池袋駅近くに「町中華」ならぬ「ガチ中華」のフードコートがあった! 現地感満載で、もう気分は異邦人でした【連載】ガチ中華をたずねて三千里(1)

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池袋駅近くに「町中華」ならぬ「ガチ中華」のフードコートがあった! 現地感満載で、もう気分は異邦人でした【連載】ガチ中華をたずねて三千里(1)

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オンステージ高志

ガチ中華愛好家

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さまざまな食を楽しめる大都会東京――。そんななかで近年注目を浴びているのが、現地さながらの庶民的価格な「中国料理」です(中華料理ではありません)。当連載ではそれを「町中華」ならぬ「ガチ中華」と呼び、都内の新店・珍店・奇店を巡ります。

池袋駅北口に新たなフードコートが開店

 コロナ禍で飲食店の苦境は続き、多くの人は元気を失っています。そんな今だからこそ、おいしいものを食べたい人も多いはず。東京では新しいお店も次々とオープンしています。

 そんななか、池袋に新たな中国料理のお店が6月にオープンしたという情報が入ってきました。池袋はもともと、本場中国の味が楽しめる料理店が増えているので、期待が高まります。情報提供者いわく、

「友誼(ゆうぎ)商店のビルの2階もフードコートになったらしい」

とのこと。

 友誼商店(豊島区西池袋)は池袋駅西口のビル4階にある在日中国人向けスーパーで、中国各地の料理に欠かせない食材がなんでもそろうお店として、日本のガチ中国料理マニアにも知られています。

 2019年に4階の火鍋屋だったところが改装され、フードコート・友誼食府に。四川、東北、上海と中国各地の料理を出す店が並ぶ、現地感満載のフードコートは口コミで話題になり、日本人も中国人も小吃(シャオチー。軽食)を楽しんでいます。

 そんなビルの2階に、新たなフードコートが出現したのです。2階は中国人向け書店と旅行会社が入居していたのですが、どうなったのでしょうか?

 インターネットで検索してみると、既に食事を楽しんだ人の書き込みも発見。確かに2階がフードコートになっている様子です。そして最近増えている本場の味の店らしく

「日本語は通じないかも」

とも。

 この「微妙な高さのハードル」を越えて楽しんでみたいと、早速池袋に行ってきました。

キャッチコピーは「本と美食だけは裏切らない」

 池袋駅西口にはチャイナタウンが広がっています。西口は喫茶店「伯爵 池袋北口店」があるところで、番号だと20番出口。20番出口はさらに20a、20b、20cに分かれていますが、今回目指すお店は20bが最寄りです。

 20b出口を出ると、右の建物がお店の入居するビル。このビルの2階に今回目指すフードコート「食府書苑」(豊島区西池袋)があります。

「食府書苑」の入り口(画像:オンステージ高志)



 道路に面したところに看板はまだなく、少し奥まったエレベーターホールのところにタペストリーが立てかけてあります。友誼商店と同じビルと覚えておけば、迷いません。

 入り口を入ったらエレベーターには乗らず、左手の階段を上ります。フードコートに続いている感じがまったくしませんが、上りきると「食府書苑」のタペストリー。そして右を向くと、開いたドアの向こうに書店の本棚とフードコートの座席が見えます。

 この書店は以前何度か入ったことがあります。以前と比べて、書店スペースを圧縮して、空いたスペースにフードコートが作られた印象です。ドアのところには、フードコート内のお店の一覧が印刷されたチラシがあります。そのチラシには、こんなキャッチコピーが。

「唯書与美食不可辜負」

 翻訳すると「本と美食だけは裏切らない」。なかなか味のあるキャッチです。

 チラシの住所には「友誼商店的二楼聞声中文書店内」と書いてあったので「本屋のなかにフードコートができた」ということで、間違いありません。

7店舗が密集

 フードコートは限られたスペースに

・西安肉夾饅(中国式ハンバーガー)やビャンビャン麺の「凡記」
・湯包(小籠包のよりスープが多めになったようなもの)の「小吃楊州」
・四川料理の「雅亭」
・雲南料理の「食彩雲南 過橋米線」
・湖南料理の「品品香」
・東北料理の「滷煮炸串串」
・台湾ドリンクの「珍煮丹」

