活気づく転職市場、「ひとまず3年我慢」は今でもアリなのか?
人手不足が深刻化、転職者の「売り手市場」 日本は今、未曽有の人手不足といわれています。 多くの企業は、仕事は順調にありますが、人が採れず必死に採用活動をくり広げています。2019年1月の全国有効求人倍率は1.63倍、2018年1月が1.59倍だったのでより転職しやすくなりました。東京都で見るとさらに人手不足が深刻で、2019年1月で2.12倍(前年2.08倍)となっています。完全に転職者の売り手市場という状況なのです。 早期転職はアリ?ナシ?(画像:写真AC) そんななかでも国として「働き方改革」を推し進めており、残業時間の規制や、有給休暇の取得促進などを企業に義務付けています。企業は事業を進めるために、ますます人を採用しなければならない状況になり、にもかかわらず人は採りづらいという状況です。 そのように転職はどんどんしやすくなっているのに、「入社3年以内の早期離職は不利」という考えが根強くありますが、これは真実なのでしょうか。 早期退職がNGとされてきた理由とは? この話をする前に、まずは日本型の雇用について押さえておく必要があります。日本はかつて終身雇用などといわれ、1社で長く働くことがよしとされていました。これは「メンバーシップ型雇用」といわれます。会社は長く共に働く「仲間(メンバーシップ)」を求めているわけです。 これに対して欧米の雇用は「ジョブ型雇用」と呼ばれ、あくまでも仕事をするための戦力として求められており、忠誠心やチームワークなどはそれほど重視されていません。大事なのは「実力」と、「結果を出すこと」です。 こういった雇用のスタイルの違いがあるので、個人のキャリアについても考え方が違ってくるのです。 欧米では組織の一員というよりも、「その仕事を任されただけ」という意識なので、より良い条件があれば、会社を変えるのが当たり前という考えです。一方、日本は長く仲間として頑張ってもらうことが前提なので、短期間で会社を変えていくことに対して、「裏切り者」的な抵抗感を感じる組織も個人も多いのです。これが、3年以内の早期離職が、不利になるといわれる理由です。 実際、多くの企業の人事は、短期間で転職をしている人について、組織に対する忠誠心が低いのではないか、すぐにやめてしまうのではないかという警戒心を持ちます。特に転職を繰り返している人については、「履歴書が汚れている」なんていう言い方をすることがあります。何社も転職している人は、よほど実力がないと敬遠されてしまいがちです。 早期離職のデメリットには、個人のキャリア形成の問題もあります。特に若い人は仕事を通じて自分のスキルを高め、望むキャリアを実現する必要があります。せっかく入った会社をあまり早くやめてしまっては、そこで十分なスキルや経験・人脈を構築することができません。辛くても一定期間は我慢して、自分の実力を高めてから転職するのがいい、それが「石の上にも3年」ということです。 これからは早期転職も不利とはいえないこれからは早期転職も不利とはいえない では、これからも早期離職は控えた方がいいのでしょうか。 加速するビジネスのグローバル化(画像:写真AC) 私は状況が変わりつつあると考えます。自分が望むキャリアを実現させるためには、短期間で仕事を変えるのも可とされる社会になってきました。その理由はいくつかあります。 1.ビジネスのグローバル化が進み、欧米型の雇用スタイルが見られるようになってきた。 2.ビジネスのスピードが速くなり、より短期間でスキルアップができるようになってきた。 3.リストラや経営破綻などが頻繁にみられ、企業依存のキャリアに疑問を感じ始めてきた。 4.人口減少時代に入り人手不足が恒常化し、実力さえあれば受け入れるようになってきた。 ほかにも理由はありますが、そのような傾向から早期離職による転職も、不利とはいえなくなりつつあります。個人がどのようなキャリアデザインを描くべきかについては、転職だけでなく兼業・副業・独立・起業など、自分の可能性を広く考えることが大切です。
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