小山田問題で批判された「90年代サブカルチャー」 実は『孤独のグルメ』人気の立役者だった
2021年8月20日
ライフ小山田圭吾さんのいじめ問題で一躍注目を浴びた90年代サブカル。その大まかな流れと現在への影響について、ルポライターの昼間たかしさんが解説します。
90年代が残した暗黒面
90年代に好まれた「忌み嫌われるもの」について、少し紹介していきましょう。
早川書房が1994(平成6)年に邦訳版を出版したロバート・K・レスラーの『FBI心理分析官―異常殺人者たちの素顔に迫る衝撃の手記』は100万部を超えるベストセラーになりました。その翌年に創刊された『週刊マーダー・ケースブック』(省心書房)も大きな注目を浴びました。

このほかにも、90年代の若者の一部はドラッグや自殺、ゴミあさりなど、モラルが問われるどころか犯罪まがいの情報を娯楽として消費していました。今では90年代の暗黒面だと指摘されています。
こうした価値観が醸成されるなかで、一般社会に背を向けるようなふるまいや発言をする人が人気を得るようになりました。小山田さんへのバッシングは、そんな価値観を許容した当時の文化をもはや肯定できないといった論調がベースになっています。
ただ筆者の記憶では、小山田さんの記事は掲載当時から批判されていましたし、周囲にもいじめ賛美を面白がったり、皆で楽しんだりなどの風潮は存在しませんでした。
このような文化は、あくまで限られた仲間内だけで共有され、隠れてコソコソと楽しむものでした。さまざまな文化が交錯する東京でも、これらの存在感は多少大きかったものの、あくまでアンダーグラウンドなものにすぎませんでした。
小山田さんが名を連ねていた渋谷系の音楽シーンも、悪趣味や鬼畜系を愛好する人はむしろ「オシャレなメジャーなもの」として距離を置いていました。
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