の7店舗を詰め込んだ感じで、本場感が漂っています。4階と同じく、都内各地で営業している中国料理店が出店しているスタイルです。

フードコートに入っているお店(画像:オンステージ高志)

 在日中国人向けのお店のため、味は折り紙付き。どれにしようかと吟味して、今回は西安肉夾肉饅と凉面(冷やし麺)を頂くことに。

独特の支払いスタイルに驚き

 注文は日本ではあまりなじみのないスタイルです。

 まず、お店のカウンターで食べたい料理を告げてから、書店のレジで注文したお店と料理の名前を告げて料金を支払います。そうするとレシートをくれるので、フードコートのなかで座って待っていると、料理を運んできてくれます。そして引き換えにレシートを渡します。

 筆者は「日本語が通じなかったらどうしよう」とドキドキしましたが、割りと普通に通じました。料理の名前がなじみのない言葉のため、覚えるのが大変そうですが、レジにもメニュー表が置いてあるので指させば大丈夫です。

フードコートの様子(画像:オンステージ高志)



 ただ問題がひとつあります。

 最近増えた現地感満載の中国料理店では、客が日本人だと辛さを控えめにする場合が少なくありません。今回も注文の際、しきりに日本語で「辛いのは大丈夫ですか?」と聞かれました。こういう店の店員さんたちは親切なので、本場の中国料理は日本人に辛すぎるのではないかと心配してくれるのです。

 そのため、

「請辣(チンラー。辛くしてください)」
「我喜歓辣的(ウォーシーファンラーダ。私は辛いのが好きです)」

などの表現は覚えておいたほうが便利です。しかし、それでもなお辛さ控えめにしている気がしています。どうもリアルな現地の辛さにしてもらうには、

「日本語で話しかけられても中国語で返答する」

くらいの本気度を見せなくてはいけないのかもしれません。

軽食レベルの量ではない

 さて、お金を払ったらセルフサービスのお水を手に、空いている席に座ります。

 お茶やジュースは、冷蔵庫から自分で取り出してレジでお金を払うスタイル。5分ほどで、お店の人がカウンターから出て料理を運んできてくれます。

注文した西安肉夾饅と凉面(画像:オンステージ高志)

 料理は本場の味、この一言につきます。しかしフードコートなので「小吃 = 軽食」のはずが、麺は結構な量があります。

 今回全店舗とはいわずとも、3店舗分くらいは食べられると思っていたのですが、無理でした。ともあれ麺は独特の幅広な麺の喉ごしがたまりません。肉夾饅も肉汁がジュワっと皮に染みこんで、一口ごとに幸せな気分になれます。

 食後は「珍煮丹」でドリンクを買うことにしました。

 ここはタピオカブームで大人気になったお店ですが、タピオカだけでなく仙草(ラン科の多年草)のドリンクも。仙草好きの筆者は迷わずこちらを注文。サイズはMとLのふたつですが、もし台湾ドリンクが初体験なら迷わずMサイズにしましょう。Mサイズでも結構な大きさです。

異邦人気分を堪能

 今回最初の訪問で、思った以上に本場感を堪能できました。

 おいしさはいうまでもありませんが、コロナ禍での開店ということもあって、清潔な環境を保つために努力しているのも伝わってきました。

フードコートの入るビルの外観(画像:オンステージ高志)



 店員さん同士は基本中国語で会話していて、日本にいながらにして、完全に異邦人の気分が味わえます。

 海外旅行のできない現在、ここでそんな気分を楽しむのもいいのではないでしょうか。

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