サバ缶、配って7年。ひたむきにダジャレを具現化し続けるサーバー管理会社がある
2019年3月11日
ライフ虎ノ門のサーバー管理会社が、サバ缶を配る活動を続けています。一体なぜなのでしょうか。
世田谷区経堂の人たちと被災地とをつないだ缶詰
須田さんと木の屋石巻水産との間には、2011年3月11日に発生した東日本大震災より以前から交流がありました。震災時には、津波に工場を奪われてしまった木の屋石巻水産。その再建の足がかりをつくったのは、さばのゆやその周辺の住民だったといいます。
「当時の木の屋石巻水産さんは、業務停止を余儀なくされていました。ただ、缶詰の在庫はあって。地中に埋まっていたんですよ。うち何個かを、木の屋石巻水産の営業担当者が、さばのゆに持ってきたんだそうです。『召し上がってください』と」(高橋さん)
見た目は、津波のヘドロで真っ黒でしたが、缶詰なので中身に問題はありません。経堂周辺の人たちは、その缶詰を洗浄。義援金300円ごとに1缶手渡す活動を、数か月間に渡り続けたといいます。義援金と交換された缶詰は22万缶にのぼりました。
「そこで集まった寄付が、工場の再建のきっかけになったのだそうです。木の屋さんの缶詰は、世田谷区経堂の人たちと被災地とをつないだ、謂(いわ)れのある缶詰なんです」

コストは4倍に。でも人の気持ちに刺さる度合いは100倍に
繋がりが新たな繋がりを生み、誕生した「サーバー屋のサバ缶」も、被災地の子どもたちを応援する活動への寄付を行っています。
「東日本大震災では、今まで当たり前に存在していたかけがえのないものが、その瞬間を境に崩れ去ってしまいました。一方僕らは、ネット環境が当たり前に使えるよう守るための仕事をしています。
ふだん当たり前だと思ってることが、実は当たり前ではないということを、忘れないでいたり、思い出すことには意味があると考えています。そんな思いは、この缶詰に象徴されているのでは……とも思っています」
なお、金額面にもダジャレ力は遺憾なく発揮されており、寄付金額は売上の38%。販売価格も380円です。


(※注:残念ながら、2019年3月現在「サーバー屋のサバ缶」の一般販売は停止中です。サバブームの影響を受け、一般販売可能な数を確保することが難しくなってしまったとのこと。ただし、同様の中身が入った商品は「金華さば」として、木の屋石巻水産から販売されていることがあります)
「初号機(スーパーで調達していた100円くらいのサバ缶)より、4倍くらいコストが上がっているんですけど、人の気持ちに刺さる度合いを考えると、もう4倍どころじゃなくて。100倍はいっていると思います」
ただでさえインパクト抜群でありながら、衝撃的なまでに美味しいサバ缶。たしかに、手渡された人の心を強く撃ち抜く力を持っていることは想像に難くありません。

なお、スカイアーチネットワークスでは、サバ缶以外にもダジャレの具現化が行われています。その名も「食らうど!ラムダカレー」。
「これ、説明がちょっと難しいんですよね。ラムダっていう数学の関数があるんですよ。今僕たちは、AIとかクラウドを扱っているんですが、そこで使う関数(ラムダ)とラムカレーをかけました」

「カレーは、経堂のインドカレー屋『ガラムマサラ』のインド人シェフと一緒につくっています。缶詰は、木の屋石巻水産さんに無理を言ってつくってもらいました」
ダジャレ具現化第3弾にも意欲的で、「常にネタを探しているのですが、ラムダカレー以後、なかなか思いつかなくて。毎日毎日考えているんですけどね」と話してくれた高橋さん。新たなるダジャレ商品が誕生する日を待ちわびたいと思いました。
※掲載情報は2019年3月時点での情報です。
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