地方移住したら収入激減! 自然満喫ライフも「激務で無理ゲー」という厳しい現実【連載】現実主義者の東京脱出論(5)
2021年8月6日
ライフ新型コロナウイルスの感染拡大で、今まで以上に注目を浴びる「東京脱出」「地方移住」。そんな世の中のトレンドに対して、1年の半分近く全国各地を巡る地方系ライターの碓井益男さんが警鐘を鳴らします。
地方で増える「東京ヘイト」
数年前、筆者の知人男性が長野県北部の片田舎に移住しました。彼は独り身の気軽さで、「自分の気に入った土地に住みたい。そこで山に登ったり、自然を満喫したりして暮らしたい」と話していました。しかし、うまくいきませんでした。
収入は東京時代より激減。そもそも正社員雇用は少ない環境です。どんなに行政の移住支援が手厚い地域でも、移住者が納得できる仕事のあっせんはほぼ不可能です。言うまでもなく、地方は働く場所が限られているからです。元々の選択肢が少ないのですから、そのなかで妥協してくださいということになります。行政が悪いのではなく、地方はおしなべてそのような状況なのです。
そんななか注目を集めているのが「二地域居住」です。
東京の自宅はそのままにして地方移住する人は以前から存在していましたが、コロナ禍で「東京脱出」を考える人が増えるなかで、新たな生活スタイルとして話題となっています。
国も地方の人口増加をもくろみ、国土交通省が2021年3月、「全国二地域居住等促進協議会」を設立。既に二地域居住が増えている自治体のノウハウを共有し、関連施策を検討するとしています。

ここでイメージされているのは「週末移住」のようなスタイルです。大都市圏から2~3時間程度の地方に住み、ウイークデーは大都市圏で働き、週末を地方で過ごすというもの。いわば「プチ田舎暮らし」であり、新たな東京脱出のスタイルとも言えます。
ただ、国が関心を示しているわりにはうまくいきそうな要素が見当たりません。
まず、コロナ禍でこのスタイルは困難です。筆者は現在も感染に気をつけながら地方取材を何度も行っていますが、2020年よりも素朴な「東京ヘイト」は増えているように感じます。
先日もある地方の食堂で順番待ちの列に並んでいたら、前に並んでる初老の女性ふたりが
「東京はコロナでいっぱいらしいな」
「東京の人を外に出したらいかんわ」
という会話をしていて、少し怖くなりました。筆者は「帰れ!」と直接言われたことはありませんが「仕事とはいえ、なんでこんな時期に……」と哀れみのまなざしを向けられることは少なくありません。
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