地方の半島「お試し暮らし」が今、東京人を惹きつけるワケ[PR]

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地方の半島「お試し暮らし」が今、東京人を惹きつけるワケ[PR]

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ご存じですか? 東京に暮らす人たちの間で今、地方の半島へ短期移住する「お試し暮らし」がジワリ人気を集めているって。そのワケと、積極的に呼び込み施策を展開する4県を紹介します。

豊かな自然と「ちょっと不便」に魅せられて

 東京在住者の間で今、地方に1週間ほど滞在して現地の生活を体験する「お試し暮らし」が少しずつ話題になっているそうです。モノがあふれて仕事と時間に追われる暮らしに疲れた人が、豊かな自然環境に惹かれて地方へ目を向けているのだとか。

 ただ、地方に連泊する旅行なら皆これまでも楽しんできましたし、全くめずらしくありません。

「お試し暮らし」が一般的な旅行と違うのは、現地の生活にしっかり溶け込んで暮らしぶりそのものを体験するというところ。

 たとえば、旅館やホテルではなく集落の古民家を借り切って、地元の食材で自炊をしてみる。農業など現地ならではの仕事に従事してみる。地域住民と一緒になって、地元のお祭りに参加してみる――。こうした体験を通して、普通の旅行では知る機会のないその土地の深い魅力まで味わうことができるのだといいます。……そう聞くと、ちょっと「お試し暮らし」してみたくなりませんか?

 ちなみに、行き先として特に注目を集めているのは各地の「半島」だそう。

今、東京在住者の間で話題になりつつあるという地方の半島への「お試し暮らし」。あなたは興味ありますか?(画像:石川県)



 三方を海に囲まれた立地が特長の半島地域は、海はもちろん山や川など多様な自然が身近に広がり、都会とはまさに対極的な生活環境。それに、内陸地域と比べて幹線交通網が十分でないといった「ちょっと不便」なところもまた、都心の人たちには逆に新鮮に映っているようです。

 こうしたニーズに応えるために各地の自治体も、居住場所や就労先を準備するなどの「おもてなし」策をまさに充実させ始めているところ。地域の魅力を伝えるとともに、「お試し」の先に移住を検討してもらうことにも期待を寄せているようです。

 自治体が用意する「お試し暮らし」用の民家は、1泊だいたい1000円(一度に何人で泊まっても同額)から。なかには何泊でも無料のところもあるというから驚きです。仕事に関しても、地元企業などと連携して受け入れ先を鋭意増やしているのだそう。

 ひと口に「お試し暮らし」といっても、その取り組みは自治体によってさまざま。より具体的な中身について、受け入れ施策に力を入れる半島地域の自治体のうち石川・静岡・鹿児島・長崎の4県の取り組みから探っていきたいと思います。

1. 居住先も就労体験先もワンストップ――石川県

 北陸新幹線開業で注目される、石川県。県北部を占める能登半島では、2013(平成25)年1月に地元経営者らが中心になって「能登定住・交流機構」を発足させました。

 設立のきっかけは前年12年の9月に東洋大学白山キャンパス(文京区白山)の学生20人をゼミ合宿で受け入れたこと。地域の生活に魅了された女子学生3人が卒業後に能登半島へ移住したことに背中を押され、お試し暮らしの受け入れ体制を整備していったといいます。

 2018年4月から県 と連携して進めている「短期移住体験プログラム」では、体験予定者の希望を聴き取り、期間中の居住先や仕事体験など滞在中の予定をトータルできめ細かくプランニング。体験就業先は、能登自慢の栗農園や伝統工芸の輪島塗の木工所、温泉旅館、メーカーなどさまざまです。滞在の受け入れ期間は2日間から最大1か月間で、宿泊費は無料という市町もあります。

地元の人も多く利用する、能登半島の朝市の様子(画像:石川県)



 同機構の立ち上げから携わっている代表理事の高峰博保さんによると、

「能登に魅力を感じて観光にお越しになる人はたくさんいますが、移住に至るためには、地域の人々との交流が不可欠です。暮らし体験や仕事体験を通して、地域の人々との人間関係が深まる『移住体験プログラム』に参加されることをおすすめしています」

とのことです。

2. 東京での仕事のまま「半島暮らし」――静岡県

 温暖な気候が人気の静岡県・伊豆半島は13の市町から成り、東海道新幹線を使えば東京まで2時間ほど。JR三島駅からなら東京駅までは東海道新幹線で1時間弱の近距離です。地元自治体はこの立地的メリットを前面に、住み替えの良さをアピールします。

「実際に静岡から東京へ毎日通勤している人は少なからずいますから、現在の会社に勤めながら半島の自然の中で暮らす“二兎を得る”生活が可能です。『お試し暮らし』で1週間から1か月ほど東京への通勤を試してみて、これなら大丈夫だ、とそのまま移住を決める人もいるんですよ」(県地域振興課の担当者)

 県市町や地元企業などでつくる「ふじのくにに住みかえる移住推進本部」(2015年度設置)のまとめでは、初年度の移住相談件数3046件に対して直近の2018年度は9981件と3倍以上に伸長。「お試し」だけでなくより具体的に移住を意識している人が少なくないそう。家族での体験者も多いため、広々とした民家で、宿泊費無料から「お試し暮らし」を受け入れています。

駿河湾と富士山を臨む、風光明媚な伊豆半島の古民家で体験する「お試し暮らし」(画像:静岡県)

「東京から神奈川・箱根の山を越えると、富士山や駿河湾という別次元の自然が広がります。東京から2時間ほどの近距離でこの自然を味わえるのは静岡・伊豆半島ならでは。現在のお仕事に就きながらでも、ぜひお試し暮らしを体験しに来ていただければと思います」(県地域振興課の担当者)とのことです。

