返納すべき? 東京と地方で異なる「自動車免許」事情
「いつかは返納するつもり」が6割強 加齢に伴う身体機能や判断力の低下により、運転に不安を感じた時には、自主的に運転免許の「取り消し」を申請することが可能です。昨今では「自動車免許の返納」について議論される機会も増えてきました。 免許は、取り消しの申請が可能(画像:写真AC) そんななか、旅行サイトを運営するエアトリ(新宿区新宿)は、20~70代の男女1211人を対象に「自動車免許の返納」に関する調査を実施(調査期間2019年5月9日~5月13日)。その結果、「免許の返納について考えたことはありますか?」という質問に対し、一番多かった回答は「いつかは返納するつもり」で64.7%でした。続いて多かった回答は「考えたことがない」で19.0%。すでに「返納済み」という人も3.3%いました。 返納者のコメントは以下のとおりです。 ・視力が衰えたのと、数年前からペーパードライバーで、運転能力が衰えていると自覚したので(60代男性) ・今、77歳ですが、70歳になった時に特に必要性を感じなくなり、どうしても車でということになれば、お金を惜しむことなくタクシーを使うことと決めました(70代男性) ・高齢者の事故が多く、社会に迷惑が掛かると判断(70代男性) また、「高齢者に対する強制的な免許返納のない現在の制度についてどう思いますか?」との質問に対しては、「一定年齢になったら免許は返納すべき」と回答した人が最も多く39.0%。続いて「どちらとも言えない」が34.5%、「今のままで良い」が26.5%でした。 「返納すべき」「今のまま」「どちらとも言えない」それぞれの理由は?「返納すべき」「今のまま」「どちらとも言えない」それぞれの理由は? それぞれの回答に至った理由は何だったのでしょうか。「一定年齢になったら免許は返納すべき」と答えた人の中には、「年齢を決めておくべき」との声がある一方で、「今のままで良い」と答えた人の中には、「年齢だけで判断するのは難しい」との声が見られます。 また、「今のままで良い」「どちらとも言えない」と答えた人の中には、都市部と地方との、交通網の違いを指摘する声も見られます。詳細は次のとおりです。 ●「一定年齢になったら返納すべき」と回答した理由 ・取得には18歳以上ってあるから、返納年齢も決めるべき(70代男性) ・今後さらに高齢者の割合が増え、今以上に事故を起こす確率が高くなるから。高齢になるにつれ、自分のことを冷静に見て判断できなくなるから。運転ができるのは何歳までと決めておくべき(40代女性) クルマが生活に不可欠な地域もある(画像:写真AC)●「今のままで良い」と回答した理由 ・高齢者でなくとも、不注意な運転をする人が多い。高齢者によるペダルの踏み間違いの対策をして(高齢者はMT車限定にする、アクセルとブレーキの形を変える、など)、車しか移動手段のない高齢者の手助けをする必要があると考えるから(50代女性) ・個人差があり、一律に年齢でくくるのは無理がある。更新試験を厳しくした方が良いとは思う(40代男性) ・自動車を運転しないと生活困難な環境となっている人は強制返上では生活できない、または農業や漁業などの第一産業生計者は生活できないので相応の保証が必要不可欠である(50代男性) ・返納後の不便さが社会的に検討されていない(60代男性) ・運転免許がなければ生活できない人もいる(30代男性) ・田舎はバスもタクシーもなく車が必要で畑仕事にも必要。大きな交通事故がおきないような農道の場合もあり、制度で統一するのは難しい(40代女性) ●「どちらとも言えない」と回答した理由 ・生活環境によりひとそれぞれである(60代男性) ・地域によっては公共交通機関の違いが多すぎる(60代男性) ・地域や個人の事情で考慮すべき(60代男性) ・交通の便が悪い所に住んでいる人にとっては車は必要だと思うので(50代女性) ・都市部在住の方は積極的に返納すべきだと思うが、地方在住の方は交通の便が悪い事もあり、返納するためには何らかの対策が必要だと思う(40代女性) 都市近郊は、鉄道、バス、タクシーなど、さまざまな交通網が発達しているため、クルマなしでも生活が成り立つ人が多いです。ですが、地方となると話は変わります。クルマがないと日常生活に支障をきたす人も数多くいるでしょう。地方には、駅まで1時間以上かかる場所や、鉄道やバスが1日数本しか来ない場所は決して少なくありません。 自動車免許の返納について考える時、特に都市近郊に住む人たちは、自分の周辺環境だけでなく、国内全体の状況を加味しながら、考えていく必要があるのかもしれません。
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