マンガに一晩中浸かれる! 都心に現れた「5000冊」完備の宿泊施設とは

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マンガに一晩中浸かれる! 都心に現れた「5000冊」完備の宿泊施設とは

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宿泊施設「MANGA ART HOTEL, TOKYO」が2019年2月1日(金)、オープンします。その名の通りマンガに囲まれた同施設。いったいどのような施設なのでしょうか。

「漫泊」とは何か

 宿泊施設「MANGA ART HOTEL, TOKYO(マンガ アート ホテル トーキョー)」が2019年2月1日(金)、オープンします。いったいどのような施設なのでしょうか。取材しました。

「MANGA ART HOTEL, TOKYO」の外観(2019年1月28日、國吉真樹撮影)



 周辺に多くの古書店が並ぶ「神保町駅」から徒歩7分の「MANGA ART HOTEL, TOKYO」。その名のとおり、マンガをアートとして捉えた宿泊施設で、男女別の相部屋・素泊まりというホステル形式となっています。

 施設はビルの4階と5階の2フロアで、4階は約80平方メートルに女性専用の16室が、5階は約90平方メートルに男性専用の19室が入っています。フロアには両階合わせて5000冊のマンガが並べられており、そのコンセプトは「漫泊(まんぱく)」。運営元で、宿泊事業の企画開発などを手掛けるdot(ドット/中央区湊)は、漫泊について次のように説明します。

「何かのついでとか、片手間とか、暇つぶしではなく。ただひたすら、マンガの世界に浸る“一晩中マンガ体験”です。他にしなきゃいけないことがあるのに、つい手が伸びて、時間も忘れて読み耽(ふけ)る。そんな、マンガへの心地いい敗北感が、ここにはあります。出会ってしまったら、最後。読めば読むほど引き込まれていく空想の世界へ。さあ今夜は、マンガの吸引力に負けてしまいましょう」

 そんなコンセプトは、「MANGA ART HOTEL, TOKYO」にどのように反映されているのでしょうか。さっそく見ていきましょう。

「くぼみ」が生み出す「奥行き」

 本棚が見え隠れしながら立体的に広がるフロアは、まるで洞窟のような造り。加えて、ベッドユニットの向きを上下左右に振ることで、空間に奥行きを持たせつつ、居心地の良さも実現しています。ベッドの広さはシングルが100cm×200cm、セミダブルが120cm×200cm。全部屋に貴重品を収納・保管できるセキュリティボックスが設置されています。

「MANGA ART HOTEL, TOKYO」5階の様子(2019年1月28日、國吉真樹撮影)
上下左右に振られたベッドユニットの向き(2019年1月28日、國吉真樹撮影)

「MANGA ART HOTEL, TOKYO」の目指す方向性について、建築設計を手掛けたAWGL(オーグル/世田谷区上馬)の代表・山之内淡さんは「都市的なスケール」で施設の計画を描いているといいます。

「ホステルというビルディングタイプは、(1989年~1995年に生まれた)ミレニアル世代に向けで、東京を始めニューヨークやロンドン、上海やシンガポールといった、過密状態かつ地価が高騰している都市にこそ求められる建築。東京以外の都市のコンテキスト(文脈)を反映しつつ、進化していきたい」(山之内さん)

「MANGA ART HOTEL, TOKYO」の方向性について話す、山之内さん(2019年1月28日、國吉真樹撮影)

 また、山之内さんは次のようにも話します。

「通常のカプセルホテルやホステルは、ベッドユニットが垂直に積まれているものばかり。(寝室の)入口が互い違いにされたものはこれまでにあるものの、今回のように上下左右に振ったものはあまりありません。上下左右に振ることで空間に『くぼみ』ができる。そのような『くぼみ』を多く持たせることで、本棚も縦横無尽に広がり、マンガのレイアウトにおいても良い効果を上げています」

 イメージしたのは伝統的な日本家屋です。

ベッドユニットを上下左右に振ることで出来た「くぼみ」のある空間(画像:dot)
蛍光イエローと乳白のアクリル板を入れ子構造で仕上げたエントランス(2019年1月28日、國吉真樹撮影)
ホステル内の洗面台。壁や天井は白で統一。床は無垢のフローリング材を使用することで、清潔感と温かみのある空間に仕上げている(2019年1月28日、國吉真樹撮影)
5階のテラスからはビルが乱立する神保町の様子を眺められる(2019年1月28日、國吉真樹撮影)

 そのほかにも、施設の個性を出すためにさまざまな建築素材を使ったとのことです。

肝心のマンガは……

 フロアに並べられた各マンガ。5000冊のうち、800~900冊は英語で書かれた作品です。選書の基準は「アートの観点」から行われています。

「製作者が自らの感情をぶつけるのがアート。そのような感情が伝わってくる作品を選んだ。受け手にとって、アートは『何だかよく分からない』部分も持っている。そういった部分も作品から楽しんでもらえたら。いつも出合わないような、泣いたり笑ったり、感動したり、深いことを考えたりする作品に出合ってほしいですね」(dotの共同代表取締役・吉玉泰和さん)

dotの共同代表取締役・吉玉さん(2019年1月28日、國吉真樹撮影)



「ニッチな題材だったり、主人公が珍しい立場の人間だったり、書き方や表現が特殊だったりする作品を選んでいます」(dotの共同代表取締役・御子柴雅慶さん)

dotの共同代表取締役・御子柴さん(2019年1月28日、國吉真樹撮影)

 利用者は気に入ったマンガを購入することもできます。吉玉さんは今後、「マンガ喫茶などに置いてあるようなメジャーなマンガではなく、よりマニアックなマンガを増やしていきたい」と力を込めます。

 マンガの脇には、社員が自ら書いたという「なるべく読者の『共感』を呼ぶように心がけた」コメントカードも添えられています。

約600作品に添えられたコメントカード。日本語と英語の2パターンで書かれている(2019年1月28日、國吉真樹撮影)

 同社は2019年度の宿泊客数を5000~8000人、日本人と訪日外国人との割合を「半々程度」と見込んでおり、今後地方への進出も視野に入れているといいます。また、あくまでも宿泊施設として運営し、時間単位のデイユース展開は行わないとのことです。

●MANGA ART HOTEL, TOKYO
・住所:東京都千代田区神田錦町1-14-13 LANDPOOL KANDA TERRACE 4F・5F
・アクセス:半蔵門線「神保町駅」A9出口から徒歩7分、都営新宿線「小川町駅」B7出口 から徒歩1分、丸ノ内線「淡路町駅」B7出口から徒歩1分、千代田線「新御茶ノ水駅」B7出口から徒歩1分
・利用時間:24時間営業
・価格:4800~5800円(平日)、5800~6800円(祝前日)
・チェックイン/チェックアウト:15時、11時

※掲載の情報は2019年1月時点の情報です。

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