店内全てテープ、使い方は無限大!マスキングテープ専門店「mt lab.」が楽しい

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店内全てテープ、使い方は無限大!マスキングテープ専門店「mt lab.」が楽しい

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浅草エリアにある、マスキングテープ専門店「mt lab.」。店内には、使い勝手のよい無地やかわいい柄物、光沢のある素材から限定品まで、約400種類のマスキングテープが集結しています。

ここにしかないマスキングテープがある

 店内ぜんぶがマスキングテープ。その数、なんと約400種類。そんなお店が浅草エリアにあります。マスキングテープのブランド「mt」がはじめてつくった路面店「mt lab.(エムティラボ)」です。

大江戸線の蔵前駅が最寄り。ちなみに大江戸線と浅草線の蔵前駅は、地下でつながっていない「離れた場所にある同じ名前の駅」なので注意(2018年7月、高橋亜矢子撮影)



 真っ白な壁にぴたっと整列した透明な筒の中には、マスキングテープがぎっしり。水玉、ストライプ、幾何学模様、動物をはじめ、さまざまな柄が、色のバリエーションも豊富にずらっと並んでいます。ビタミンカラーや蛍光色、金や銀の無地もあります。

マスキングテープが入っている透明な筒は「試験管」をイメージしてつくられたもの(2018年7月、高橋亜矢子撮影)
色の種類がたくさん! 無地のマスキングテープ(2018年7月、高橋亜矢子撮影)
店内中央の机には、平積みされたマスキングテープが。限定品が置かれることも(2018年7月、高橋亜矢子撮影)
金や銀のマスキングテープ。ぴかぴか(2018年7月、高橋亜矢子撮影)

 お店の名前は、日本語に訳すと「mtの実験室」。その名のとおり、ここでは、日々新たなマスキングテープを模索する「mt」による”実験”が随時行われています。

 こういうものを出してみたら、お客さんはどういう風に感じるのだろう。どんな風に使ってみるのだろう――と、お客さんの反応を知りたいという気持ちから、開発のお試しでつくってみた製品などを不定期で置いてみているのだそう。

 たとえば、両面に印刷が施されたテープ。ガラス窓など、透明な場所に貼った時に、表裏どちらから見ても柄が見えるように考案されたものです。

両面印刷テープ。表から裏の印刷がちょっと透けて見える(2018年7月、高橋亜矢子撮影)

 日中のうちに光を蓄えておくと暗い場所で光る、蓄光テープもあります。

状況にもよるが、暗い場所で約2~3時間くらい光るという(2018年7月、高橋亜矢子撮影)

1mm単位で幅を指定できちゃう計り売りも!

 月に数回、「幅計り売り」も行われています。幅計り売りとは、1mm単位で好きなテープ幅を指定して購入できるもの。幅は3mmから150mmまで指定できます。柄は、数種類から好きなものをチョイス。ひとり1柄につき150mmまで購入可能です。

幅計り売りの機械(2018年7月、高橋亜矢子撮影)
幅計り売りを実施していない日も、幅計り売りで販売しているテープと同じ柄のものを購入することは可能(2018年7月、高橋亜矢子撮影)

※テープの柄は随時変わります。また、幅計り売りの開催日は月ごとに異なるため、詳しくは「mt」のウェブサイトをチェックして下さい。

一見テープの形をしていないテープも!

