ナレーションのない「まち歩き動画」がコロナ禍の今、増え続けているワケ
2021年6月1日
ライフ現在、YouTube上で増え続けているナレーションのないまち歩き動画。そのブームの背景について、法政大学大学院教授の増淵敏之さんが解説します。
リアルなまち歩きを代替する映像美
ノーナレーションまち歩き動画は誰かに案内されているのではなく、自らが主体的にまちを歩いている気分になるため、画面を眺めているだけで没入感が得られます。
案内人がいる映像は視聴者に向かう情報がその案内者によって導かれ、かつ選択されるのに比べて、ノーナレーションまち歩き動画は恣意(しい)的な導きがないので、視聴者が自らの嗜好(しこう)によってさまざまな街の情景に心を寄せることができます。
例えば、
・家が立て替えられていく様
・ビル工事の進行状況
・カフェや飲食店の様子
・信号待ちの人
・通りを行き来する人々の姿
など、映像を通して目に入る「何気ない光景」が視聴者に小さな刺激を与えているのではないでしょうか。案内人がいる映像に比べて、ノーナレーションまち歩き動画はとにかくリアルなのです。

またこれらの特徴として、4Kによる映像美があげられます。特に雨、雪や夜景に効力を発揮しています。夜景ではネオンサインの美しさが際立ちます。雨上がりのアスファルトに移るネオンは美しくにじみ、格別ですらあります。
もしかすると現実よりも美しい風景が目の前に広がっているのかもしれません。もちろん案内人のいるまち歩き動画でも4K撮影はありますが、やはり説明が優先されるため、映像美は二の次になっています。
それ以外に特筆すべきは、やはり「街のノイズ」へのこだわりです。
・車の行きかう音
・すれ違う人々の会話
・風の音
・雨の音
などが効果的に映像美を際立たせます。コロナ禍でまち歩きが難しくなり、それをバーチャルなノーナレーションまち歩き動画が代替しているのです。
これらの動画は既存のテレビ番組と同等のクオリティーであることから、もはや素人と玄人の境界線が無くなってきたともいえます。コロナ禍は数々の映像作家を生んだのです。
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