SDGs実現で再注目も 企業の社会的責任(CSR)が何度もブーム・沈静化を繰り返してきたワケ【連載】これからの「思考力」の話をしよう(8)

歴史の風雪に耐えた基礎的な理論・フレームワーク(思考の枠組み)を紹介し、現在でも色あせないその魅力について学んでいく連載シリーズの第8回。最終回の今回紹介する理論・フレームワークは、「CSRとCSV」です。


CSVで持続可能なCSRへ

 なぜCSRはブームと沈静化を繰り返すのでしょうか。それは、過去のCSRでは企業が利益を犠牲にして嫌々ながら取り組んできたからです。

 企業が不祥事を起こすと、迷惑を掛けた地域や団体に寄付をしたり、従業員にボランティアをしてもらったりします。そして、企業への批判が収まると、こうした「免罪符」としての活動は縮小していきます。あるいは、企業の業績が悪化すると、「それどころじゃない」ということで、社会貢献活動は打ち切りになります。

 つまり、CSRを一過性のブームに終わらせず、不祥事を起こした企業だけでなく広く浸透・定着させるには、企業が利益を犠牲にして嫌々取り組むのではなく、事業活動の一環として取り組むことが望まれます。

 この観点から、一部の企業で注目されているのが、ハーバード大学のマイケル・ポーター教授が提唱したCSVです。CSV(Creating Shared Value、共通価値の創造)は、自社の事業を通じてさまざまな社会の問題を解決し、経済的価値と社会的価値を両立させようとするものです。

CSRに関わる主な出来事と国際規範、イニシアチブ等の変遷(画像:経済産業省)

 ポーター教授によると、CSVには「製品と市場の見直し」「バリューチェーンの生産性の再定義」「地域支援の産業クラスターの形成」の三つがあります。例を挙げましょう。

1.製品と市場の見直し:システムインテグレータが地域交通システムを開発し、「渋滞解消」に貢献することができます。
2.バリューチェーンの生産性の再定義:商社が物流システムを効率化し、「環境負荷の軽減」に貢献することができます。
3.地域支援の産業クラスターの形成:電機メーカーが発展途上国で事業展開することで、「産業集積の形成」に貢献できます。

 なおポーター教授は、CSVをCSRに代わる新しい概念だと主張していますが、これはやや不適切な対置です。

 CSRは免罪符的な活動だけでなく、社会をよくする自発的で前向きな活動も含まれるからです。CSRのうち、企業の利益獲得に反しない事業を通した社会貢献活動を、CSVだと考えるべきでしょう。

エコピープルの出現に期待


【画像】環境保全のために、「すでに行動している人」は全体の何割?

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