開催可否で紛糾も 結局、東京五輪は行われそうなワケ【連載】これからの「思考力」の話をしよう(4)

歴史の風雪に耐えた基礎的な理論・フレームワーク(思考の枠組み)を紹介し、現在でも色あせないその魅力について学んでいく連載シリーズの第4回。今回紹介する理論・フレームワークは「意思決定とプロスペクト理論」です。


開催メリット・デメリットの比較が難しい

 では、IOC・日本政府・東京都という当事者が話し合えば済むかと言うと、そうではありません。

 オリンピックは世界的な大イベントなので、国内外の世論、アメリカ・中国など主要国や競技団体の意向なども考慮する必要があります。東京都民も意思決定者なのです。いずれによ、さまざまな関係者が絡み、誰がどうやって意思決定するのか混とんとしています。

 第二に、政治的な意思決定であることも厄介です。

「(コンビニが)新しい商品を発売するべきか?」といった経済的な意思決定ならメリット・デメリットを定量的に比較すれば良いのですが、政治的な意思決定では主義・信条・政治的パワーなどが優先されがちです。主義・信条に絶対の正解はないので、対立はなかなか解消されず、関係者が納得できる意思決定に到達しません。

7月のカレンダー(画像:写真AC)




 第三に、メリット・デメリットの比較が難しいことです。

 開催すれば、世界に夢と希望を与えることができますし、東京都はIOCに違約金を払わずに済みます。一方、新型コロナの感染拡大と医療崩壊が懸念されます。中止すれば、その逆が起こります。夢・希望、経済損失、国民・選手の安全というまったく内容の違うことを比較するのは、容易なことではありません。

 第四に、「どちらがメリットが大きいか?」ではなく、「どちらがデメリットが小さいか?(= どっちがマシか?)」というタイプの意思決定であることです。

 人は、「今日のランチはラーメンかカレーかどっちにしよう?」といったメリット(この場合はおいしさや空腹感の解消)の大きさを比較する意思決定は比較的スムーズにできます。しかし、今回のように、どっちに転んでも良い結末にならなさそうなことは、「あまり考えたくない」と先送りにしがちです。

リスク要因がよりクローズアップされる


【データ】医師1339人に聞く「東京オリンピック開催可否」

画像ギャラリー

/wp-content/uploads/2021/06/210605_prospect_05-150x150.jpg
/wp-content/uploads/2021/06/210605_prospect_06-150x150.jpg
/wp-content/uploads/2021/06/210605_prospect_07-150x150.jpg
/wp-content/uploads/2021/06/210605_prospect_08-150x150.jpg
/wp-content/uploads/2021/06/210605_prospect_09-150x150.jpg
/wp-content/uploads/2021/06/210605_prospect_10-150x150.jpg
/wp-content/uploads/2021/06/210605_prospect_11-150x150.jpg
/wp-content/uploads/2021/06/210605_prospect_01-150x150.jpg
/wp-content/uploads/2021/06/210605_prospect_02-150x150.jpg
/wp-content/uploads/2021/06/210605_prospect_03-150x150.jpg
/wp-content/uploads/2021/06/210605_prospect_04-150x150.jpg

おすすめ

New Article

新着記事

Weekly Ranking

ランキング

  • 知る!
    TOKYO
  • お出かけ
  • ライフ
  • オリジナル
    漫画