明治座・三田社長が語る「伝統」と「矜持」、創業150周年に向けての決意とは
2019年4月11日
知る!TOKYO4月10日、小雨がちらつくこの日。東京で最も長い歴史を持つ劇場・明治座の代表が熱い胸の内を明らかにしました。
緞帳は「日本独自の工芸美が凝縮された美術品」
「この145年の伝統は『真摯な精神の継承』と言えます。戦後、当時の最大の娯楽だった映画スターに一堂に集まっていただき、『東映歌舞伎』という記録的な公演を行うことができました。またこの145年の伝統は『新しい事象への挑戦』だったとも言えます。この姿勢は先達から引き継いだ明治座の矜持です。
今回、緞帳を新たにするにあたって、明治座のそういった姿勢を皆さまに感じていただきたかったのです。単なる舞台機構の域を超え、日本独自の工芸美が凝縮された美術品としての価値も持ち合わせている緞帳。しかし、お客さまの真の目的はこの緞帳が上がってから始まる舞台です。開演をお待ちいただく時間も含め、より充実したひと時を過ごしてもらいたいと思っています」

三田さんが今回の登壇で繰り返し使ったり、強調したりした言葉があります。それは「伝統」と「矜持」。イベント終了後の控室でその真意を聞くと、笑顔でこう話してくれました。
「明治座も商売ですから、良いこともあれば悪いこともあります。しかしわれわれが一貫して続けているのは、お客さまの喜びを追求すること。また、そういったことに対して、社員たちが思いをひとつにすることなんですね。それが伝統と矜持なんです。
ですからそういったものを大事にしつつ、最新の技術を駆使し、明治座を訪れた人たちがより楽しく、より満足できる舞台芸術を目指すということなんです。そんな姿勢を、創業150周年に向けて示したかった。140周年も150周年も(伝統という概念から見れば)通過点に過ぎないのですが、ふたつの「間(あいだ)」のイベントとしてふさわしいかなと。『四季喜昇座 – 時を紡ぐ緞帳』は同じ時がないんです。今日(4月10日)は夜に雨が降っていて、春で、桜が散りかけていますよね――。それが緞帳に全部入っているんです」
「伝統」と「矜持」を重んじる、そんな明治座で目下取り組んでいるのが、若者を始めとする個人客の取り込みだといいます。
「上演する演目のバラエティーが近年増えたことで、若い人たちが来られるようになったのですが、こちらの営業努力はまだまだ必要。現在、明治座に来られるお客さまの7割は団体客ですし、ご年配の方が多い。これからはSNSの活用やホームページの充実を図り、団体と個人のお客さまの割合を『半々』にしていきたいんですよ」
三田さんは最後にこう付け加えます。
「大勢の人たちがこれまで明治座を支えてくださった。だから今日があるんです。そんな明治座のファンを『現代的な形』としてどんどん作っていきたい。それが『伝統』と『矜持』の存続につながるんじゃないかってね」
旧来の価値とこれからの価値の融合を見据えた明治座。その行方に注目が集まります。
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