げた箱が少ない銭湯でのんびり湯につかって、若いおかみが独りで頑張る居酒屋へ 三ノ輪【連載】新!東京湯巡り、徘徊酒(4)
昔ながらの銭湯でひとっ風呂浴びたら、歩いてなじみの居酒屋へ――。銭湯巡りと飲み屋歩きをこよなく愛するコラムニストの島本慶さんが、東京の魅力的な銭湯と居酒屋のハシゴ歩きへお連れします。第4回は、台東区の三ノ輪駅からスタートです。げた箱の番号は47番まで 東京メトロ日比谷線の三ノ輪駅。この三ノ輪って所は住み安い街と評判ですよ。でまぁちょいと足を伸ばして見ました。三ノ輪駅は3番出口から出て、明治通りを隅田川に向かって歩いて5分くらい、右に少し入った所に「日の出湯」っつう銭湯が有りました。 昔ながらのこじんまりした銭湯で、ん? げた箱に靴を入れようと見回すと、アレレ? 私がいつも入れている54番が見当たりません。おやおやここは47番までしか無いっす。 本当にちっちゃいお風呂屋さんなのねと諦めて36番に入れます。中に入ると一応番台が有るけど今風の、女湯が見えなくなってて人の良さそうなオバちゃんが座ってます。私はサクッと470円を払って、さて脱衣場でヌギヌギ。洗い場を見渡すと、なるほど地元のおじいちゃんが数人。サウナも無いし、みんな顔なじみたい。 私はカランでサクサク体を洗い、当然頭も洗って、さて浴槽へ。正面右にそこそこ広い浴槽と、左に電気風呂、座風呂ジェット2本に隣が薬湯。これが実母散(じつぼさん)湯で茶色の湯です。いやぁどれもぬるま湯でグー。あ~いい気持ち。 これはついつい長湯してしまいそうです。実際に毎日入りに来てるような地元の年配のいわゆる後期高齢者のジッツァンたち、世間話をしながらゆったりしてますよ。 確かに同じ浴槽に長く入っててもぬるいから入ってられるしねぇ。いやぁ三ノ輪らしいや。サウナが無いのがいい。若い人もいないし。てなわけでシャワーを浴びて、よおく絞ったタオルで頭をと体をフキフキ。脱衣場に出て乾いたタオルでよおく拭いてから、昔ながらの鉄の体重計へ。これが52kg。うーん何か食べなきゃ。 三ノ輪の居酒屋「たこ」の店構え(画像:島本慶さん制作) てんで向かったのが、浄閑寺(荒川区南千住)ですよ。写真家の荒木経惟さんの関係で何度か行ったことのあるお寺です。というのも、実はこの浄閑寺の前に良さげな居酒屋さんが有ると聞いたので、向かったというわけです。 タコ料理を2連発で注文タコ料理を2連発で注文 ん? ここかぁ何々?「居酒屋 たこ」だって。へーえ、なかなかいい感じじゃないっすか。ちゃんとタコがぶら下げてるし。禁煙なのかしら? なんて気にしつつ中に入ると何だよみんな吸ってるじゃん。ホッ。 けっこうお客さん入ってるし、なんか温かい雰囲気が伝わってきます。見渡すと右にカウンター、左にテーブル席、奥にちょいとした小上がりもあるし、程よい広さですな。 取りあえずテーブル席に腰を降ろしてと。カウンターの中には若いおかみさんらしき人が忙しそうに働いてますよ。カウンターにいる常連さんらしき人たちの話に聞き耳を立てていると、どうやらこの店ってもぉ15年続いてるらしい。 ふと白板に目をやると、確かにタコもあるけど、別にタコ料理専門じゃないみたいっす。おかみさんが出て来て、ニコニコ笑顔で注文を聞かれ、取りあえず私、瓶ビール(550円)を頂きます。あ~ウメェ! それにしてもおかみさんの笑顔がすてきだなぁ。みんなそれで癒やされるんだろうなぁ。 おそらく毎晩来てる人、何人かいるんでしょうな。とそこへお通しのロールキャベツが運ばれます。へーえこれはおいしそう。男のご主人だと、こういう物はお通しに出さないでしょう。こりゃいいやってんでペロッ。 「たこ」の人気メニュー(画像:島本慶さん制作) それと私、作りたての肉ジャガ(380円)ってのをお願いします。あ~腹減ってたからバクバクいっちゃいます。それともぉ1本ビール! するとカウンターの端に座ってたお兄さんが冷蔵庫から取り出して、栓を抜いて手渡ししてくれます。何だろうこの人? お客さんには違いないけど、おかみさんをマメにフォローしてますよ。いるんだよねぇこういう客。 これはいい店だ。あ~いい気分。そうねぇ、せっかくだから酢ダコ(580円)とタコぶつ(580円)もらおっかな。一応「たこ」っつうお店だし。イカタコ大好きオヤジとしては。あっウマイこれ!
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