店の名前が付いた独自メニュー! 中野区にある町中華「ミッキー飯店」の「ミッキーライス」って何?

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店の名前が付いた独自メニュー! 中野区にある町中華「ミッキー飯店」の「ミッキーライス」って何?

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下関マグロ

サンポマスター、食べ歩き評論家

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町中華にはお店の名前を冠したメニューがときどきあります。そんななか、今回訪れたのが中野区にある「ミッキー飯店」です。「ミッキー」って何でしょうか? 食べ歩き評論家の下関マグロさんが解説します。

謎深き町中華

 筆者(下関マグロ)は、町中華(地元に根ざした大衆的な中華料理店)を食べ歩く「町中華探検隊」に所属しています。その嗜好は隊員ごとに異なり、メニューの盛りがよく価格が安いお店が好きな人や、のれんなどの外観が好きな人などさまざまです。

 ちなみに筆者は、メニューの「オリジナリティー」を町中華に求めます。個人経営の町中華で提供されるメニューは、言うまでもなく店主の裁量によります。そのため、店主が勝手にメニュー名を決めてしまうことも。

今回訪問した中野区本町にある「ミッキー飯店」(画像:下関マグロ)



 もう閉店しましたが、浅草に「あずま」という町中華がありました。ここには

「あれ」

という名前のメニューがありました。

 筆者は、こうした謎メニューの中身を聞かずに注文するのが好きです。ちなみに「あれ」の正体は

「鶏の唐揚げの甘酢あんかけ」

で、結構おいしかったです。

お店の名前を冠したメニューの魅力

 閉店した話が続きますが、神保町にあった「康楽」には

「味自慢」

というメニューがありました。もちろん説明は一切ありません。

在りし日の神保町「康楽」。2017年撮影(画像:(C)Google)

 試しに注文してみると、

「肉と野菜のあんかけがのったラーメン」

でした。

 康楽には「康楽丼」というメニューもありました。こちらは、豚肉とキャベツのピリ辛炒めをご飯にのせたものでした。

 お店の名前を冠したメニューや奇妙なネーミングの料理は、その店にしか存在しません。当然、店がなくなれば食べられなくなります。だから筆者は食べ歩くのです。

名前はかわいいが味は豪腕

 そんなわけで、

「○○丼」
「○○麺」

といったような店名のついた料理を探しているとき、インターネットで見つけたのが「ミッキー飯店」(中野区本町)が提供している「ミッキーライス」でした。早速「食べに行かねば!」と思い立ち、某日、中野坂上駅へ。駅から歩いて7分、ミッキー飯店は住宅街のなかにありました。ミッキーって、もしやあの「夢の国」が由来?

 店内に入ると、ミッキーライスは壁に貼ってあるメニューにありました。ほかにも「ミッキーめん」「ミッキーかた焼きそば」といったミッキーシリーズが。こちらには「レバーと豚肉と野菜のピリ辛あんかけ」と説明書きがあります。

 つまりこのあんかけがご飯にかかっていればミッキーライスで、ラーメンやかた焼きそばにかかっていれば「ミッキーめん」「ミッキーかた焼きそば」のようです。

 筆者はレバーが苦手なので少し困りましたが、ここは初志貫徹でミッキーライスを注文しました。

「ミッキーライス」。750円(画像:下関マグロ)



 かなりの量です。思わず「うわ~、食べきれるかな」とつぶやきそうになりました。味は結構ピリ辛です。あれれ? レバーがおいしい……臭みが全然ありません。キャベツやニンジン、ニラなどの野菜もたっぷり。気がつけば完食していました。

 ミッキーライスというかわいい名前に反して、味わいは豪腕。筆者は辛い料理もそんなに得意ではないため、食べ終えたあとにうっすら額に汗をかきました。

 以来、このミッキーライスにハマってしまい、お店に何度か足を運びました。前述のミッキーめん、ミッキーかた焼きそばも食べましたが、どれもグッド。店名についてもお店の人に聞いてみました。

 お店の創業は1969(昭和44)年で、店名は中国語にくわしい人につけてもらったとのこと。初めからミッキー飯店ではなく「盈喜(みっき)飯店」でスタートしたといいます。これは「喜びに満ちる」という意味だそうです。

 しかし難しすぎて誰も読めなかったため、ミッキーに変更。なんだ、「夢の国」とは関係なかったんですね。

ミッキーライスにはたくさんの具材が

 何度も食べてきたミッキーライスですが、1人前の具材を作る前に見せてもらうことに。

 具材はあんかけになって出てくるため、どんな具材が入っているのかよくわからなかったのですが、調理前の材料を見せてもらって、筆者は驚きました。ベースとなるタレに、さらに

・ショウガやニンニクなどから作ったタレ
・ネギ油
・ラー油
・ごま油

などが入っていたのです。

 そんなタレに、

・炒めた具材
・ラーメンスープ

が加わります。最後は水溶き片栗粉で餡(あん)にします。

 ミッキーライスは元々、初代の高橋通博さんが客から

「食欲ないけど、なんか栄養のつくもの作って」

というリクエストを受けて、40年前に考案したそうです。

 現在の厨房(ちゅうぼう)は息子さんである2代目の進さんが担当。初代いわく

「私がやってた頃はいまよりもっと簡単な味付けでしたが、息子になってからは味が進化したんですよ」

左から初代の奥さまの由美子さん、2代目の進さん、初代の高橋通博さん(画像:下関マグロ)



 あー、なるほど。それにしても結構エッジの効いた味です。

 というわけで、皆さんも町中華に行って初めて見るメニューがあったら、ぜひ注文してみてください。案外、おいしい料理に出会うかもしれませんよ。

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