嫉妬、マウント、疎外感? ドロドロと思われがちな「女の友情」 知られざる実態とは

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嫉妬、マウント、疎外感? ドロドロと思われがちな「女の友情」 知られざる実態とは

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鳴海汐

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女同士の友情は、ときに「ハムより薄い」などと評されることがありますが、実態はどうなのでしょうか。ライターの鳴海汐さんが調査データなどを基に読み解きます。

東京人は今、「友達に会えない」

 新型コロナ禍で、人との社交が大幅に制限され続けること1年以上。人恋しく感じ、懐かしい友人に連絡を取った、連絡をもらった、という人が多いのではないでしょうか。

 筆者のところにも、7年ほど連絡が途絶えていたかつての大親友から「無性に会いたくなった」というメッセージが届きました。すでに2021年最もうれしかった出来事のひとつです。

 こんな時期なので公園あたりで会おうかと話をしていたら、あれよあれよという間に東京に「まん延防止等重点措置」が適用され、県境を越えて会いに行けなくなりました。その後発令された「緊急事態宣言」は6月13日(日)現在も継続中です。

大人になってからの友達は難しい?

 その友人は同期入社の元同僚で、当時相当入れ込んだ(という表現がぴったりの)相手です。筆者の退職後、数年間は仲の良いままでしたが、彼女の仕事が忙しくなり、こちらも留学やフリーランスへの転身など生き方が変わり、価値観のずれが生じたということもあり疎遠になっていました。

 時代はさかのぼりますが、高校卒業時に同級生の母親が自身の経験から語ってくれたことを思い出します。

楽しさも難しさもある、女友達。その実態とは?(画像:写真AC)



「大学生になると建前が増えて本当の友達をつくるのが難しくなる。高校までの友達は本当に貴重よ」

 大学生になると、今度は、

「(男女問わず)社会人になってからの友達づくりは難しい。大学時代の友達を大切に」。

 そんな話を本当に頻繁に聞きました。

女友達ができるのはどのタイミングか

 個人的に答え合わせをすると、今も大切に思う友達は、高校までの友達も、社会人になってからの友達(一時的な関係で終わった人が圧倒的に多い)もいるけれど、大学時代の友達が最も多いという結果に。

 ただ、大学以降の友達に対しては、少し“よそ行きな自分”で接していると言えないこともありません。高校を卒業してメイクを本格的に始める時期であることが関係しているのではないかと仮説を立てています。

 さて、世間ではいつ知り合った女友達を持つ人が多いのでしょうか。40~50代向けの働く女性向けウェブメディア『日経ARIA』(現・『日経xwoman』内)が、30~60代211人の読者にアンケートを採っています(2020年12月4日付)。

「家族よりも頼りになるような女友達はいますか?」という質問に79.6%が「はい」と答えており、「出会ったきっかけ」のダントツが「学生時代から(44.7%)」。その後「職場(26.3%)」、「趣味・サークル(12.3%)」、「ママ友(10.1%)」と続きました。

社会人になってからの友人より、学生時代に知り合った女友達の方が世間では多いとの調査も(画像:写真AC)



 またファッション誌『MORE』(集英社)の公式サイト『Daily MORE』は、22~33歳の働く女性406人にアンケートを採っていました(2020年7月31日付)。若い世代のせいか、“学生時代”の分類が詳細です。

「今も仲のいい女友達とは、主にどの時期に出会いましたか?」という質問に対し、多い順に「大学/専門学校時代」が30.7%、「高校時代」が28.8%、「小学校時代」が11.6%、「幼なじみ」が8.9%、「中学校時代」が8.4%と、いわゆる「学生時代」が圧倒的。「(主に同期や同僚と)社会人になってから」は7.6%と少数派でした。

そして気の合う友達が残った

 ふたつのアンケートから、世の中では学生時代の友達と仲良くしている女性が多いことが分かりましたが、若い世代の場合、ライフステージの違いというハードルをまだ越えていない可能性があり、今後少しずつ変化していくことも考えられます。

 皆が「独身」として横並びでスタートするのですが、その後「結婚」「出産」といったイベントがあり、ライフステージが変化していきます。男性と比べて女性の場合はこの差が大きく、同じステージの女友達との交流が中心になる人が多いようです。

 一番の関心事が同じというのが大きいのですが、物理的な「交流可能時間帯」の問題もあります。たとえば独身からすると、独身の友達とは平日の夜でも週末でも会えます。既婚者とは週末は会いづらく、子持ちとは夜に会えない、といったことが起きます。

