第2の「新大久保」になる日も近い? 大塚駅周辺にアジア系飲食店が急増しているワケ
2021年5月29日
お出かけ外国人労働者が多い東京のまちと言えば、新大久保などが真っ先に思い浮かびます。しかし現在、大塚駅周辺にも徐々に関連する飲食店が出店しているようです。アジア専門ライターの室橋裕和さんが解説します。
「モスク」「ターミナル駅から近い」「商店街」がポイント
店の社長、エナム・ウラさんはミャンマー出身のイスラム教徒です。

もともと南口のほうに食材店を構えていましたが、2021年2月に北口に移転し、店舗も拡張。いまではさまざまな国のお客さんがひっきりなし。ほかの食材店よりだいぶ広々としていて、きれいで入りやすいからか、日本人のお客もちらほらと見かけます。
「コロナで自宅で料理して食べる人が増えているから、こういうビジネスはいいんじゃない?」
そう笑うエナムさんに「大塚のアジア化」の理由を尋ねてみると、
「僕の場合は、大塚にモスクがあったからだよね」
との答え。
南口には「マスジド大塚」(南大塚3)というモスクがあり、イスラム教徒が集まる場所になっていますが、日本人にもオープンで、東日本大震災など災害のときには炊き出しを行うなど、日本社会になじもうと地域との交流を続けてきた存在です。『スナリ』もやはり、そんなマスジド大塚があったことが開店のきっかけだったといいます。
加えて大塚は、ターミナル駅である池袋から山手線でひと駅の割に家賃やオフィスの賃料が安いこと、北口と南口のにぎやかでごちゃついた商店街の様子がアジアの人々にとっては懐かしさを感じることもあり、イスラム教徒ではない人も含めて、大塚に住むアジア系の外国人が増えているそうです。
新大久保はもう飽和状態?
「ここは2番目の新大久保なんです」
エラムさんは力説します。
「なにかビジネスを始めようとする外国人が、まず頭に思い浮かべるのが新大久保。外国人が多い街、ハラルが売れる街だとみんな思っている。だから新大久保に進出しようとする。ミャンマーだったら高田馬場だって誰もが考える。でも僕は、これからは大塚だと思っているんです」
確かに新大久保は、都内ではアジア系の食材店やレストランが特に密集している街ですが、もはや飽和状態にも見えます。地価も上がっていると聞きます。だから新大久保を避けて、新しく外国人が急増している街……例えば
・小岩(江戸川区)
・十条(北区)
・赤羽(同)
・板橋(板橋区)
あたりに食材店やレストランが分散していく傾向も見られます。
こうした街もやはり「ターミナル駅が近く、にぎやかな商店街がある」という条件を満たしていますが、大塚も、そのひとつとして外国人の居住・ビジネスの場となりつつあるようです。
そしてミャンマー人が多い街と言えば、「リトル・ヤンゴン」高田馬場がよく知られていますが、いまは日暮里や巣鴨あたりで暮らす人も増えているのだとか。
そんなミャンマー人は山手線に乗って高田馬場駅に行くより、その手前の大塚駅で下りて『MMマート』で買い物をしていく。そんな現象も起きてきているようです。沿線のお客をいかに獲得するか。日本人の知らないところで、なかなかにシビアな競争が繰り広げられているというわけです。

「大塚は住みやすいですよ。駅も新しくきれいになったし、子どもの学校も近いしね。店を借りるのも隣の池袋や新大久保より安い。好きな街です」
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