一般社員に「簿記・会計」知識は必要? 共通テスト科目廃止で考える

2024年1月実施の共通テストを最後に「簿記・会計」の出題がなくなります。しかし近年、それらの知識の重要性は高まっています。フリーランスライターの小川裕夫さんが解説します。


重要性を増す「簿記・会計」スキル

 こうした潮流もあり、高校卒業後の進路を見据え、進学に有利とされる普通高校への偏重は強くなっています。一方、「手に職をつけられる」という触れ込みから一時期は高い人気を誇っていた商業・工業高校の人気は低落傾向にあります。

 商業・工業高校では普通高校では学べない科目もあり、最近ではそうした商業・工業高校から大学へ進学を希望する受験生も増えていますが、商業・工業高校特有の科目で受験できる環境も整えられてきました。「簿記・会計」もそのひとつといえます。

 しかし、受験者数が少ないことを理由に、大学入学共通テストの受験科目から「簿記・会計」が除外対象となったようです。

試験のイメージ(画像:写真AC)




「簿記・会計」を受験科目に選択する受験生が少ないことは事実かもしれませんが、そうした受験生の減少に反比例するかのように「簿記・会計」のスキルは重要性を増しています。

石原都政が進めた公会計制度改革

 昨今、会計ソフトが高性能化しているため、専門知識がなくても数字を入力するだけで仕訳作業をはじめとする帳簿付けができるようになっています。

 そうした作業の手間はなくなりましたが、だからといって貸借対照表(BS)や損益計算書(PL)を理解する力が不要になったわけではありません。近年では、BSやPLにくわえ、キャッシュフロー計算書(CF)も重要性を増しています。複雑化する簿記・会計の知識は、むしろ必要性が高まっています。

 簿記・会計をはじめとする財務状況を把握するスキルは、民間企業だけではなく官公庁にも求められるようになっています。その先鞭(せんべん)をつけたのが、石原慎太郎都知事(当時)です。

都知事時代の石原慎太郎氏(画像:小川裕夫)

 当時、東京都を含む地方自治体などは単式簿記による記帳法が採られていました。

 小学生のおこづかい帳のような単純なお金の流れを把握するなら単式簿記でも問題ありませんが、東京都のような巨大な自治体の財政はとても複雑です。そのためにも、複式簿記の導入が急務とされていました。複式簿記とは、すべての取引を借方と貸方から記入する方法で、財産の移動と損益を正確に知ることができます。

 他方、純粋に利益を追求する必要のある私企業と、利益が出なくても公的な機関として政策に取り組まなければならない地方自治体とでは、会計に対するスタンスは異なります。それでも1999(平成11)年に石原都政が発足すると、財政の透明性を確保するべく公会計制度の改革に取り組むことになったのです。

 それまで地方自治体は単式簿記を採用してきました。複式簿記への切り替えは、職員に手間を増やしたり、会計の知識を学ばせたりといった面倒が生じるだけではありません。単式簿記から複式簿記に切り替えれば、前年度との比較ができなくなるという恐れがありました。

地方自治体にも波及した複式簿記


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