3. 国指定の名勝・武家屋敷に住める?――鹿児島県

 九州の最南端・鹿児島県は、鹿児島湾をはさんで向かい合うように突き出した薩摩半島と大隅半島を擁します。2半島にある16市町がそれぞれ「お試し暮らし」の施策を展開していますが、なかでも一風変わった取り組みをしているのが南九州市。

 市内知覧町にある「知覧武家屋敷庭園」は、国の重要伝統的建造物保存地区などに選ばれている景勝地。2018年にはNHK大河ドラマ『西郷どん』のロケ地になるなど県内でも人気の観光スポットですが、「お試し暮らし」の体験者はこの知覧武家屋敷に泊まれるというのです。畳敷きの部屋がいくつも連なる平屋の屋敷に住む経験なんて、めったにできません。お試しで使えるのは2棟で、それぞれ1泊1組1000円。

 ただし県地域政策課の担当者によると「観光旅行で来る人向けではなく、あくまで移住を検討している人、地域交流を目的としている人に利用してもらっています」とのことです。

 江戸中期の庭園や武家屋敷を堪能してもらいつつ、本丸である地域での暮らしそのものこそ味わってほしいという思いから、地場企業の見学や地域行事などを滞在プランに組み入れて住民との交流を図ってもらっているといいます。

国の重要伝統的建造物保存地区に選定されている知覧武家屋敷庭園。ここでお試し暮らしができる(画像:鹿児島県)



 地場の資源を活用した取り組みは他自治体でも。県内有数のピーマン生産量を誇る東串良町(ひがしくしらちょう)は、ピーマン農園への就業体験を2018年度からスタートさせ、効率のよい生産方法や収入につなげるノウハウなどを体験者に紹介しているそうです。

4. 出会い・出産・子育てフルサポート――長崎県

 どの自治体も特に力を入れているのが、これから出産や子育てを希望する若い世代を呼び込むための施策です。

 長崎県の南島原市では、2019年7月に「子育て移住体験ツアー」を実施しました。宿泊費と夕食が無料のほか、羽田―長崎間の航空券が無料になる特典も用意。滞在中は、放課後に子どもたちと地域の大人が交流する施設「寺子屋」や、家族で暮らせる空き家物件、子育て支援センターなどの見学を行ったそうです。

 温暖な気候や温泉地など暮らしやすい気候を誇る長崎は、「ここで子育てをしたい」と移住を検討する若者も少なくないという人気県。「お試し暮らし」体験者にも県内での暮らしやすさをより知ってもらおうと、各自治体が独自の取り組みを展開しています。

温暖な気候が魅力の長崎県では、結婚や出産を考える若い世代を対象にした施策も展開中(画像:長崎県)

 たとえば、雲仙市が2019年度からスタートした「新・子育て応援パッケージ」は、未婚男女の出会いから結婚、出産や子育てをフルサポートする取り組みです。

 県の婚活サポートセンターへの登録料(1万円)を全額補助するほか、市外から移住した夫婦に対しては最大60万円の結婚奨励金を交付するのだそう。さらに、出産後は2歳までのおむつ代やミルク代など育児用品購入費の補助も。

 県地域づくり推進課の担当者は「長崎県は江戸幕府によって出島が築造された地ですから、外から来る人を受け入れる温かい気風があります。ぜひ一度『お試し暮らし』にいらしてください」と首都圏の在住者にアピールしています。

 このほか、長崎の半島の魅力が分かるイベントが東京都内で開催予定。興味のある人は足を運んでみるのもいいかもしれません。

【ながさきの半島フェア開催】
半島の魅力を体験しよう♪長崎県の半島地域が国土交通省の補助事業を活用し、地域の魅力を発信。特産品の販売や移住相談も実施します。ぜひお越しください。

■日時:2019年12月21日(土)、22日(日)
■場所:日本橋長崎館
■詳細URL
https://www.facebook.com/長崎県地域づくり推進課-423071334702959/

まずは東京でイベントに参加するのもオススメ

 いかがでしたでしょうか。どの県も多彩な「お試し暮らし」メニューを用意して東京在住者の来県を歓迎しています。

 少し注意したいのは、お試し用住居をはじめとする体験メニューは、あくまで「地域での暮らしや先々の移住に興味関心がある人のためのもの」であって、完全な観光目的の利用はお断りされることもあるということです。

「お試し暮らしに興味はあるけど、そう簡単にはできないし、移住なんてもっと非現実的。それでも地方での生活についてはもう少し知ってみたい」――。そう考えている人には、2020年1月26日(日)に東京ビッグサイト(江東区有明)で開かれる「移住・交流&地域おこしフェア」をお勧めします。

JOIN – ここでの出会いが新たな一歩へ JOIN 移住・交流&地域おこしフェア2020
https://www.iju-join.jp/feature_cont/file/074/

「移住・交流推進機構(JOIN)」が主催するイベントで、北海道から沖縄まで全国約400の団体が参加して移住や交流に関する取り組みや地域の魅力をアピールします。それぞれの自治体職員にいろいろ話を聞けるほか、各地の名産品を集めたおみやげコーナーも。今まで知らなかった町・地域を知る機会になるはずです。

 普段暮らす都会とは真逆の生活を体験できる、半島地域での「お試し暮らし」。まずはどんな自治体が受け入れをしているのか、気軽に調べてみるのはいかがでしょうか。

JOIN主催のイベント「移住・交流&地域おこしフェア2020」(画像:国交省)



●ここでの出会いが新たな一歩へ JOIN 移住・交流&地域おこしフェア2020
■開催期間:2020年1月26日(日)
■開催場所:東京ビッグサイト 南1・2ホール
■JOIN Webサイト:https://www.iju-join.jp/feature_cont/file/074/

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