自撮りのルーツ? 90年代のデジカメが作った「気軽な撮影文化」とは

カメラ付きの携帯電話の登場で大きく加速した撮影文化。そんな文化の先鞭をつけたのは1990年代のデジタルカメラでした。フリーライターの本間めい子さんが解説します。


一般化の裏にあったパソコンブーム

 これを機に1986(昭和61)年、カシオは初の電子スチルカメラ「VS-101」を発表します。しかし、まったく普及しませんでした。価格は12万5000円と、当時普及していたビデオカメラと同価格で、大きさも同程度。そんな機種にもかかわらず、撮影できるのは静止画だけで、画質もフィルムカメラに劣っており、一般消費者が欲しくなる製品ではありませんでした。

 それでも技術者たちの努力は続きます。

 次に生まれたのが、現在のようなデジタル方式の画像記録方法で、アナログ方式に比べて、画像を伝送・複写をしても劣化させない技術でした。原理的には早い段階で可能とされていましたが、実用化に向けてデータ保持の方法や画像の圧縮技術など乗り越えるべき課題がありました。

1990年頃の秋葉原(画像:国土地理院)




 富士フイルムは1988年にこれをクリアし、最初のデジタルカメラ「FUJIX DS-1P」を発表。これはあくまで試作品で、始めて市販されたのはアメリカのDycam社が1990(平成2)年に発売した「Dycam Model 1」でした。

 当時の価格はとんでもないものでした。『朝日新聞』1989年10月17日付朝刊は、東芝と富士フイルムがデジタルカメラを開発していることを報じていますが、価格は1セット500万円前後になる予定としています。もちろん一般消費者が買うものではなく、記事中にも「業務用」として紹介されています。

一般化の裏にあったパソコンブーム

 1993年の東芝によるフラッシュメモリの開発を挟んで、一般向けデジタルカメラの開発は進んでいきます。

 1993年1月、富士フイルムが発表した「フジックス DS200F」は低価格化を狙ったコンパクトデジカメ。記録方式もフラッシュメモリーを採用し、画質も格段にアップ。かつ価格は従来機種の3分の1で、ずばり22万円。ちなみに写真を40枚程度保存できるフラッシュメモリーは1枚6万5000円でした(『読売新聞』1993年1月14日付朝刊)。

 こうした努力を経て、ようやく消費者がデジタルカメラに目を向け始めたのは、1995年3月のカシオ「QV-10」の登場からでした。幅13cm × 奥行き4cm × 高さ6.6cmで重さは約190g。電源は単3電池4本。25万画素で内蔵メモリに最大96枚の写真を保存可能。価格は6万5000円でした。

マイクロソフト社の基本ソフト「Windows95」日本語版発売で混雑する秋葉原の「ラオックスコンピューター館」。1995年11月23日撮影(画像:時事)

 低価格が人気を呼んだことに加えて、Windows95の登場によるパソコンブームも追い風に。その結果、一般消費者がデジタルカメラを手にするようになったのです。

1997年頃から始まった写真ブーム


【貴重画像】世界初の液晶画面付きデジタルカメラ「カシオQV-10」

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