「青春18きっぷ」の真の魅力とは何か? 外出自粛の今、終わりゆく夏の今、改めて考える

若かりし頃、誰もが使ったであろう「青春18きっぷ」。その魅力とは何でしょうか。コロナ禍で外出自粛の今、そして夏休みの終わりにあえて、鉄道ライターの弘中新一さんが熱い思いをぶつけます。


バブル後に復活した貧乏旅行

 さて、そんな青春18きっぷの旅が広く知られるようになったのは1990年代に入ってからです。

 交通費・宿泊費を極限まで削って1日でも長く続ける貧乏旅行は、1970年代に多くの若者たちによって楽しまれていました。ところが1980年代後半になると、そうした旅のスタイルはいったん衰退します。バブル景気が続くなかで、若者たちの間にも貧乏旅行よりリッチな旅行といった感覚が生まれていったのです。

 それを繁栄するように、1980年代後半の新聞・雑誌では青春18きっぷについて触れる記事はほとんど見当たりません。もちろん発売は続いていたので需要はあったわけですが、決して「日のあたる交通手段」ではなかったのです(もちろん、時刻表を手に全国を回る若者もいました)。

青春18きっぷを使った旅情あふれる旅のイメージ(画像:写真AC)

 ところが、バブル景気の崩壊で景気後退が実感されるようになると、リッチさに価値を見いだす生活スタイルは一変し、世間には「激安」「お得」というキーワードがあふれかえるようになります。そうしたなかで、再び脚光を浴びたのが青春18きっぷでした。

『朝日新聞』1993年3月15日付夕刊では、青春18きっぷの人気を「学生稼げず 鈍行の旅」として、一面で報じています。

「バブル時代は、高額なバイトで稼ぎ、新幹線や飛行機でリッチな旅を楽しんだものだが、いまやバイトも不況で「おいしい仕事」などおいそれとはない。そこで学生本来の「金はないが、暇はある」旅志向となったらしい。ダサイと敬遠されていたユースホステルも宿泊申し込みが増えている」

 こんな解説が添えられる記事で、記者は春休みの東京駅7番ホームから、大垣夜行に乗車。大垣まで通路に立ちっぱなしの人もいる混雑ぶりを報じています。

「青春」という名前の重み


【25年前の画像】1枚の切符に「5回分の使用期日」が書き込まれるようになった青春18きっぷ

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