「ワクチン接種でネズミが死んだ」→「寿命です」 ネット上のデマばっさり否定、東京・小金井市のサイトが“攻めてる”と話題に

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「ワクチン接種でネズミが死んだ」→「寿命です」 ネット上のデマばっさり否定、東京・小金井市のサイトが“攻めてる”と話題に

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新型コロナウイルスワクチンをめぐり、インターネット上などで出回る誤情報。それらを小気味いいほど明確に否定し、話題になっている行政サイトがあります。東京都のほぼ中央に位置する小金井市。担当者に話を聞きました。

市の担当者にサイトの狙いを聞いた

 国内でも接種が進む、新型コロナウイルスのワクチン。河野太郎規制改革相は2021年8月10日(火)の会見で、国内の総接種回数が1億回を超えたことを受け「相当スピードが前倒しできているのではないか」と述べました。

 一方、インターネット上では科学的根拠に基づかない真偽不明の情報なども数多く出回っており、「何を信じたらいいのか分からない」と不安を口にする声も一部に根強く残っています。

新型コロナウイルスワクチンに関する誤情報をばっさり否定(画像:写真AC)



 そうした不安を打ち消すため、力強いメッセージを発信する東京都内の自治体のサイトが今、SNSでじわり注目を集めています。

 東京都のほぼ中央に位置する、小金井市。面積11.30平方キロメートル、人口は約12万5000人(2021年8月1日現在)。市の真ん中をJR中央線が走り、新宿や東京駅などの都心へのアクセスが良いことから年々人気の高まっているまちです。

 話題となっているのは同市公式サイトの健康課のページに掲載されている、市医師会からのメッセージ。

「新型コロナワクチンについて その8 ワクチンの効果、誤情報に注意」(同年6月29日更新)と題された文章では、

「インターネットやSNSでワクチンの誤情報が蔓延(まんえん)しています。信頼できる情報源と正しい情報をお伝えいたします」

としたうえで、「よくある質問や誤情報」について17のQ&Aで回答しています。

副反応より感染の方が「よほど有害」

 その内容は極めて明瞭で、分かりやすく、ワクチンをめぐる誤った情報を完全否定。小気味よささえ感じられる回答は、たとえば、

Q:将来何がおこるかわからないので心配です
A:科学的にもこれまでの調査からも長期的な副反応は想定されておりません。

Q:ワクチン接種後に亡くなった方がいると聞いた。
A:ファイザー社、モデルナ社のワクチンの「接種が原因」で亡くなった方はこれまで一人もいらっしゃいません。「ワクチン接種が原因で亡くなる」のと、「ワクチン接種後に亡くなる」のは全く意味が異なります。(後略)

注目を集めている、小金井市のサイトページ(画像:小金井市)



Q:熱や倦怠感(けんたいかん)が出るのが嫌だ
A:コロナに感染するほうがよほど有害です。命にかかわることもあれば後遺症が残ることもあります。(後略)

Q:不妊になると聞いた
A:なりません。卵巣に蓄積しません。妊娠中でも接種できます。

と、一部で広まった“不妊説”も科学的根拠を示しつつ全否定。接種後の副反応を不安視する声に対しても、「コロナに感染する方がよほど有害」と厳しい現実を突きつけました。

 さらには、

「Q:漠然と心配です」

という、多くの人が抱えるまさに漠然とした思いについても、

「A:ワクチン接種しないことによる感染リスクや社会・経済活動の低迷の方が明確に心配です。」

とバッサリ。

「5Gに接続される」も完全否定

 また、

「Q:ワクチン接種したネズミが2年で死んだと聞きました」

という問いにも

「A:ネズミの寿命は2年です。」と明瞭回答。そして、

「Q:(ワクチン接種により)5Gに接続される、磁気をおびる」

という一時ネットでうわさされた明らかな誤情報にも

「A:そのような事実はありません。」

 このように、辛抱強くひとつひとつの問い・誤情報に回答を重ねている姿勢が、ツイッターなどのSNSで評判を呼んだ理由のようです。

「そのような事実はありません」。明確な回答が市民の不安を払しょくする(画像:写真AC)



 このページを所管する市健康課の担当者に話を聞いたところ、こちらは市医師会のメッセージをそのまま掲載しているページ。

 Q&Aの内容については、ツイッターなどSNSで散見された市民の心配・不安の内容を中心にピックアップしたと言います。

「こうした不安に対して公的機関として明確に回答することで、市民の不安を解消しワクチン接種が進むようにと、医師会と相談のうえ掲載しました」(同課担当者)

 同ページの「最後に」と書かれた項目には、次のようにつづられています。

「皆さん自粛生活にもいい加減疲れたのではないでしょうか?」

接種に関する情報は自治体などに確認を

「ワクチンは、防戦一方だったコロナとの戦いに現れた唯一にして最強の武器であり希望です。コロナを収束させ、普通の生活に戻り、経済を復活させるには、なるべく早くワクチン接種を進めるしかありません」

「ワクチン接種のメリットとデメリットを天秤(てんびん)にかければ雲泥の差でメリットの方が大きいです」

「誤情報に惑わされず、正しい情報に基づいて、接種する/しないの判断をしていただければと思います」

「一日でも早く元の生活を取り戻しましょう!」

小金井市の位置(画像:(C)Google)



 同課の担当者は「集団免疫獲得のために、接種率のさらなる向上を目指していきたい」と話しています。

※ ※ ※

 ちなみに、同市サイトについてツイッターで発信したのはm-Tech(炭酸チョコモナカ)さん(@mykz_n)。友人に、

「小金井市のウェブページがワクチンに対する誤解に対しての反論を掲載してるよ」

と教えてもらったのがきっかけだったと言います。

 m-Techさんは、サイトを読んだ感想について、次のように話しています。

大学3年生、夏合宿が2度も中止に

「このQ&Aは自治体のサイトとしては驚くほど強い言い方をしており、自治体当局・医療団体の接種推進にかける強い思いと、誤情報に対する怒りを感じました」

「同ページの言葉を借りると、現状唯一の武器であり希望ですし、ワクチンに関する誤情報が飛び交っている状況は大変残念です。すべての層(市民、国民)に訴求するという点で、テレビ・新聞などが積極的に正しい情報を発信してほしいと思います」

 m-Techさんは現在、大学3年生。大学の部活の部長を務めていますが、メインイベントである夏合宿が2年連続で中止になってしまいました。

「ワクチン接種が進み、団体での旅行が許容される世の中になり、また合宿ができるようになってほしいと願っています。ちなみに私自身、1回目の接種を完了し、再来週に2回目の接種を予定しています。1回目からけっこうな発熱があったので、万全の準備で望むつもりです」

 少しずつ進んでいるワクチン接種。正しい情報や接種に関するスケジュールなどは、お住まいの自治体のウェブサイトなどから確認することができます。

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