとか、こういうお店に立ち寄ると元気がもらえます。彼女たちが真剣に取り組んでいるのが伝わってくるからかもしれませんね。会社の飲み会の2次会で使っても盛り上がりそう」と満足した様子でした。 同店のチアたちを指導するRIKOさん(2020年1月22日、遠藤綾乃撮影) 同店チアたちの指導役を務めるのは、国内男子プロバスケットBリーグの「越谷アルファーズ」の専属チアリーダー「アルファヴィーナス」のキャプテン、RIKOさんです。 「チアは露出の多いユニホームを着ているために勘違いされることもありますが、若い女性だけでなく小さな子どもからおじいちゃんおばあちゃんまで取り組めるスポーツです。ステージでライトを浴びる一瞬のために、チアたちは日々厳しい鍛錬を積んでいます。皆さんに見せる笑顔の裏には、強い自信と自負があるのです」(RIKOさん) 会社でつらいことがあったとき、何となくひとりではいたくない夜、友人とにぎやかに盛り上がりたいとき、「チアガール居酒屋」へ行ってみるのはいかがでしょうか。大声で叫んで歌って笑って飲んで食べて、最後はチアたちが花道を作って、あなたをまた明日へと送り出してくれますよ。
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