【柴又】着物の若者も増加中!雑貨や老舗甘味処巡りが楽しいレトロなまちさんぽ
葛飾・柴又と言えば映画『男はつらいよ』の舞台として知られていますが、実は都内で唯一「重要文化的景観」として認定されている街でもあります。今回は老舗甘味処やレトロな街並みが残る柴又の魅力について、エデュケーショナルライターの日野京子さんがご紹介します。 今年もゴールデンウィークの季節が近づいてきています。東京都心でもさまざまなイベントが催され、久しぶりににぎやかな雰囲気が戻ってきています。 連休中ふらりとお出かけするのにおすすめなのが、都内で唯一国の重要文化的景観として認定されている葛飾区の柴又エリアです。 今回は、ゴールデンウィーク中に立ち寄りたい、懐かしい下町の雰囲気を残す柴又のおすすめスポットをご紹介していきます。 「結構毛だらけ猫灰だらけ」は寅さんの口上の一部。柴又は浅草よりのんびりした雰囲気(画像:photoAC)国民的映画の舞台となった柴又 柴又といえば「寅さん」。昭和から平成初期にかけて国民的映画として人気を集めた映画『男はつらいよ』の主人公、車寅次郎の実家が柴又帝釈天の参道にある団子屋という設定で、全国的な知名度を誇るようになりました。 1969年に映画第一作が公開されてから50年以上が経ち、リアルタイムで『男はつらいよ』を見ていない世代も増えていますが、地上波や配信サービスでは人気の継続しているコンテンツです。 柴又駅前には何かとすぐに旅立ってしまうフーテンの寅さんと心配の種が尽きない妹のさくらが佇む(画像:photoAC) 柴又と寅さんが結びつかない人にとっても、高層ビルが立ち並ぶ都心とは違い、柴又周辺は空が広く感じられてレトロな街並みの残る魅力的なエリア。のんびりと散策し、「人情味あふれる古き良き時代の門前町」を体感してみませんか? 風情ある石畳の街並み。駅近くには「昭和レトロ喫茶店 セピア」など、乙女心をくすぐる雑貨に出会える場所も(画像:photoAC)●約400年の歴史を持つ柴又帝釈天 柴又のシンボル的存在なのが柴又帝釈天こと題経寺。創建は江戸初期の寛永6(1629)年です。 建造物への色彩装飾もあまりなく落ち着いた雰囲気ですが、戦火を免れたこともあり、見ごたえのある明治から昭和初期の各時代の精密な彫刻作品が残されています。 柴又帝釈天では60日に一度回ってくる庚申の日が縁日の日と定められており、多くの人が訪れにぎわいをみせます。ゴールデンウィーク期間の5月2日(火)は庚申の日に当たるので、食べ歩きしに足を運んでみてはいかがでしょうか? 庚申前日には江戸の火消し「纏(まとい)」が練り歩く奉納行事が夕方16時ごろに行われています(画像:photoAC)●食べ歩きが楽しい柴又帝釈天門前参道商店街 2018年、「葛飾柴又の文化的景観」が国の重要文化的景観として都内で初めて認定されました。重要文化的景観とは、風土に根ざして営まれてきた生活やなりわいにより形成された景観地を保護する制度です。 男はつらいよシリーズの影響で柴又一帯は都内有数の観光地となり、多くの観光客が訪れる観光スポットになりましたが、再開発されることなく今も当時と変わらぬ町並みを残しています。 柴又名物の草団子。老舗が数多く軒を連ねる。寅さんの実家のモデルとなったお店も(画像:photoAC) エリアの中心である柴又帝釈天門前参道商店街には、下町の雰囲気を壊さないような統一感のある店舗が並び、老舗の団子屋や和菓子屋、川魚やうなぎなどの老舗料理店があります。 おいしそうな匂いがあちらこちらから漂う石畳の参道を歩きながら、お気に入りのお店を探してみるのも楽しいですね。 昭和レトロな店内に駄菓子やおもちゃが並ぶ「ハイカラ横丁」。2階にはおもちゃ博物館が。スマートボールやインベーダーゲームなどで遊ぶこともできる(画像:photoAC)●葛飾柴又寅さん記念館にはカフェや謎解きゲームも 柴又と言えば寅さん。若い世代にとってはなじみの薄い寅さんですが、「葛飾柴又寅さん記念館」に立ち寄れば柴又をもっと楽しめます。 帝釈天から歩いて5分のところにある寅さん記念館には、実際に撮影で使われた寅さんの実家である団子屋「くるまや」のセットがそっくりそのまま再現されています。衣装や小道具の展示や映像演出などに加えて「帝釈人車鉄道」の客車を再現したレトロな撮影スポットも。 2019年にはかわいい寅さんのイラストが描かれたカプチーノなどが楽しめる「TORAsan cafe」がオープンし、2022年からは常設で謎解きゲームも楽しめるようになっています。店内の設備は昭和レトロさ全開です。 このほかにも昭和30年代の帝釈天参道を再現したジオラマがあり、昭和を知らない世代にとっては新鮮な空間が広がっています。 帝釈天の渦巻きマーク「雷紋」(画像:photoAC)●都内唯一の渡し舟「矢切の渡し」 交通網が発達する以前、船で向こう岸に渡る「渡し舟」は重要な交通手段でした。今はすっかり見られなくなりましたが、江戸川に隣接する柴又エリアには都内唯一の渡し舟となった「矢切の渡し」が現役です。 文芸作品や有名演歌、そして『男はつらいよ』にも登場する渡し舟は、江戸時代、地元民の移動手段として運用したのが始まりとされています。 寅さん記念館から徒歩10分の江戸川河川敷にある木製の船に乗ると、川の向こう側の千葉県松戸市に到着します。 手書きの文字と木の桟橋に風情があります(画像:photoAC)のんびりとした一日を過ごしてみよう 東京都内には観光スポットがたくさんありますが、柴又のように参道と帝釈天を軸にエリア全体の雰囲気が統一されている観光スポットは珍しいです。 グルメを堪能したり、写真撮影を楽しんだりと昭和の下町気分を一日中楽しんでみてはいかがでしょうか? 帝釈天には日本庭園もあるので、着物をレンタルしてそぞろ歩きするのも楽しそう(画像:photoAC)■柴又帝釈天 住所:東京都葛飾区柴又7-10-3 TEL:03-3657-2886 開門時間:5:00~20:00 アクセス:京成線 柴又駅より徒歩3分 北総鉄道 新柴又駅より徒歩12分 ■葛飾柴又寅さん記念館 住所:東京葛飾区柴又6-22-19 TEL:03-3657-3455 営業時間:9:00~17:00 定休日:第3火曜日(ただし第3火曜日が祝日・休日の場合は、直後の平日) 及び12月第3火・水・木曜 料金:山田洋次ミュージアムとの共通券 一般500円/児童・生徒300円/シルバー400円(65歳以上) アクセス:京成 柴又駅より徒歩8分 北総鉄道 新柴又駅より徒歩12分 ■矢切渡船 住所:東京葛飾区柴又柴又7-18先 TEL:047-363-9357 営業時間:10:00~16:00頃まで 【夏季】毎日運航 【冬季】土日祝日及び庚申の日のみ運航 料金:大人片道200円/子ども片道100円 アクセス: 京成線 柴又駅より徒歩10分 ※荒天の場合のほか、臨時でお休みになる場合あり
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