「食べていけない」 東京の難関大学で“博士号”を取った女性が、いまも派遣社員を続ける現状

博士号を取ったものの、大学の教員にはなれず企業への就職も難しい「ポスドク問題」。渦中にいる当事者は、どのようなことを経験し、何を感じているのでしょうか。現在、派遣社員として生計を立てる女性の話から、ポスドクの現状を考えます。


リケジョにスポットが当たる裏で

 あれから何年かたって、大学はまた変容しています。実務家教員が増え、「特任」「特命」という肩書の有名人教員が増加。どのくらいがきちんと研究をして、大学の実務もこなしているのかは分かりません。

 かつて「団塊の世代の先生方がやめたら、ポストがたくさん空くから」と言われていましたが、いざそのときが来ると、世の中は「文学部不要論」に満ちていました。ネットには「文系は役に立たない」という書き込みがあふれました。「リケジョ」が脚光を浴び、理系のポスドクを救う動きも見られます。

「もちろんそれらが大切なのは分かりますが、文学や歴史も理解したうえでこそ、真にテクノロジーを発達させることができるのではないか」というのが沢田さんの考えです。「頭が硬いのです」と苦笑いしながら語ってくれました。

学歴の「院卒」を隠す理由

「博士になってよかったことを上げるのは難しい」と沢田さんは明かします。派遣先を変わるときの面接では、職歴を書いたキャリアシートのみが使われるので学歴のことには触れないようにしています。

就職・転職の際に記入する履歴書のイメージ(画像:写真AC)

「以前、よく知らないで『大学院に通っていました』と伝えたら『そんな大層な人はけっこうです』とお断りされたことがありました。院卒で派遣をしている知人もいますが、みんな共通して学歴のことは黙っています」

「もちろん院卒でも歓迎してくれる企業はありますから、そうしたところに行けばいいだけです。ただ、つらくないわけではないですよね。あるお笑い芸人の方が、いまいちブレークできない理由として『人見知り』『お酒が飲めない』『軍団に入らない』の三つを挙げていましたが、まさに私はこれでした」

「でも、きちんと研究しているだけで認めてもらえる場所もあるし、そうした人もいるんです。自分の立ち回りや見切りが甘かったんですね。でも、やっぱり釈然としない気持ちもあって」

大学という「都市」に揺られて


【調査】大学生・大学院生の最新「内定率」

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