「カタログは後ろから見る」 自由が丘の人気セレクトショップに全国の逸品が集まり続ける理由

自由が丘に「日本のカッコイイを集めた」セレクトショップがあります。彼らはいったい何にこだわっているのでしょうか。商い未来研究所代表で、小売流通専門誌「商業界」元編集長の笹井清範さんが同店を解説します。


米国で気づいた日本製品の魅力

 しかし、河野さんは鈴屋立て直しの柱と目される新規事業の担当者のひとりに抜てきされ、取引先開拓、情報収集などで国内外を飛び回ることとなります。そこで出会ったのが、日本各地で注目を集めていたセレクトショップの店主たちでした。

 彼らはいずれも自分と同じ世代。彼らに触れ、あらためて店をやりたいという思いが強くなっていったのです。

 また、ニューヨーク出張でファッションの最先端で働く人たちと仕事をしているときのこと。そのひとりが河野さんにこう言いました。

「それ、カッコイイね」

 彼は、河野さんが使っていた日本製のシャープペンシルのデザイン性と機能性の高さを激賞したそうです。日本製のなかにも世界に誇るべきカッコイイものがあると実感した瞬間でした。

 河野さんが日本製の良品に注目、起業を決意したエピソードがもうひとつあります。職場結婚した妻・与輔子さんが病にかかり、薬の副作用もあって味覚を失い、食欲がなくなってしまったことがありました。おいしいものが好きな彼女にまたおいしいものを味わってほしい――これが河野さんの願いになったのです。

創業きっかけをつくった曲げわっぱ弁当箱。秋田県大館でつくられているものを扱う(画像:笹井清範)




 ある記念日、何か思い出になるものを買おうとなったとき、与輔子さんから日本の伝統工芸品のひとつ、曲げわっぱの弁当箱をリクエストされました。そこで河野さんは百貨店で秋田杉を素材とする曲げわっぱ弁当を探し求め、彼女はそれにお弁当を詰めて出社すると……。

「ご飯がとてもおいしかった。これだったら食べられる」

と、与輔子さんは帰宅するなり笑顔を見せました。日本製ってすごい――こうして河野さんは日本製の良品に魅了され、40歳で鈴屋を退社。1年間の準備期間を経て、東京・自由が丘に13坪の店を開いたのです。

「お金はありませんから、行く場所だけあたりをつけて、青春18きっぷで産地をアポなしで訪ねました。その土地を知り、その土地でつくられる良品を知ると、必ず出会えるんですよ、素晴らしいつくり手に。こうした“さがしモノの旅”を繰り返し、カタカナを育てていきました」

開業時からぶれない三つの基準


【画像】カタカナ開業時から販売される「革小物」

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