もう狭いとは言わせない!御茶ノ水駅に駅ビル「エキュート」開業――大規模改良でどう生まれ変わる?
長らく改良工事が続けられているJR御茶ノ水駅で、待ちに待った新駅舎が一部開業しました。「狭い」と言われ続けた御茶ノ水駅が今後どう生まれ変わっていくのか、都市商業研究所の若杉優貴さんが解説します。改良すすむ御茶ノ水駅、ついに2階建ての「駅ビル」誕生! 長らく改良工事が続けられているJR御茶ノ水駅(千代田区)の聖橋口新駅舎(駅ビル)がいよいよ今年(2023年)12月3日に一部開業を迎え、駅併設の商業施設「エキュートエディション御茶ノ水」の店舗も順次開業しています。 御茶ノ水駅といえば狭い立地に狭いホーム、低い通路に狭い階段…という印象が強いですが、2012年より開始された駅改良工事によって2019年にはこれまでなかったエレベーターとエスカレーターが新設されるなど、大きく姿を変えつつあります。 工事の完成後にはどのような駅へと生まれ変わるのでしょうか。 かつてのJR御茶ノ水駅聖橋口。どのように生まれ変わるのでしょうか。(写真:若杉優貴、2016年撮影)【その他の画像】>> 狭い敷地ゆえ難工事となった御茶ノ水駅改良 JR御茶ノ水駅は、東側を聖橋、西側を御茶の水橋、そして北側を神田川(仙台堀)、南側を茗渓通りに囲まれた立地にあります。国鉄時代から何度も大規模改良が検討されてきたものの地形的制約が大きいことから、1932年に建てられた駅舎・駅設備がリニューアルされながら使われ続け、バリアフリー設備も十分ではありませんでした。 そこでJR東日本は2012年より駅改良に着手。工事はまず神田川の上に工事用の桟橋を設置。そして工事車両・重機などの搬入路と工事用ヤードを確保したうえで、川沿いの線路およびホーム上空に新駅舎やコンコースとなる人工地盤を構築するという大規模なものでした。先述したとおり2019年にはエレベーター・エスカレーターの使用が開始されたほか、その後もホームの拡張・延長と2階建ての新駅舎の建築などが進められており、最近も新しくなった中央・総武緩行線ホームが一部供用開始されています。 神田川沿いから見た御茶ノ水駅の工事のようす。クレーンが載る場所が工事用桟橋。ホーム上には人工地盤が築かれ新駅舎が登場。また、中央線ではグリーン車増結に備えたホーム拡張・延伸工事(写真右下)も行われています。このあたりの神田川は仙台藩が開削したといわれており「仙台堀」と呼ばれることも。(写真:若杉優貴)新駅ビルには商業施設「エキュート」も! 今回のJR御茶ノ水駅改良にあわせて聖橋口(東口)に誕生した2階建ての新駅舎(駅ビル)に併設される商業施設が、JR東日本クロスステーションが運営する「エキュートエディション御茶ノ水」です。 12月3日より一部供用開始された御茶ノ水駅聖橋口(東口)新駅舎。商業施設「エキュートエディション御茶ノ水」が併設されます。(写真:若杉優貴) 12月3日に一部開業した新駅舎はホーム上の人工地盤に設けられており、鉄骨2階建て、延床面積は約4,200平方メートル。 新駅舎の核となる商業施設「エキュートエディション御茶ノ水」のコンセプトは「こころ、くらし、ととのう」。改札内ですでに営業していたJR東日本グループのコンビニ「ニューデイズ」に加えて、12月3日には改札内にJR東日本グループのそば店「いろり庵きらくそば」が、12月8日には改札外に鎌倉発のスープも楽しめるベーカリー「PLUSOUPLE(プラスプレ)」が新たに営業を開始しました。 鎌倉発のスープも楽しめるベーカリー「PLUSOUPLE」にはイートインコーナーも(画像:JR-Crossリリース) このほかのテナントについては12月時点では発表されていませんが、2階部分にも店舗が入り2024年度末までに約10店舗以上が順次出店するほか、駅舎前には駅前広場も設けられる計画となっています。 JR御茶ノ水駅1階の平面図。12月3日に供用開始されたのは赤枠の部分。茗渓通り沿いの仮出口が閉鎖されるなど、動線も変化しています。なお、お茶の水橋口にある「みどりの窓口」などは12月時点も営業を継続中。(画像:JR東日本ニュースリリースより、日付部分など一部加筆) また、JR御茶ノ水駅全体の改良工事についても2024年度末に完成する予定。全ての完成後は「ホームドアが設置されたホームに降り立ち、エスカレーターやエレベーターで上階へ、駅ナカのショップを見つつコンコースを抜けて改札を出る」ことになります。 利用客が多い駅でありながら手狭であり、混雑時にはちょっと危ない印象だった御茶ノ水駅。約1年後には、新駅舎や駅前広場の開設、さらにはホームドア設置やバリアフリー化によって、誰もが使いやすく、またホっと一息つけるような空間を備えた駅へと生まれ変わることになります。 JR御茶ノ水駅聖橋口(東口)の工事完成後イメージ。駅改良工事は2024年度末までに全面完成する予定となっています。(イメージ画像:JR東日本ニュースリリースより)■エキュートエディション御茶ノ水 住所:東京都千代田区神田駿河台2-6 御茶ノ水駅聖橋口駅舎内 営業時間:店舗によって異なる(一部暫定開業中) アクセス:JR中央本線・総武本線「御茶ノ水駅」直結 東京メトロ丸ノ内線「御茶ノ水駅」より徒歩2分 東京メトロ千代田線「新御茶ノ水駅」より徒歩3分 参考 ・中央線御茶ノ水駅 新しい聖橋口駅舎の使用開始について(JR東日本) https://www.jreast.co.jp/press/2023/tokyo/20231017_to02.pdf ・JR御茶ノ水駅 エキナカ商業施設『エキュートエディション御茶ノ水』この冬新たに開業!(JR東日本クロスステーション) https://www.jr-cross.co.jp/info/items/891b392859df87ca2ce59d626b6f79aed24d0125.pdf ・神田川を舞台に御茶ノ水駅上空に橋を架ける(鹿島建設) https://www.kajima.co.jp/news/digest/jul_2019/site/index.html
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