自決のわずか半年前 「三島由紀夫」と偶然にも言葉を交わした、おかっぱ頭の少女の記憶

華やかできらびやかな街というイメージが強い東京。しかし、大通りから1本路地に入れば、そこには昔懐かしい住宅地が広がり、名も知らぬ人々がそれぞれの人生を生きています。今回紹介するのは、自決を遂げるわずか半年前の三島由紀夫と偶然にも言葉を交わしていたある少女の話です。


意気消沈していた店主

 事件のすぐ後、西田さんが店に立ち寄ったとき、店主はいつもと違ってふさぎ込んでいたように見えました。おかっぱ少女はつい「オジサン、元気ないね」と声を掛けました。

 すると店主は大声で、

「俺の店に来やがる三島先生が死んじまったのよ。何の相談もねえでよ、それって、どうしようもねえバカかよ、そうじゃねえかい」。

三島と貸本屋の店主は、よくふたりで話し込んでいたという(画像:写真AC)

 そして、大粒の涙を手のひらでぬぐい、「いやー、うんうん」「やっぱりわかんねえ」「そうなのかよ」「やっぱわかんねえ」と頭を振り、子どもには聞き取れない愚痴をこぼしていたのでした。

 三島の意外な素顔のそばには、こんな人もいたのです。子どもの観察力にも驚きますが、よほど印象深い出来事だったのだと思います。

<おれは河原の 枯れすすき 同じお前も 枯れすすき
 どうせ二人は この世では 花の咲かない 枯れすすき>

<死ぬも生きるも ねえおまえ 水の流れに 何変ろ
 おれもお前も 利根川の 船の船頭で 暮らそうよ>

(『船頭小唄』作詞・野口雨情、歌:森繁久彌)

 店主がよく口ずさんでいた歌です。哀切あるメロディーが、客の三島とあの店主によく合います。

変わりゆく時代と街並み


【画像】ありし日の三島由紀夫

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