現在、ある匿名画家のリアルな「東京ひとり暮らし」作品がツイッターで共感を呼んでいる理由

2021年8月16日

ライフ
ULM編集部

玄関ドア、洗面台、浴室、台所――。何気ないマンションの一室を描いたアクリル画が今、ツイッターで多くの人の共感を集めています。この作品の魅力はどこにあるのか、作者である伊藤ゲンさんに話を聞きました。


目の前のものを、日常の記録として描く

 作者の伊藤ゲンさん(筆名)は今、都内にあるおよそ築50年のこのマンションに暮らしています。

「(絵を描き上げる)スピードは速い。アクリルを使うから。実は油絵の具を使いこなせない。乾きの時間が待てないの。『玄関』とか『風呂』とか(の作品)で2日から3日くらい。完成したら二度と手を入れない」

 目の前にあるものを、そのままに描くといいます。配置や構図は考えず「ポンと切り取ったみたいに描きたい。ようは、日常の記録のようなもの」なのだといいます。

芸大を中退、演劇・映画の世界へ

 新潟県出身。東京芸術大学(台東区上野公園)の油画専攻へ進学し、中退。

 劇作家・唐十郎氏が率いる劇団唐組に入り、舞台美術と役者を兼任。8年在籍したのち映画美術の世界へ。絵をなりわいにしたことは、これまで一度もないといいます。

 自身の住まう室内や、目の前にあるものばかりを選んで描くのはなぜか。

「今それが自分にとってリアリティーがあるから。――ぼくは今、映画のセットを設計し、制作し仕上げる仕事をしています。新品のものを、物語に沿わせて使い込ませ、成立させる必要があります。使用感とか経年劣化とかを表現することは、今の仕事のテーマでもあります」

「それなのに、いざ自分の生活を見つめるときは、それが“テクニック”になってしまうことを恐れます。“ムード”になってしまうからです」

 見たことのあるような画面構成や、感情的なタッチ、作者として物語性を付与することをあえて排除する作風の理由は、「対象にただ迫れば迫るほど、逆に精神性が表れるのではないか」と思うから。

 そうした狙いが結果として、作品を見た人それぞれが自身の記憶と重ね合わせ「懐かしい」「自分の思い出のよう」と感じることにもつながっていると言えます。

ツイッターだから届けられたもの


【画像ギャラリー】圧倒的なリアリティーを感じる作品(16枚)

画像ギャラリー

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