 そのほか2018年9月現在、「mt lab.」では企画展として「wrap(ラップ)展」を開催しています。

壁にディスプレイされている「wrap」(2018年7月、高橋亜矢子撮影)

 芯棒にくるくると巻かれた「wrap」は、一見するとテープの形をしていませんが、両端にのりがついていて、ぺたっと貼ったり剥がしたりが自由自在。マスキングペーパーの特性を持ったラッピングペーパーです。

 ラッピングに使ったりするほか、袋や封筒、ブックカバーをつくることも。アイデア次第で使い方は無限大といいます。

不織布に打ち抜き加工したものは、今のところ「mt lab.」限定。紙と布のあいだのような質感(2018年7月、高橋亜矢子撮影)
店内には、スタッフが「wrap」で作ったてるてる坊主が(2018年7月、高橋亜矢子撮影)

 ちなみに、2017年2月にオープンしてからこれまでに行われた展示は、養生テープの新たな視点を探ってみた「養生展」や、マスキングテープになる前の紙を販売してみた「紙展」、そして「wrap展」の3つ。展示は不定期で新しいものに変わるといいます。

のしの形をした「wrap」もある(2018年7月、高橋亜矢子撮影)

 なお、オープン時は入店が完全予約制だった「mt lab.」ですが、2018年6月以降は自由に入退店ができるようになっています。

なぜ、マスキングテープは「雑貨」になったのか

 ところでこのマスキングテープ。2000年代初頭までは、こんなにもたくさんの色や柄はありませんでした。もともとは、塗装をする際、ほかの場所を汚さないようにするためや、梱包の際、中身を識別するための「業務用」として作られ、使われていたためです。

 ですが、そんなマスキングテープを「かわいい」と感じ、さまざまな種類を集め、新しい使い方を楽しむ人たちが現れました。

ある日突然届いた「工場見学がしたいです」

 新しい使い方を楽しみはじめたのは、普段は、ギャラリー運営やクラフト制作などを営む3人の女性。3人はある日、現在「mt」を展開しているカモ井加工紙(岡山県倉敷市)に「工場見学がしたい」とメールを送りました。

 カモ井加工紙は、1923(大正12)年、ハエトリ紙の製造からはじまり、さまざまな粘着テープをつくってきていましたが、当時は今のような商品展開はなく、マスキングテープは工業用のシンプルなもののみ、製造していました。

 工場を見学……? 突然の出来事に、カモ井加工紙の担当者は戸惑い、返信を保留していたところ、2回目のお願いとともに「冊子」が届きました。その中にあったのは、カモ井加工紙にとって、見たことのないマスキングテープの姿だったといいます。

 3人はマスキングテープをコラージュした「Masking Tape Guide Book」という自主制作本をつくっていました。その次回作の中に「工場見学記」を載せたいと考え、複数の会社に連絡を試みていたのだそうです。根底にあったのは「マスキングテープが好き」というパッションでした。

なお「mt lab.」では、工業用マスキングテープに包装を施したものも販売されている(2018年7月、高橋亜矢子撮影)



 わからない世界だけど、おもしろいのではないだろうか――。そう感じたカモ井加工紙は3人を工場見学に呼ぶことに。当日彼女たちは「マスキングテープの透け感や、手でちぎった感じがかわいい」など、今までのカモ井加工紙の歴史にはなかった視点からの言葉を連発したそうです。

 色の展開がかわいいという意見もでました。そして、できれば、今のラインナップにはないようなピンクや、かわいらしいオレンジ、もうちょっと渋い色などがあったらうれしいという声も。

 その様子を新鮮に受け止めたのが当時の常務取締役でした。まずは2008年、雑貨として無地の「20色セット」を発売してみることに。これが「mt」のはじまりでした。結果は好評。その後、何度も思案とアウトプットを繰り返し、今にいたっているといいます。

ちなみに「mt」発足時から、テープのデザインやイベント会場の空間演出をディレクションしているのはイヤマデザインの居山浩二さん。「mt lab.」の内装はトラフ建築設計事務所によるもの(2018年7月、高橋亜矢子撮影)

●mt lab.(エムティ ラボ)
・住所:東京都 台東区寿3-14-5 1F
・交通アクセス:都営大江戸線「蔵前駅」A5出口から徒歩約3分、東京メトロ銀座線「田原町駅」から徒歩約8分
・営業時間:10:00~12:00、13:00~19:00
・定休日:月、火曜日

※掲載の内容は、記事公開時点のものです。

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