 それらが積み重なって、友情はふるいにかけられていきます。

若い女グループ特有の同調圧力

 もちろん、ライフステージが違っても、残る友情はあります。残らないのは、やはり、一見仲良いようで実際はそうでもなかった場合でしょうか。
 
 学生時代は大人数のグループに属していたけれど、今はそのなかの一部とだけ交流があるという人は少なくありません。

 若い頃のグループには、女子特有の「同調圧力」というのか、皆で同じ感想を持たなければいけないようなプレッシャーがあったりします。「これかわいい」「これおいしい」「○○ちゃんは苦手」などなど。私はそうは思わないけど、という多様性は、出し方によっては場をしらけさせてしまいます。

 大人になってお互いの環境が変わると、この圧力が薄れていきます。出てきた違いが寂しさにしかならないときもあれば、その違いのあるがままを楽しめるときもあります。

グループ内に気の合わない相手も

 そもそも、グループには、そこまで相性が良いわけではない関係も含まれているもの。1対1では決して会うことはないような組み合わせ、ふたりだと途端に気まずくなるような組み合わせです。

 長年付き合っていたものの、マウントしてくるのが嫌になったとか、悪気なく(なのか意図的なのか)傷つくようなことを言ってくるのが嫌になったとか、縁を切ることは女の世界で珍しくありません。

 そして本当に気が合うとか、お互いが思いやれる関係が残っていきます。

グループあるある「3人組の難しさ」

 さて、SNSでも必ず話題に上るのが、“3人組”の難しさです。どうしても1対2になってしまうのは、永遠の課題なので、経験者は多いと思われます。

 たとえば3人で歩くとします。道幅からしても、通常3人並んでは歩けません。ふたりが前を歩き、ひとり人が後をついていく構図になります。後ろのひとりからすると、前のふたりの会話は聞こえないし、ポツンとしている様を、他の人に見られているかと思うとそれも恥ずかしい。

3人組だと、どうしても誰かひとりが“余りがち”に(画像:写真AC)



 レストランのカウンターや乗り物など、3人で横並びに座ったときも同じです。真ん中の人が片方に向かって話すと、残りの人が置いてきぼりに。まあこれは、テーブル席やボックス席であっても、よく起こること。話し手がひとりに向かって話をしてばかりだと、残ったひとりは惨めな気分になります。

 SNSを見ていると、「自分は1対2のうち、1になりがち」と語る人が少なくありません。しいて言えば、“1”になりがちな人には、すべてに相づちを打たなくてもいいというメリットがあると言えるでしょうか。

女友達への嫉妬とどう向き合うか

 最後にもうひとつ。女同士の友達関係で、頻発するのが“嫉妬”です。

 さきほどの『Daily MORE』のアンケートでは、「女友達をうらやましいと思ったことはありますか?」に対し、「よくある」40.3%、「たまにある」33.0%、「いつもある」12.9%、と86.2%が女友達に対する嫉妬を経験しています。

黄色いバラの花言葉は「嫉妬」(画像:写真AC)



 近くにいれば比べてしまうことはいくらでもあります。女友達のルックス、スタイル、エイジングの度合い、持ち物、仕事、羽振りの良さ、育ち、学歴、社交性、モテ、住んでいるところ、パートナーや子どもの属性、などなど。

 普段は相手に嫉妬していなくても、女友達だけが第三者から褒められたらどうでしょう。途端に面白くない気持ちになりませんか。心理学ではこういうとき、自分が否定されるように感じてしまう、と説明されているようです。

それでも大切なのは女友達

 女友達についてばかり話してきましたが、いつの間にか男友達はほとんどいなくなりました。気を遣わないで済んで、いっぱい笑わせてもらえる存在だったのですが。結婚適齢期を過ぎると、関係維持が難しくなるのです。

 既婚者の男友達とは道徳上、連絡が取りづらくなります。独身の男友達に対しては、その気はなくても残り物同士でくっつかなければならないのだろうか? という妙なプレッシャーがあったりしてやりにくい。

やっぱり、女同士の友情は尊い(画像:写真AC)



 だからこその女友達です。そして女友達の醍醐味(だいごみ)は、なんといっても“共感”し合えること。やはり女同士の方が感覚が近い、分かり合えることが多いように感じます。

 世間では、コロナを口実にイマイチ気が乗らない相手と会うのを止めた人が多いようです。本当に会いたい人とだけ会うというのが、今後のスタンダードになるのでしょう。

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